11/18私の上司は何を着てもカッコいい!着ていなくてもカッコいい!!(ヤケクソ)「……」
「すんごい顔するね」
「ちょっと感極まってて……マフラーめちゃくちゃお似合いですね」
北の地方にある雪山の魔獣の討伐を依頼されたメフィスト様と共に秘書として同行する私は今、雪に覆われたログハウスに滞在している。
朝起きてメフィスト様のお召し物を用意するわけだけど、メフィスト様にマフラーを巻いたらめちゃくちゃにカッコ良かった。背の高いイケメンがマフラーで口元を覆っている。拝みたいくらいカッコいい。
「メフィスト様、失礼しますね」
ス魔ホで写真を撮らせてもらう。事前に聞くと拒否されるので勝手に撮ることにした。なにしろメフィスト様も私を勝手に撮るので、もういい気がしたのだ。
「俺も撮る」
お揃いの上着を着せられ、やっぱりお揃いのマフラーを巻かれて肩を寄せられる。パシャパシャと写真を撮ってからいざ出発だ。
この一連の流れ(私がメフィスト様に服を着せて感極まるところからツーショットを撮るまで)をここに来てから3日間、毎日繰り返している。仕方ない。メフィスト様は何をお召でもかっこ良すぎるからね!! 私の上司が最高にカッコいい。好き。
一通り済んだらログハウスを出て魔獣の発生地へ向かう。3日の調査を経てだいたいの発生地を絞り込み、且つ発生した魔獣の種類を絞り込んだ。イエティとかユキワラシとかそういうのだ。
今日一日かけて発生している数や大きさを確認して明日から本格的に討伐の予定である。
「んー、でもそんなに多くないし警告だけでもいいと思うよ」
午前中の間に調べた結果を見てメフィスト様が言った。そのとおり、そもそも数が多くない。気性が荒いから悪魔族と揉めがちだけど、住み分けできない数ではないと思う。
「そうですね。一旦戻って地図を見直しますか」
「そうしよっか」
吹雪がキツくて飛ぶのも一苦労である。手をつないで(はぐれないように)低い位置を飛んでログハウスに戻る。地元の方と地図を囲んで住み分けについて相談し、翌日の予定を討伐から説得に変更する。
「目処がついて良かった。今日は休もうか」
「そですね。お風呂の用意をして参りますね」
「二人分ね」
私はハチャメチャに嫌そうな顔をしたつもりなのに、メフィスト様はニコーっと微笑んだ。
「あの、お疲れでしょうしお一人でゆっくりなさっていただいて」
「疲れてるから背中流して♡」
「……」
反論を考えているうちに腕を引っ掴まれて風呂……露天の温泉に連れて行かれた。ちなみにこのやり取りも3日目だし、只今連敗中である。
「いい加減抵抗するのやめたらいいのに」
湯船で後ろから抱えられながらメフィスト様が笑う。
「私にも羞恥心てもんがあるんすよ!!」
「恥ずかしがりつつ抗えないのが最高にかわいいね♡」
ほんとやだ。一番やなのは結局流されていることと、それでもこのヒトのことが好きで堪らないことだった。