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    陽炎@ポイピク

    ジョジョ5部プロペシメインです。パソコンもペンタブもないので携帯撮り&アナログ絵しかうpしません。
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    陽炎@ポイピク

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    #プロペシ版ワンドロ・ワンライ『ヴァレンタイン』

    possessivoネアポリスの石畳の上で明らかにストリートチルドレンらしきみずほらしい格好をした少年がワゴンを引いている。
    そのワゴンの中には赤い薔薇が美しく咲き誇っていて、少年は道行く人々に薔薇は要らないかと売り歩いていた。
    あの薔薇は恐らく家の軒先に咲いていたやつを盗んだものに違いない。棘の付いたままのものは中々買い手が付かず少年はとぼとぼとした足取りで喧騒の中に消えて行った。
    サン・ヴァレンティーノ。悲劇の聖人の命日はいつしか恋人達が愛を確かめ合う日になり、この街の人々も浮き足立ったように待ち合わせをしたり腕を組んでリストランテへと向かったりする。
    彼等とは逆方向へ進みながら男はアイツも道を間違えればあんな風に寒空の下で働く羽目になっていたのかも知れないと思いを馳せる。
    そんな風に考えてから、もし今もそんな生活をして明日の飯の心配する暮らしをさせるなら速攻連れて帰るに違いないと心の中で呟いた。
    ほんの少しだけの慈悲で少年を追って薔薇を買ってやっても良かったが、敢えてそうしなかった。
    12本だけでは足りない位男は恋人を愛していたし、その恋人が貰った薔薇を花瓶に入れて世話する姿も見たくない程惚れ込んでいた。
    こんな仕様もない嫉妬心を聞いたらアイツは笑うのだろうか。
    最初に惹かれたのはその能力だった。
    自由自在に操れる針と糸。標的の情報すら捉え撓る釣竿は確実にターゲットの体力を奪う。糸そのものを攻撃しようものなら釣り上げられた者へ返っていく。まさに暗殺の為に与えられたスタンドだった。
    だが、使う者が臆病なままでは宝の持ち腐れだ。
    プロシュートはあまりにもマンモーニなその青年を立派なギャングにしようと育ててきた。
    プロシュートは元々面倒見のいい男ではない。
    チームの新入りで使えない奴に引導を渡すのはいつだってプロシュートの役目だった。自分の命だけならまだしもチームである以上仲間として認めるには信頼が必要だ。これまで教育してきた奴は隙あらば裏切ろうとするか金の為に自分達の情報を売ろうとするか任務でやらかしてそのままくたばるかだ。
    組織に入らざるを得なかった理由などどうでも良かった。何せ暗殺チーム自体が社会のレールから外れた連中だ。彼等と同じで、青年――ペッシもまたパッショーネという濁りきった水でしか生きていけない魚なのだ。それなのにペッシは人を殺める事に酷く怯える。彼の繊細過ぎる心と向き合う内に、プロシュートはいつしか『オレが死んだらこいつは悲しみで泣くんだろうか』と涙を拭ってやる為に触れてしまいたくなった。
    グレイトフル・デッドは無差別に老化させる能力を持つスタンドだ。特に直に掴んだ相手なら更に老化の進行が早まる。だからこそプロシュートは他人に触るのを避けていた。花だってそうだ。すぐ枯れてしまうものを贈りたいと思える相手など居なかった。だがペッシは別だった。
    考えた時には既に行動を終えてるプロシュートは、出来ない言い訳を紡ぎ続けるペッシの唇を遂に塞いだ。仕置きだと感じたのかペッシはプロシュートを突き飛ばした。
    「嫌なのか」
    拒絶される覚悟はあった。
    「だって、だって」
    声を震わせるペッシは必死に言葉を続けた。オレが兄貴の事好きでも兄貴はそうじゃないのにバーチョをしてくるなんて、と。
    思わぬ形でペッシの好意を聞かされてしまったプロシュートはそのままペッシをソファーへ押し倒してあれよあれよという間に抱いた。
    そうでもしないとペッシの心が自分ではない誰かに向いてしまうのではないかと危惧したのだ。
    女との行為の時ですら口にしないような台詞をプロシュートはペッシの耳元で吐き続けた。
    「どうしてオレがお前にここまでするのか分かってんのか」
    「オレはおまえの為なら何だってするし何だって出来る」
    「オレはオメーの為に人生を捧げたっていい」
    実際、プロシュートは尽くすような性格の男ではなかった。黙ってても女が寄って来るのだ。されるのが当たり前。して貰って当然。そんな価値観すらも変えてしまったのだから、ペッシと出会った時点で既にプロシュートは狂わされていたのだ。
    ペッシは何でオレなのかと訊く事はなかった。
    誰にも認められず誰にも見初められる事のなかった彼にとっては愛される事の悦びの方が強かったのだろう。兄ィ、と甘えたように幾度も呼ぶ姿にプロシュートはありとあらゆる欲を彼へぶつけた。
    それでも受け入れてくれると信じていたから。
    疲れ果てて乱れたシーツを握ったまま眠るペッシの寝顔。崩れた髪を撫で上げると小さく瞼が震えた。
    起こしてしまったかと息を飲むが、目覚める気配は全くない。晒されたままの肌に服を着せてやろうとコートを拾い上げると、ポケットから造花の薔薇が落ちた。丁寧に「mio fratello」というメッセージカード付きで。プロシュートはそこで初めてバレンティーノにペッシとの初夜を迎えた事に気付いた。
    あの造花はどこへ仕舞ったのだろう。ペッシが爆睡している間に捨ててしまったような気がする。
    ペッシが自分の為に懸命に選んでくれた事実だけあればいい。懸命に選んだのが自分ではなく造花だというのに無性に腹が立っただけだ。
    プロシュートは花屋ではなくショコラティエの前で足を止めた。アイツはきっと薔薇なんかよりチョコラータの方が喜ぶに違いねぇ。コートを翻し男は店の中へと入っていく。甘い香りが鼻を掠めた。
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    陽炎@ポイピク

    TRAINING足を怪我して兄貴に背負われるペッシの話
    『恋じゃない』
    #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    流石に姫抱きは勘弁してくだせぇと真っ赤になる弟分にプロシュートは溜息を吐いた。
    かれこれ永遠と続くかのような押し問答。
    ターゲットを追ってビーチ・ボーイの針と糸で捉えかけていた所、標的が残した罠へ掛かってしまい、ペッシが足を怪我してしまったのだ。
    「オレの事は置いていいから追ってくれ兄貴!」
    プロシュートはペッシの言葉に迷った。此処で見失ったら任務は失敗だ。
    だが、プロシュートは足を止めた。
    「兄貴っ!そんな事したらスタンドの射程範囲から逃げられちまう!」
    ペッシの悲痛な叫び。その時聞こえてきたのは仲間のひとりの声帯を真似た声だった。
    「ドウヤラコイツヲ始末スルノハ、ワタシノヨウデスネ」
    次の瞬間ターゲットはサイコロ状にバラバラにされてその場に崩れる。
    「ベイビィ・フェイス……」
    常に笑みを浮かべたような機械の如き肉体を持つ人型のスタンドはプロシュートとペッシを見遣った。
    「ナンテコトナイ任務デシタネ。プロシュート、アナタハドウシテ仕事ナノニ弟分ヲ優先スルノデスカ?」
    ベイビィ・フェイスは教育次第で成長するスタンドだ。故に知識欲も強い。疑問を感じれば主であるメローネ以外にも遠慮なく質問 1413

    陽炎@ポイピク

    DONE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    『大丈夫』
    敵対組織への潜入任務。情報を入手するだけの仕事で、ペッシのビーチ・ボーイの本領発揮の場所になる筈だった。
    「追え!スタンド使いだ!」
    ところが連中の中にスタンド使いがいやがった。パッショーネから金で引き抜かれたクズ野郎なんだろう。向こうの雇われスタンド使いなんざ想定外で、能力を把握しねぇまままともに戦うのはまずい。
    「逃げんぞペッシ!!」
    パニックになりそうな程気が動転してるペッシを先導させる。背後から聞こえる銃弾にオレは肩口を撃たれた。
    「兄貴ッ!?」
    「いいから行くぞ!もしもの時のために保険掛けといただろうがッ!」
    痛みに耐えてペッシに激を飛ばす。
    ペッシはオレの言葉に落ち着きを取り戻し記憶を頼りにある場所へ向かった。
    「イルーゾォ!」
    鏡の前でペッシが叫ぶ。鏡の中からぬっと腕が伸びてそのまま中へ引きずり込まれた。
    「ざまぁねぇな、プロシュート。ペッシに銃弾が当たらないようにしたのはいいが、おめぇそんなんじゃ命が幾つあっても足りねぇぜ」
    オレの肩口に開けられた風穴にイルーゾォは呆れた声を上げてペッシがはっと我に返った。
    「兄貴ッ!大丈夫ですか!」
    鮮血でスーツは台無しだ。けどオレは 840

    陽炎@ポイピク

    CAN’T MAKE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    『ご都合スタンド攻撃』
    兄貴がペッシと同じ年齢になる話
    左右曖昧表現あるのでご注意下さい
    「ペッシ、ペッシ!」
    誰かの声が聞こえる。知ってるようで知らない声。
    アジトでうたた寝していたオレはうっすらと瞼を開けた。
    「よぉペッシ。お目覚めか?」
    ぼんやりとした意識のままのオレの前には金髪蒼眼の青年が立っていた。
    「……夢?」
    だってそうだろ。皆が仕事で出払ってる間留守をしていたのはオレだけだ。
    「おいペッシ!起きろ!眠そうにしてるんじゃねぇ!」
    肩を前後に揺すられオレの意識は否応なしに覚醒させられる。
    「えっ!?だっ、誰だ!?」
    背丈はオレより少し上だろうか。着ている服は袖が余ってぶかぶかだ。年齢に似合わず高級そうなヘリンボーン柄の仕立てのいいスーツ。
    ーーまさか。
    「まだ分かんねぇのか!マンモーニのペッシ!」
    顎に人差し指を突き付けてくるこの癖は。
    「あ、兄貴かい?あんた兄貴かい?」
    「ペッシペッシペッシペッシよぉ~。咄嗟にビーチ・ボーイを構えるのはいい度胸だが、オレに攻撃しようなんざ10年早いぜ」
    いつものように額に額をくっつけてくる兄貴だったけれど、オレはただ兄貴の若い姿に混乱してばかりだった。
    「もしかしてスタンド攻撃受けたんですかい!?」
    パッショーネはスタンド使 2362

    陽炎@ポイピク

    DONE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    お題『キセキ』
    月祈(きせき)は神仏に祈る事
    街中で鮮やかな色の糸を見た。
    糸を辿ろうと其れに触れた途端消えた。
    男は直感した。あの糸はスタンド能力だと。
    男は何日間もあの糸が再び現れるのを待った。
    どうして組織の把握していないスタンド使いが居る?
    パッショーネに所属していないスタンド使いが居るとするならば、ポルポの試験で矢に刺される事の無かった天性のスタンド能力者という事になる。
    きらりと光る針先が通りの遠くの方へ進んでいくのを目撃した男は糸の紡ぐ軌跡を追うように辿った。
    その釣り針は観光客の懐へと潜り込むとあっという間に財布だけを掠め取った。男は釣り上げられた財布と並走した。
    正確には糸を引いている主の元へ辿り着く為に。
    「あっ……」
    釣竿を手にしている少年はボロボロの布切れを身に纏い身体中が痣だらけであった。
    弾かれたように逃げようとしたものだから男は咄嗟に釣り糸を掴んだ。掌の中に食い込む針の痛みに構わず男は唇を開いた。
    「――お前、家族は」
    少年は怯えたように頭を横に振った。声が出ないのか、それとも出せないのか。それでもスタンド能力を解除しようとはしない。男はぞくりとした。腕を這い上がっていく釣り針と糸の感覚。この少年はオ 1665

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    陽炎@ポイピク

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    かれこれ永遠と続くかのような押し問答。
    ターゲットを追ってビーチ・ボーイの針と糸で捉えかけていた所、標的が残した罠へ掛かってしまい、ペッシが足を怪我してしまったのだ。
    「オレの事は置いていいから追ってくれ兄貴!」
    プロシュートはペッシの言葉に迷った。此処で見失ったら任務は失敗だ。
    だが、プロシュートは足を止めた。
    「兄貴っ!そんな事したらスタンドの射程範囲から逃げられちまう!」
    ペッシの悲痛な叫び。その時聞こえてきたのは仲間のひとりの声帯を真似た声だった。
    「ドウヤラコイツヲ始末スルノハ、ワタシノヨウデスネ」
    次の瞬間ターゲットはサイコロ状にバラバラにされてその場に崩れる。
    「ベイビィ・フェイス……」
    常に笑みを浮かべたような機械の如き肉体を持つ人型のスタンドはプロシュートとペッシを見遣った。
    「ナンテコトナイ任務デシタネ。プロシュート、アナタハドウシテ仕事ナノニ弟分ヲ優先スルノデスカ?」
    ベイビィ・フェイスは教育次第で成長するスタンドだ。故に知識欲も強い。疑問を感じれば主であるメローネ以外にも遠慮なく質問 1413

    陽炎@ポイピク

    DONE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    お題『キセキ』
    月祈(きせき)は神仏に祈る事
    街中で鮮やかな色の糸を見た。
    糸を辿ろうと其れに触れた途端消えた。
    男は直感した。あの糸はスタンド能力だと。
    男は何日間もあの糸が再び現れるのを待った。
    どうして組織の把握していないスタンド使いが居る?
    パッショーネに所属していないスタンド使いが居るとするならば、ポルポの試験で矢に刺される事の無かった天性のスタンド能力者という事になる。
    きらりと光る針先が通りの遠くの方へ進んでいくのを目撃した男は糸の紡ぐ軌跡を追うように辿った。
    その釣り針は観光客の懐へと潜り込むとあっという間に財布だけを掠め取った。男は釣り上げられた財布と並走した。
    正確には糸を引いている主の元へ辿り着く為に。
    「あっ……」
    釣竿を手にしている少年はボロボロの布切れを身に纏い身体中が痣だらけであった。
    弾かれたように逃げようとしたものだから男は咄嗟に釣り糸を掴んだ。掌の中に食い込む針の痛みに構わず男は唇を開いた。
    「――お前、家族は」
    少年は怯えたように頭を横に振った。声が出ないのか、それとも出せないのか。それでもスタンド能力を解除しようとはしない。男はぞくりとした。腕を這い上がっていく釣り針と糸の感覚。この少年はオ 1665