惚気はいいので、用件を「そう、俺は一人じゃないんだ」
揺蕩う長い青髪に指先を通し、ナホビノは微笑む。
「この髪の色もアオガミの色。この瞳の色も。凄く綺麗な色」
『少年、私は君の髪と瞳の色こそ美しいと思う。この姿に反映されていないのが惜しい程に』
「……ふふ、お互い様か」
『そのようだ』
長い睫の影が掛かる頬を赤らめ、ナホビノは微笑む。
目前に立つ悪魔ではなく、自身の半身へと向けて。
「……」
余計な質問をしてしまったと、惚気に当てられたオンギョウキは眉間を押さえつつ、この場を去る選択をしたのであった。
「せいぜい仲良くやるがよい」
"彼ら"の恋路に巻き込まれるのはごめんだと。