※11/12私の上司はスパダリである ずいぶん日が暮れるのが早くなった。久しぶりに悪魔学校に顔を出して担任であり師匠であるイフリート先生に近況報告と進路相談、それから手合わせをしてもらって、その後魔術開発師団に顔を出して……気がついたら外は真っ暗である。
「早く帰ってごはんつくらないと」
自分で言っておいて所帯じみてておかしい。まだギリギリ学生だ。けど研修という名目で盤外王メフィスト様の秘書をしている。SDの研修も受けているからSDにもなれるけど断られた。
「SDだと……手を出しづらいから、秘書(研修中)でいてね」
とのことだ。
それを!口に!出すな!! と、思わなくもないけどまあいい。何しろ顔がいい。あの顔で言われたら、大体のことは許せる。メフィスト様はいわゆる細マッチョなので腹斜筋から広背筋にかけても最高だと思う。いい筋肉といい顔。許せないことなどない。
「何かいいことあった?」
「いいことって言うか……うへ、メフィスト様!」
「暗くなってきたから迎えにきちゃった♡」
学校の門を抜けたところにいたイケメンに声をかけられたと思ったらメフィスト様だった。秘書の分際で迎えにきていただくとか申し訳なさすぎる!
「す、すみません。ご足労いただいてしまって」
「俺が来たくて来ただけだよ。寒くなってきたし早く帰ろう」
そう言って指さされたのは車だった。
「え、あれ」
「うん。借りてきた。ドライブして帰ろう。ごはんも途中で食べればいいよ」
「重ね重ね申し訳ない……!」
「謝るの禁止。言ったでしょう。俺がしたくてしてるんだって」
はい、どーぞと助手席を勧められる。エスコートも完璧とかどこのスパダリなのかしら、このイケメン……私の上司だったわ。
「ありがとう、ございます」
「どういたしまして♡」
シートベルトをしていたら額にちゅっとやられた。暗くて良かった。本当に良かった。これでメフィスト様の顔を直視した日にはイケメンの摂取過多で過呼吸になりそうだ。