愛を忘れようとした臆病な鬼の話人を愛することが下手なんだと感じていた
俺には生涯全てを捧げてもいいと思った女がいた
俺なりに愛し守り、側にいたつもりだった
子供が産まれた時、年甲斐もなく喜び泣いた
小さな命と、懸命に命を育み産んでくれた妻に、
心からの愛と感謝があった
いつからだろう
積み上げた積み木が、音を立てて落ちていったのは
ガラガラと、止めようとしても次から次へと積み木が崩れゆき
妻の声、息子の声がその音で掻き消され
なにも聞こえなくなり、伝えられなくなったのは
分かっている、俺自身のせいだと
仕事にかまけて、俺が家族という絆を解いていたことを
ただ、認めなくなかったんだ
間違いなく愛していた、2人を幸せにだってしたかった
2人のために街を、世界を、死ぬ気で守り抜いてきたと思っていた
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