12/7甘やかして、先のことを忘れさせて 悪魔学校の帰り道、メフィスト様とマジカルストリートを歩いているとケーキやスイーツのギフトセットがそこかしこで売られていた。もうすぐ年末だからなー。
年末になるとなにがあるか。良い話と悪い話があって、良い話は休めることである。13月中は丸っと休める。毎朝メフィスト様と起きるや起きざるやでハチャメチャ揉めているけれど、13月中くらいは一緒に寝ていても良いかもしれない。
悪い話は13月前後がバカみたいに忙しいことだ。12月中は貴族会への誘いやトラブル対応が増えるし、1月に入るとそれはそれで貴族会への誘いが増えて13冠の集いもあるので準備にバタつく。
考えるだけで目眩がしそうだけど、気付くとメフィスト様がこちらを覗き込んでいた。
「いかがなさいましたか?」
「何か甘いモノ買っていく?」
「気になる品がありましたか?」
「て言うより、疲れた顔をしていたから一緒に食べたい」
「……適当に選んできます」
大人しく甘やかされようと積まれたケーキに足を向けるとメフィスト様もついてくる。そして、
「全部一個ずつください」
と、流れるようにおっしゃった。セレブかよ。セレブじゃないけど13冠だったわ……。
ケーキの箱を受け取って店から出る。はわわ……魔術で軽くしつつバランスを取りつつメフィスト様と手分けして運ぶ。
「どんなワガママだって許されるからね、13冠はさ。カワイイ子を甘やかすためならケーキくらい、いくらでも買うよね」
「甘やかしの規模が違くてびっくりしました」
「帰ったら一緒に食べよ」
メフィスト様はニコニコしながら歩いている。このケーキを食べたら私は13月に向けて気合を入れないといけない。けど、たぶん私の疲れた顔の理由を聞いたら、メフィスト様の方が嫌な顔をする気もする。それを想像して、ちょっと顔が弛んだ。
大丈夫、一緒に乗り越えましょ。