11/28酒なんて!二度と飲まない!(フラグ)「あれえ」
目が覚めたら帰宅していた。というかベッドに寝かされていた。おかしいな。バベルで女子会をしていたと思うのだけど……たしかアムリリス様にチョコレートを頂いて……?
ダメだ。そこからベッドまでの記憶がない。部屋は薄暗くて、私の服はたぶんそのまま。
「起きた?」
「メフィスト様」
部屋に明かりが灯されて目をパチパチしながら起き上がるとメフィスト様がベッドに腰を下ろす。
「あの」
「気分は悪くない? 寝てていいよ」
「えと、だいじょぶ、です?」
「寝ぼけているね。アムリリス様にもらった菓子にお酒が入っていて、倒れたから連れて帰ってきたんだよ」
「すみません……」
迂闊だった。そして不覚!! お酒は弱いから気をつけていたのに……!!
「俺も味見させてもらったけど、結構度数高かったから弱いとキツイかもね」
メフィスト様は笑って私の頭を撫でた。
「申し訳ございません。お酒は、あんまり……」
「みたいだね。いいよ、ちょっとずつ慣れればいいし、無理して飲むものでもないから」
ところで、とメフィスト様がベッドに乗り出して顔を寄せてきた。思わず下がろうとしたら肩を押されて仰向けに倒れる。メフィスト様が私に覆いかぶさる。
「ひえ」
「帰ってきたときのこと、覚えてる?」
「え、いえ、あの、なにか粗相を??」
「粗相ではないかな。めちゃくちゃ可愛かったし」
正直に言って、メフィスト様の顔はハチャメチャに怖かった。羽管が痺れるくらい怖い。
「今まで酔っ払って倒れたことは?」
「ない、です」
「そっか。今後、俺のいないところではお酒禁止」
「はい」
そもそも味が苦手で飲まないのでそれはいい、のだけど。私は一体何をやらかしてメフィスト様をここまで怒らせたのか。マジでちっともわからん。
「知りたい? 何したのか」
「知りたい、です」
「俺が一緒じゃないと寝ないって駄々をこねて」
「うへえ」
「抱っこじゃないと移動しないって駄々をこねて」
「あの、ほんとすみませんでした」
そっかあ。飲まないから知らなかったけど、私は酔うと甘えたになるタイプか……知りたくなかったし、そりゃ他所で飲むなと言われるわな。
「だけど仕事しないといけないからね。俺は君が寝ている間に頑張って明日中分くらいまでは終わらせてきたのです」
「それは、お疲れ様です?」
「ね、気分は悪くない?」
「だ、だいじょぶ、です」
「じゃあ大丈夫だね」
なにが!? いやいい、言わなくていい。しかしメフィスト様がその気になったのを私が止められた試しなどない。大人しくされるがままに無事に明日を迎えられることを祈るしかないのだ。そういえばメフィスト様は明日の分まで仕事を終わらせてあるって言ってたなあ。つまり明後日の朝日を拝めることを祈らねばならんのか。二度と酒なんか飲まねえ。