11/26初々しくはないけど、慣れるにはまだかかる「やっぱりデート止める?めちゃくちゃかわいいから、外に出したくないんだけど」
「せっかくメフィスト様とお出かけするために服を選んだのに!?」
デートとやらの日である。昼ごはんの後に気合を入れて支度をしたら、まさかのキャンセルでしょんぼりしたらメフィスト様がすんごい顔をした。イケメンが台無し……。
「そういうかわいいことを言われるとますます出られない……でもデートはしたい……」
「そんな悩まなくても。メフィスト様も用意なさってるわけですし行きましょう」
放っておくと無限に悩みそうなので腕を掴んで外に出る。羽を広げてメフィスト様を引っぱると観念したのかメフィスト様も羽を出した。
「離れないでね」
「もちろんです!」
パタパタとマジカルストリートまで飛ぶ。入り口で降りて、そこからは手を繋いで歩いて行く。平日日中で学生がいないからそれなりに空いていて、服を見たり本を見たり長閑にウロウロする。途中でオヤツを食べていたら、学校が終わったのか学生がちらほら歩いている。
「あれ、イルマくんだ」
「隣にいらっしゃるのはアザゼル様のご息女ですね」
「あ、メフィストさーん」
二人もデートとやらか? メフィスト様とイルマくんはにこやかに挨拶をしている。
「こんにちは。アザゼル様のご息女の……失礼、お名前を伺っても?」
「アメリです。メフィスト様には父がお世話になっております。あの、学校でお見かけしたと思うのですが」
「あ、はい。6年生です。今は研修中でメフィスト様の秘書してます。アメリさんは、イルマくんとデート?」
「んなっ、そ、そういう、わけ……なのか……?」
「イルマくんからそう聞いたとメフィスト様が」
「!!!」
耳をピンと立てて顔を真っ赤にするアメリさんに私の胸がキュンとする。かわいい!恋する乙女、かわゆい!!
「メフィスト様、お二方もデートだそうなので、邪魔しちゃ悪いです。行きましょう」
「ごめんね、デートの邪魔して」
メフィスト様に耳打ちをすると普通にそういうことを言うし、イルマくんまで真っ赤になった。うわー!初々しい!!!かわいい!!!
「俺らもデート中だから、またね」
「そ、そういうことをサラッと言う!」
「やー、言わないと意識してくれないでしょ」
「言われなくてもしてますけど!?」
あははと笑いながらメフィスト様は私の手を引いて歩き出す。私は顔の赤いアメリさんとイルマくんに頭を下げてからメフィスト様に着いて行く。
「イルマくんからデートするとは聞いてたんだけど今日だったかー」
「そうなんですね。……それでご自分も、ということです?」
「そうそう。俺も初々しいデートをしてみたかったから」
初々しいかなあ? ご一緒するのはやぶさかではないのだけど。
「じゃあ、暗くなってきたし帰ろうか」
「承知しました」
マジカルストリートの入り口まで戻って羽を広げたらメフィスト様が私の顔を覗き込んだ。
「帰ったら、そのかわいい服脱がさせてね」
「なんにも初々しくないじゃないですかあ」
「それはそれ、これはこれ」
笑いながらメフィスト様が浮かび上がる。どんな顔で付いて行けばいいんだ……。