ー父がいたらあんな感じなのか…いや、僕が持つこの気持ちはそんな簡単なものじゃない…ー
暁人は唯一の家族の麻里を失い両親に別れの挨拶をして鳥居を潜りKKとも二度と逢うことが無い別れを済ませた。
失うことが多い夜だった。KKが体から消えたと同時に暁人が扱えたエーテルは見る影もない、勿論霊視もできないグラップルもできないそもそもマレビトを視る事もできなくなったのだ。
あの夜が夢だったのではないかと錯覚を覚えるぐらい日常は普通に進む。進む、進む。
唯一手元に残った彼の物は写真が入ったパスケース。これも時期手放す時が来るのだろう。
全てが終わって人々が戻った後エドにKKの事を聞いた。
KKのアジトには何もなかったからだ。彼の事が分かるものがなにもかも。分からないだらけなのにKKは伝言と言う名の遺言を暁人に託したのかと苦笑いを浮かべるしかなかった暁人の前にエドが現れたのは僥倖だったのかもしれない。
980