11/27最強かわいい俺の秘書(酔っ払い)「ごめんなさいねえ、メフィスト様。こんなに弱いとは思わなくて」
「いえ、見ていてくださってありがとうございます。アムリリス様」
俺はアムリリス様から秘書を受け取った。横ではバチコちゃんがそわそわしていて、オペラさんが荷物を持ってくれている。
「お先に失礼します」
頭を下げて、かわいい秘書を前に抱えてバベルを飛び立つ。
「まったく、他に男連中がいなくて良かったよ」
何事かと言えば、俺が報告に行っている間にかわいい秘書が先ほどの女性陣とお茶会をしていたらしいのだけど、アムリリス様オススメのウィスキーボンボンで酔っ払ってひっくり返ったらしい。自分が飲まないものだから(夜に支障をきたすから)、この娘が飲めるかどうか、気にしたことがなかった。
迎えに行ったら介抱されていて、血の気が引いた。幸い酔っ払って寝てしまっただけなので抱えて帰る。
家についてベッドに降ろすと、うっすらと目を開けた。
「起きた? 大丈夫?」
「メフィ、さま」
「うん。水を持ってくるから待ってて」
「やだあ」
いつもなら申し訳ございませんとか、お気遣いなくとか素っ気なく言う彼女が目を涙でいっぱいにしてヤダヤダとゴネ始めた。なんてこった。
「ちょっと水を取ってくるだけだから」
「やです、ダメです。やーだー」
まるで子供のように駄々をこね始めてしまった。いやかわいいけどね。めちゃくちゃにかわいいんだけども!!
「……じゃあ、一緒に行こう。立てる?」
「んう」
彼女はノソノソと起き上がり、両手を広げた。抱っこか? 抱っこを求められているのか? 普段が普段なだけに嬉しさとかより困惑が大きい。ツンと澄ましているところを甘やかすのが楽しいのに、いやでもこれはこれで?
甘えられるがままに抱えてやり、厨房にて水を飲ませる。ぼんやりと赤い顔で俺にもたれかかって水を飲む様子は端的に言って最強に可愛かったし、外に出しちゃダメだと思う。水差しとコップも持って寝室に戻る。
寝かせると当然のように添い寝を求められた。俺が寝ないなら自分も寝ないと駄々をこねている! 可愛すぎて感動したけど、たぶん酔いが醒めたら忘れているんだろうなあ。……今のうちに堪能しておこう。
「気分は悪くない?」
「メフィストさまがいるから、だいじぶ」
だいじぶかあ。顔も首も耳も真っ赤にして彼女は俺の胸にくっついている。脱がせたいなあ!! けどあんまり激しくして吐いたら可哀想だ。
「お酒弱い?」
「……うん。苦くて」
それはつまり苦くて好きじゃないから、そもそも強いか弱いかもわからないんだろうなあ。飲み方を教えるべきかもしれない。
そういうのは嫌いじゃない。間違えた、大好きですね。俺ががっつり育て上げようと思います。
気付けば可愛い娘はスヤスヤと寝てしまった。めちゃくちゃ生殺しだけど、今のうちに仕事を済ませて起きたらまた可愛がろう。慌てふためく姿が目に浮かんで、思わず口元が弛んだ。