「 銘心鏤骨 「 銘心鏤骨 」
気をつけていた、この体は以前の俺とはまるで別物のだから、もろすぎるから気をつけていた・・だが慣れとは
恐ろしいと今痛感した・・・油断はしていなかった。
『以前の俺なら簡単に両方守れると』
夜狩り中の些細な連携ミスで新人の一人がやられそうになり無意識に飛び出していた。
そう以前の魏 無羨なら余裕で新人も自分自身を守ってそして敵も倒していただろう。
だが今はそれが出来ない今は敵の動きを一時的に封じて「今だ、みんなのところまで下がれ」
慌てて新人が蒼い顔で下がっていく魏嬰は笛を敵に向けて動きを止めるが長くは持たない。
「ら・・含光君頼む」と言葉を発する前に敵が粉砕した。
流石藍湛助かる・・昔からここぞという処で助けてくれる、それを期待していた自分がいたことを再確認する。
ホッとしてみんなの方を振り向いて
「これで最後かな?お前ら今夜の件はちゃんと良いとこと悪い所まとめて書いとけよ。」
「魏嬰」
目の前に藍湛が駆け寄ってきて俺を何かから護るかのように抱きしめた。
「藍湛!」
魏嬰の腕の中で藍湛が背中から血を流していた。
「大丈夫だかすり傷だ。」
「馬鹿か、思追止血と万が一にの為に毒消しを」
「はい、景儀 金凌援護頼む。」
思追が魏嬰の隣まで来て乾坤袋から薬を取り出すと
魏嬰に渡そうとしたが手が止まった。
「魏嬰駄目だ。」
魏嬰の腕の中の藍湛が声をかける。
「魏先輩、しっかりしてください!」
目の前に手負いの敵がいた、違う場所からこちらに逃げてきたのか・・その相手を睨みつけていた、真っ赤な眼で笛を握っていない空いた手で静かに藍湛の髪を撫でて
「お前良い度胸だな俺のものに傷つけやがってこの傷の償い魂の消滅で許してやるよ。今回は怪我の手当のが最優先だから特別に楽に死なせてやるよ。」
冷たい眼で冷たい口調で笛を相手に降り下ろす動作をすると手負いの敵はさらさらと黒い灰になって消えた。
その様子を見ていた誰もが呆然として動けなかった。
「思追、薬を。後含光君を運ぶの手伝って俺の力じゃ無理だから」
「良かった、いつもの魏先輩だ・・分りました手伝います。」
いつもの口調に戻ったのを見てみんなが安心した。
「お前ら一応警戒しながら歩けよ」
金凌が弓を握り直して周りに声をかけた。
その姿を見て魏嬰が『父親に似てきたな』
「魏嬰、大丈夫だ歩ける。」
「手を貸すぐらいさせてくれ、この傷は俺が油断したからだ、悪い。」