11/30なにからなにまで私のモノ「なー、メフィストって普段どんな感じなんだ?」
バベルの食堂にてメフィスト様と共に次の仕事の予定を確認していると、隣にバチコちゃんがやってきた。
「それ、俺がいる前で聞く?」
「お前ら離れないだろーが」
思いっきり嫌そうな顔をしつつ、バチコちゃんはオヤツを食べている。私にもくれたのでありがたくいただき、私の持っていたオヤツをバチコちゃんに差し出す。流れるようなオヤツ交換にメフィスト様が目を丸くする。
「普通ですよ。淡々と仕事をなさってます。バチコちゃんはどうですか?」
「書類はあんま得意じゃねえけど、本家なら手伝いもいるしぼちぼちだな。つーか、もっとべったりしてんのかと」
「家だとそうでもないです。私は家の事で走り回っていますし、メフィスト様は仕事に忙殺されていて書斎にこもりきりですし。13冠、わかってはいましたけど忙しいですよね」
「そーなんだよ! ワガママし放題なんだけどな! それに伴う責任とか御役目がな……」
「まーあのやりたい放題暴君のバール様ですら忙しくされてましたから、仕方ないですね。そういえば最近パイモン様にお会いしました?」
パイモン様の名前を出すとバチコちゃんはめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。かわいいね!!
「なんで、あのズーズー女と? いや、昨日カラオケ行ったけど」
「先日行った北部にパイモン様がお好きそうな漬物セットがありまして」
「あー、そういうの好きな、アイツ」
しばらく話してバチコちゃんは用事があると食堂を出ていった。私は手元の書類に視線を戻す。
「ねえ、わざと話逸らした?」
メフィスト様が正面でニヤニヤしている。
「ええ」
「なんで?」
言わなくてもわかってそうだけど、言ってほしそうにしているので淡々と答える。
「私以外の悪魔にメフィスト様の私生活をお知りいただく必要はありませんので」
「そっか」
メフィスト様はニコーっとして手元の紙を捲った。その指先から毛先から、なにからなにに至るまで、全部を把握しているのは私だけでいいと思っている。