※11/24マーキングしときたいのはお互い様でしょ「こう、ぱっと見で俺のってわかるようにしたいんだけど」
「はあ」
バベルに呼ばれて並んでパタパタと飛んでいる途中。横にいるイケメンことメフィスト様が意味不明なことを言い出した。
「見るからに俺のもので、誰も手を出す気にならないようにしたいんだよね」
「それは、なにについてでしょうか」
「君」
そんな気はしてたけども。私の訝しげな顔に気付いてかメフィスト様が説明を足した。
「僕のってわかるようにしとかないと不安でしょ」
「意味がちょっと、わかりかねます?」
特に情報が増えなかったな……。というか不安? こちらのセリフだが?
「君はすぐに誑かすから」
「私はメフィスト様以外の方に興味はないのですが……」
「そうかもしれないけど、それを万人が知ってるわけじゃないし」
「そもそも、私が身に着けているアクセサリー類は全てメフィスト様から頂いた品ですし、これ以上は難しいのでは」
早くバベルに着かないかなと思いつつパタパタと飛ぶ。メフィスト様は割と独占欲強めというかマーキング意識が強い。たぶん私がやり方を間違えたら監禁されそう。それは困る。学校は卒業したいし、食材の買い出しは自分の目で見て買いたい。メフィスト様に任せるなんて論外だし、それで萎びた野菜を買われてモヤモヤしたくない。
「わかっているよ。だけど出来ることはしたいって話」
「ここからさらに何かなさる?」
「でも思いつかないんだよね」
「そうですねえ」
やっとバベルに着いた。メフィスト様の後から付いて入り、集いの部屋の前で見送る。
「逆に考えてみましょう」
「うん?」
辺りを見回して、誰もいないことを確認する。魔術も使って誰も上がってきていないことも確認した。
「屈んでください」
私の口元に耳を寄せたメフィスト様の耳の後ろの髪をよけてキスをした。ちょっと強めに吸って痕を残す。いい感じに痕がついたので髪を戻せば傍からは見えない。
「ありがとうございました。行ってらっしゃいませ」
「……」
「メフィスト様?」
「……帰ろう」
「は? ダメですよ?」
めちゃくちゃ真顔で肩を掴まれた。痛いが?
「あのね、良くないと思うよ、そういうの。俺はこれからどんな気持ちで集いに参加しなきゃいけないわけ?」
「え――ダメ、でしたか」
「ダメじゃないから怒ってるんだよ!」
怒られてるの、私。なんでえ。
「集いは出ないわけには行かないから行くけど、誰も誑かさないで待ってて。出来るだけ急ぐから。いいね」
「わかりました。お待ち申し上げております」
そしてメフィスト様は私の額に口付けて集いが行われる部屋へと入って行った。残された私は使用人控室へ向かう。
なんかもうちょっと、怒られなさそうなマーキング方法を考えておこう。