ふしぎなのかかん1 聖女エレインの毎日は意外と忙しい。
《生命の泉》を狙いに森へやってくる賊をやっつけるのはもちろんのこと、たまに訪れる《不法投棄》しに来る不届き者にお灸をすえるのも大事な仕事だ。どんな形であれ、森を汚す者は皆害悪である。
でも時々、《不法投棄》も役立つことはあった。捨てに来る人間にもちろんお仕置きはするが、そのおかげでエレインは素敵なテーブルを手に入れたのである。それは寒い日には暖かさをもたらす魔法のテーブルで、暑さ寒さどころか飢えすら関係ないエレインにも、心地よい温もりをもたらす不思議な家具だった。
「こんなに良いものを捨てるなんて人間てやっぱり分からないわ」
そうぼやく彼女の小脇には、さっき人間が捨てていった、まだふかふかの布団が抱えられている。
つまり良くも悪くも、《不法投棄》のせいというかおかげで、エレインが暮らす空間はぼちぼちといろんな素敵で不思議な物が増えていったのだった。