※11/13ごめんね、メフィスト様とそれ以外だと思っているから 魔界南方のリゾート地にて、メフィスト様の視察に秘書として同伴している。今はメフィスト様が商業施設の偉いヒトとご挨拶をされているので私は傷心旅行中のブラちゃんことゼブブラちゃんに手伝わせながら、現場レベルでの視察中である。
私が先に見て気になるところがあれば、この後偉いヒトとメフィスト様で視察をするときに耳打ちしたりするわけだ。
「なー、あの店見ていい?」
「構いませんけど、気になることが?」
「あたしの好きなブランドチェックしたい」
「3秒で済ませてください」
「え、ちょ、行ってくる!」
行くんかい。結局30秒で戻って来たから許してやろう。
「あんたなんで、あいつの秘書なんかしてんの」
「顔がいいので」
「ふうん。え、マジ? 確か前は雷帝……今は英雄か。あいつの秘書だったよね? あっちも顔はいいと思うけど」
「私の好みじゃないんですよ」
各店の接客態度やゴミ箱、通路の隅なんかを見ながらサクサク歩く。ブラちゃんがちょいちょい引っかかるけど、たまに見落とせないことも言うので一応付き合う。
「あと、あのヒト横暴なんで……」
「メフィストはそうじゃない?」
「気になったことはないですね。顔が好きなら大体のことは許せるので」
「ふうん。あたしのとこに来ない?」
「行かない。顔は嫌いじゃないけど、メフィスト様の顔が一番好きだから」
「振られちゃったよ」
さして気にした風でもなくブラちゃんは笑って横を歩いている。一通り施設内を一周してメフィスト様のところへ戻った。
「おかえり。楽しかった?」
「メフィスト様がいらっしゃらないので楽しくなかったです。普通に仕事でしたし」
「あたしがいたろうがよ。こいつ本当にメフィストのことしか眼中にねえなあ」
ブラちゃんの言葉にメフィスト様がニコーっと笑った。
「そうだよ。俺のだからあげないよ」
「ウザいし独占欲がキモい。いらねえよもう。威嚇すんなバカ」