6/2mfst6/4の夜遅く、街から離れたある邸宅で 女の子を、彼女の住む魔ンションまで送った。エントランスで見送って外に出ると、誰かが走り去っていくのが見えた。
何か手は打たないといけないけど、いきなり手を出すのはためらわれる。わかりやすい理由でもあればいいんだけど。昔なら「視界に入ったから」と言って消せたのに、今はそうもいかないらしい。
帰宅して軽く仕事を済ませ、シャワーを浴びてベッドに横になった。
彼女と約束したパンケーキとチョコレートファウンテンの予約をいれなきゃ。他に何が好きなんだろう。
デザートビュッフェにはワッフルやフルーツ、アイスに、それにパスタやサンドイッチといった軽食もあるらしい。
「……あの子、けっこう食べそだよね」
彼女が食べているところは、月曜日に一度見ただけだ。けど、大きな口を開けて、本当に美味しそうに食べてた。
初めて会ったときみたいにメソメソした顔じゃなくて、美味しそうに食べてるところをもっと見たい。
もちろん俺の下で蕩けるような顔をしているのも悪くなかったけど、それより明るい場所でニコニコしているほうが、もっと可愛いかもしれない。
そんなことを考えていたら、ス魔ホが震えた。開くと、『おやすみなさい』の一言。彼女からだった。
「……ああ、もう」
ちょうど君のことを考えてた。
どんなふうに笑うんだろうとか、美味しいものをたくさん用意したら喜んでくれるかなとか。
やっぱり、すぐ帰らなきゃよかった。警戒されるだけだと思って我慢したけど、本当は家に上がりたかったし、連れ帰りたかった。
ダメだ。たった一言のメッセージで、こんなにも浮かれてる。
深呼吸して、もう一度ス魔ホを見る。少し考えてから、同じように『おやすみ』と返した。
……彼女は、どんな気持ちで送ってくれたんだろう。明日は、俺から送ってみよう。同じように、少しでも心を動かせたらいい。
やっぱり、喜んでくれるのが一番うれしいけど。