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    15tb_xxxfura

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    9割読み専の者です
    ハッピーななご!!💛💙

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    75afterparty開催おめでとうございます!

    #七五
    seventy-five
    #75afterparty

    体重何キロあるとおもってんの ベッドには、人が横たわっている。ベッドは簡易的なものではなく、決して小さくはない人物が、枕に頭をのせ、身体は新雪のように真っ白なシーツがかけられている。
     悟は、ドアノブを握ったままなのを思い出し、手を離して脚を動かす。手をポケットに入れたとき、背後でドアが閉まる音がした。靴を履いていない足で歩みを進めるとそう広くはない部屋なのですぐにベッドにたどり着いた。
     ベッドには、七海建人が横たわっている。高級感のあるマットレスは七海の体重を受け止めた分沈み込んでいた。悟は、七海の口元に手のひらをかざし、呼吸があるのを確認した。七海は生きてる。知らないうちに詰めていた息をふっと吐く。胸にわだかまっていた不安がすこし拭われた気がした。かざしていた手を七海の頬に滑らせる。あまりまろいところのない、彼の由来特有の削げた頬だ。血色は悪くはない。”労働はクソ”とは言いながらも、戦い続ける男の顔だ。
     実のところ悟は、七海は死んだわけではないことを知っていた。任務で怪我を負ったと家入のところへ運び込まれ、治療をうけたそうだ。滞りなく治癒し、何日かぶりの帰路についた、と。
    「そんで、オマエはそれを僕に知らせずにすやすや寝てるってか」

     悟が七海の怪我を知ったのは偶然だった。授業と腐ったミカンとの会合の間に高専の医務室に顔を出したら、家入から「五条のオトコ、さっきまでいたんだが」と。
     家入に七海の怪我の程度を問うとすんなり教えてくれた。曰く、四肢に裂傷と脇腹に刺傷くらいだよ、反転術式もかけたし完全に塞いだ、まあほんの少し血が足りなくなったくらいだな、自分の脚で出てったよ、と。そっか、ありがとう硝子と礼をいい、悟は医務室を後にした。家入は片手をひらりと挙げた。
     そこからの悟の行動は迅速だった。歩きながら伊地知に連絡をとり、スケジュールを確認した。幸いにも、腐ったミカンとの会合の後は、関東近郊での任務が二件と、いつもに比べれば少ないタスクだった。これなら日付が変わる前に都内に戻って来れるだろうとあたりをつけた。
    「ふ~ん、オーケー。じゃあ今日はそれ以降の任務は受け付けないから、よろしくね伊地知」
    「は、はい、わかりました」
    「それでさ、伊地知」
    「はいっ」
    「七海のこれからの予定は?」
    「は?」
    「だから、七海のこれからの予定は?」
     答えないとマジビンタだから、と言うとスピーカーからヒェっと短く伊地知の声がした。答えまでカウントダウンをしてやろうと「3」を唱えたところで食い気味に「七海さんは本日は任務終了のようです!」と悲鳴交じりの回答があった。ふ~ん、そう。スマホを耳から離して通話終了をタップした。
     それから悟は、腐ったミカンのバーゲンセールも、自分が担わなくてもいいような関東近郊の任務二件も、粛々とこなした。こなしたつもりだが、いらだち紛れに呪力の出力をほんの少しだけ上げて呪霊を祓ってやった。一件目、帳を解いて車の元へ戻ったときに伊地知には「お疲れ様でヒェッ」と、これまた悲鳴交じりに労われたので、現場は相当だったのかもしれない。悟は振り返りもせず「伊地知、早く次~」と車に乗り込んだ。移動時間には七海からのメッセージがないか、スマホをスワイプするが、昨夜の「おやすみなさい」「おやすみ♡」に続けた、ゴリラがドラミングするスタンプの後にはなにもなかった。なんかないのかよ。溜息にのせて独り言ち、そのうち虚しくなった。悟はスマホをシートに放って、次の任務地までふて寝をすることに決めた。
     次の任務地でも同様に、粛々に仕事をこなして、車に乗り込んだ。伊地知には「ひぇ……」とまた慄かれたが通常運転だ、問題ない。
     悟に遅れて運転席に乗り込んできた伊地知に
    「七海んちまで」
    と、悟は端的に目的地を告げる。伊地知は一瞬、躊躇うように手を止めたが、
    「七海さんのお宅ですね、わかりました」
    と、答えてかちりとシートベルトを締めた。
     二時間弱ほどで七海の住むマンションに到着した。伊地知に、じゃあね、と声をかけて車を降りる。お疲れ様でした、の声を中途半端に聞いてドアを閉めた。エントランスを慣れた脚で通り抜け、エレベーターに乗り、七海の部屋の前までたどり着いた。勝手知ったるなんとやら、玄関を解錠して、ドアを開ける。部屋には明かりがなかったが、七海の使うシャンプーやボディソープの香りが漂い残っていた。帰宅して、湯を使う体力はあったらしい。玄関で靴を脱いで、揃えてある少し汚れたプレーントゥに並べる。キッチンに足を向ける。水切りかごには食器が立てかけられていて、わずかに水が滴っていた。
     リビングに足を踏み入れても、七海のすがたはなく、既にベッドに入っているのだろう、床とオトモダチになってなくて良かったね、と少し皮肉めいたことを思いながら悟は寝室へと向かった。

     果たして七海は寝室にいた。ベッドに仰向けになって、ベッドに歩み寄った悟にも気づくことなく、静かに寝息を立てている。
    「一級呪術師が聞いて呆れるね」
     こんなにも容易く寝室にまで侵入を許すなんてね。
     悟は、ささくれ立った気持ちをそのままに、七海の寝るベッドに服を着たまま乗り上げて、掛け布団ごと彼の大腿を自身の大腿で挟むように膝をついて跨いだ。スプリングが多少跳ねたが、それでも七海は目を開けなかった。両手を七海の頭の脇について、まじまじと七海の顔を見おろす。眉間にしわがついてしまっているが、まぁ健やかな寝顔だ。呪力の流れも悪くない。しばらく見つめていたが、七海が目を開ける気配はなかった。
     悟は七海の首筋に顔をよせて、思いっきり息を吸い込んだ。悟が大好きな七海の香りを鼻腔を通り抜け、肺にためて堪能する。何度か吸って吐いてを繰り返すとハァっと吐息が熱くなったのを自覚する。さすがにここまですると、七海が顔を悟から背けたので、勝手にほんの少しだけ胸がちりりとした。
    「なぁなぁみー」
     悟にしては遠慮がちに耳元で呼んでみたが、もぞりと身動ぐだけで目を開けなかったので、好き勝手しちゃうからな、と悟は心に決めた。
     悟は眼前にある、七海の首筋に舌を伸ばして、ぺろりと舐める。今度はくちびるをつけて、ちゅるちゅると。舌を這わせて、七海の肌を味わう。普段の褥では、悟が七海にされていることだし、起こさないように密かにしているので柄にもなく少し緊張する。キスマークつけたいな、キスマークってどうつけるんだっけ。とりとめもなくそう思いながら、口を開けてかぷりと、戯れ程度の強さで喉に噛み付いた。唇には七海の血流と呼吸の音が感じられて、生きてるな、と再確認した。このまま顎に力を入れたら、と甘美ではあるけれど恐ろしい想像をした自分に喉の奥で笑った。七海なしでは生きられないとは言わないが、七海がいないと人間になれないくらいにはその存在は不可欠だったし、七海だけは離してやれないのだ。
     悟は、喉からちゅっとリップ音をさせて口を離して、身体を起こした。少し下腹部が兆している。ちょうど、股の下には七海のたくましい大腿があって、兆しをこすりつけるように腰を揺らした。
    「んっ…」
     緩やかな快感が背筋を走って、たまらず喉から声が漏れる。悟は服を着たまま、七海は掛け布団をかけたままなので、直接的とは言い難くもどかしかった。それでも、悟は腰を揺らした。次は会陰を、そしていつも七海を受け入れているトコロと、七海の大腿にこすりつけて、感触を楽しんだ。
     肩がたえず跳ねて、息が震えるころになると、目を開けない七海に寂しくなってくる。あの瞳で見つめられたい。あの眼で射抜かれたい、愛おしいと言われたい。
    「なぁなぁみー、起きてー。起きないと僕が七海を食べちゃうぞー」
     悟は我慢ができなくなって、とうとう七海を起こしにかかる。
    「起きてますよ」
    と、はっきりした返答があって、悟は内心少し驚いたが、表には出さずに
    「なんだ、起きてたの」
    と、七海に訊けば
    「それは、そうでしょう」
     アナタ、体重いくつあるとお思いですか。色気もへったくれもない返答を七海は起き上がりながらくれた。
     七海が起き上がったので、上体に掛かっていた布団は剥がれて、七海と悟の間にわだかまった。
    「失礼しちゃう〜」
    「それに、自分の身体で恋人が自慰をしていたら、起きない人はいませんよ」
     七海は悟の腰に腕を回して引き寄せ、悟は七海の首のうしろに腕を回して近づいた。わだかまる布団に乗る形になり、七海の腹に悟の下腹部の兆しが当たった。かたくなっているのが、七海に知られてしまっただろう。お互いの吐息が近くなり、くちびるをゼロ距離にした。
    「七海ぃ、一緒にお風呂、はいろ」
     深いくちづけに酔っていた悟はくちびるを離して提案する。
    「もう私は済ませましたが」
    「僕はまだ」
    「では」
    「一緒に入らせろ」
    「なんですかそれ。だから私は済ませたと」
    「今日はオマエのハダカ見ねぇと安心できないの」
     己の口からついてでた言葉に悟は、最強が聞いて呆れるね、と胸の内で自嘲した。
     七海は一瞬言葉を発せなくなったが、すぐに持ち直した。粗方、どこかから自分が怪我を負ったと耳にしたのだろう。それで七海の自宅までくるなんて、なんて可愛い人なのだろう。
    「あっ、あと僕、まだ準備してないから、七海をヨシヨシできない」
     七海は、フーっと溜息をつくと、片腕を悟の臀部の下にぐっと差し入れて、もう片方を背中に押し当てて、悟の身体をまた密着させ、自分の上から悟を退かしてから、俵を担ぐように悟を抱き上げた。うわっと小さく声があがったが構うことなく、ベッドを降りて歩を進める。ドアを開けて目指すは、浴室だ。使ってからしばらく時間は経っているが、まだ温くはないはずだ。そんな七海の様子に、悟はケラケラと楽しそうに笑いながら
    「僕、体重何キロあるとおもってんの」
    と、
    「把握はしていますが、問題になりませんよ」
    「さっすが七海!僕の彼氏!」
    「振り落としますよ」
     その言葉とは裏腹に、声は知らず知らずの内に柔らかだったし、七海は口角が上がるのを自覚した。
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