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    zuzuko0817

    典ソハ小説

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    zuzuko0817

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    典ソハ
    原稿合間の落書き
    とてもハッピー

    #典ソハ
    formerSovietUnion

    穢れ祓いに断食を命じられて腹減りすぎたソが口内霊力摂取にハマる話「じゃあソハヤは今日からご飯抜きだね」

    主の隣に控える初期刀の蜂須賀が資料を片手にそう言う。え、とソハヤが抗議する前にその資料は厨番への渡された。静止する暇はなかった。

    「待てよ、腹減るだろ……?」
    「仕方ないだろう。戦闘での穢れ、手入れでは清められなかったのだから」

    敵短刀に呪符、噛みつかれると傷口から穢れの感染。厄介だね。とも彼は続ける。確かに本日の戦闘でソハヤへ肩口を噛みつかれた。穢れが侵入してきた感覚に気付いて己の霊力で浄化したつもりであったが厄介な呪符のせいで穢れが腹の中まで入ってしまった。幸いなのは痛みなどないことだ。手入れで傷口は治ったが穢れが取り除けない。審神者手製の紋を腹に描いてもらい穢れを祓うまでは紋の効能を保つために飲食は一切禁止であるという。

    「今日の夕飯唐揚げなのに!?」

    一端にソハヤは駄々をこねた。大食漢な審神者に顕現されたおかげで食べるとこが大好きな本丸だ。ソハヤも例外なく食べることが好きだし、厨番の作る飯も絶品だ。

    それなのに。三日三晩は飯抜きという。蜂須賀は可哀想だと思ったが相手にしなかった。経験を積み、初期刀として適度に流せる器用な刀であった。

    「絶対無理!!!!!」

    ソハヤの悲鳴だけが本丸中にこだました。






    ぐううう、と腹が鳴る。唐揚げの匂いをまとわりつかせて帰ってきた大典太をソハヤは恨みがましく見た。大所帯の飯を作った刀だ。それなりに匂いも体についている。この本丸の大典太光世は料理が得意であった。唐揚げも彼の得意な料理の一つだ。陰鬱なわりに、黙々と調理するのが嫌いではないのだ。特に油で肉を揚げているときのぷくぷくとした泡を見るのが好きなタイプ。
    今日も楽しく唐揚げを揚げたらしくいい匂いをさせて帰ってきた。いつもは気にならない。
    だってソハヤもその飯を食べる。でも今日は食べれない分、鼻が効いて、一層空腹を刺激した。

    「風呂入ってこいよ」
    「……遠征部隊が帰ってきてる。そちらが先だ」

    チッ、と舌打ちをすると嗜められてソハヤの機嫌は悪くなるばかりだ。

    「……なぁ、」
    「なんだ」
    「腹減った」
    「知ってる。でも我慢しなければいけないだろう」
    「わかってるけど」

    理性ではわかっていても、水もなにも喉を通せないのが辛かった。するすると誘われるように大典太に近づいて匂いだけでもと、大典太の内番着に鼻を埋める。腹の減る香りだ。

    すぅ、と息を吸い込んだところで少し腹の膨れる気がして、ソハヤは首を傾げた。何も食べてないのに。二、三回それを繰り返したところで気づく。
    これ、兄弟の霊力だ。
    腹の中が満たされる感覚。衣服の上からでも体に纏まりついた大典太の霊力が美味かった。ああ、でももっと。そうだな。肌が出てるところ、首とかそっちのがいっぱい食える。

    ソハヤは無意識に唇を大典太の首、それから上にと這わせて。

    「んっ、ふ……」

    気付けば口を吸っていた。美味しくて、腹の中が満たされて、気持ち良い。飢餓感から逃れたくてソハヤは夢中で口を吸う。

    「おい」

    驚きのあまり静止していた大典太がソハヤを引き剥がす。涎が糸を引いていた。無我夢中のソハヤが舌まで入れて口内の霊力を貪ったのだ。

    「口を吸うな」
    「……!わり、腹減ってて、つい」

    それがキスであるということにソハヤはすぐに思い至らなかった。所詮刀だ。そもそも大典太と恋仲でもなんでもない。ただよくないことをしてしまったとはわかって罰が悪かった。

    眉を下げて明らかにしょぼくれた顔をする。大典太はソハヤのこの顔に弱かった。つい甘やかしたくなる顔だ。

    「……少しだけだぞ。あと他の刀とはやるな。三池であっても、だ」

    そう言えば、ソハヤはぱっと顔を明るくさせて大典太の口を吸ってくる。腹が満たされて嬉しそうなソハヤが目を細めて笑う。

    どうしてそんなことを言ってのか、大典太には分からなかった。まだ。ただ、同位体であっても、彼と唇を合わせるのは許せなかった。
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