※11/21進路の話、伝わらないだろうけどほぼのろけ「今は13冠のメフィスト様の秘書だっけ。SDにはならないの?」
「断られたんですよ」
悪魔学校にて担任のイフリート先生と進路相談中の私である。普段は見習い秘書としてメフィスト様の元で仕事をしつつ、ハウスキーピングも行っている。ほぼSDみたいなものだけど、正式にSDとして働くことは断られた。
「ふうん。君は優秀だしSDとしても問題なく務められると思うけどね」
「私もそう思うんです。でも雇い主が雇わないって言うのなら無理は言えないです」
もったいないなとイフリート先生が紫煙を吐き出すので、私は曖昧に頷いた。メフィスト様が私をSDにしないのは「手を出しづらくなるから」だそうだ。
「SDに手を出したら俺のことが好きキスしてくれるのか、仕事だからキスを受け入れているのかわからなくなるから嫌だよ」
と言われた。言い方を考えてほしい。デリカシー皆無の言い草だ。でもってそれをイフリート先生には言えないので、ダメでしたね、えへへ、と言うしかないのである。
まー私としても仕事だからチューしてると思われるのは誠に遺憾なのでSDにならないなら、ならないで構わない。たしかに手を出しつつSDだと、それ愛人では? って気になるし、じゃあ手を出されない場合、メフィスト様がいずれ奥方を迎えて、その他所の女の世話まで私がするわけだ。
普通に嫌だが?
てなわけで、私はメフィスト様のSDにはならないし、メフィスト様もそれを望まない。オッケー、なんの問題もなし。
「SDにならないのなら、学校に残るって手もあるよ」
「学校に残る?」
「君はSD講座の成績がいいからね。その教師になってもいいし、魔歴も今の成績なら推薦できるよ」
「辞めときます」
「即決するじゃん」
「メフィスト様といるのが楽しいので、秘書続けたいです」
「そっか」
進路相談は現状維持。小一時間ほど手合わせをしてもらってメフィスト様に魔インを出して魔術開発師団に顔を出して学校を出る。
「……自分で帰れますよ」
「俺が迎えに来たいんだよ」
いつからか月一で学校に来るとメフィスト様は毎回迎えに来るようになった。嬉しいけど、申し訳ない。
「帰ろう」
メフィスト様が私の手を引く。その手を握り返して羽を広げた。