2/27たまに見せる隙がかわいい「ふんふふんふふーん」
最近ずいぶん暖かくなってきて、家事がはかどる。とーってもはかどる。
「ふふふーん」
家中のホコリをはたいたり、天気がいいからカーテンや絨毯の大物を掃除しちゃうし、玄関とかベランダに水も流す。
「ふふふん」
あとはどこを掃除しようかなー。台所は明日一日ガッツリ時間をかけたいし……。
「たったらったたー」
鼻歌交じりで掃除道具の手入れをする。まだ日が高いし庭の手入れでもしてこようか。魔草を集めて干してもいい。
「よし、気分がいいうちに庭に行こう!」
そう独りごちて振り向いたら――メフィスト様がいた。
「え、わ、えっ……あの、いつから?」
「け、けっこう、まえ」
メフィスト様は口元を押さえて肩を震わせている。
「ふふふーん、のあたりかな」
「い、言ってくださいよ!!!!」
「だって! めちゃくちゃ機嫌良さそうだったから、邪魔しちゃ、わるいかなって、あはは!」
「そんな笑わなくても!!」
そう怒ったところで、メフィスト様の笑いが止まるわけもなく、ひたすら笑い転げている。
「もー、なにがそんなにおかしいんですか」
「ごめん。おかしいって言うより、かわいかった。普段とずいぶん様子が違ったから、声をかけそびれちゃって」
やっと笑うのを止めたメフィスト様は、謝りながら私の頭を撫でる。
「鼻歌なんて初めて聞いたし、そもそも独り言もほとんど言わないから珍しくって」
「……天気が良かったので、つい」
恥ずかしくて、つい口をとがらせたらキスされる。
「いくらでも歌ってくれていいよ?」
「……やめておきます。ところで、なにか用事だったのでは」
話をそらすとメフィスト様はニコッと笑ってから頷いた。
「うん。スケジュールの確認に来たんだ。ナルニアくんに頼まれてた件って、いつまでだっけ」
「そちらは来月いっぱいです。魔関署の年度内の予算に含めるとうかがいましたので」
「わかった。ありがとう」
メフィスト様は書斎へと戻っていった。私は今度こそ庭へ向かう。
……しばらくは鼻歌に気をつけよう。めちゃくちゃ恥ずかしかった!!