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    ムーンストーン

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    ムーンストーン

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    アルキード王国滅亡の日を回顧するラーハルト。
    ラーハルトとその家族の過去捏造です。
    バランに拾われるまで小さい子が一人でよく生き延びられたなと。
    公式?でハドラー率いる魔王軍の戦がはじまったのがラーハルト7才だそうで辛すぎる。

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #ラーハルト
    rahalto.
    #ヒュンケル
    hewlett-packard
    #バラン
    balun

    ラーハルト〜離岸ラーハルトは返り血で汚れた顔と手を湖で洗った。
    服も乾いた血でゴワついて不快だが拠点に戻るまで我慢するしかない。

    我が騎竜は水を飲み終えただろうかと、ラーハルトは顔を上げようとしてヒクリと頬が強張らせた。
    水面に映る青肌で両頬に黒の紋様のある若い男は、幼いころ死別した父に驚くほど似ていたからだ。

    ラーハルトの父の記憶は極僅かで、母子の住む家に食料や褒賞なのか略奪したのか貴金属などを持ってやってきては2〜3日過ごし、またふらりと去るというものだった。

    父が家にいる間は、二人で近くの森に罠を仕掛けたり、父が愛用の槍で捉えた獲物の血抜きや毛皮の処理などをしてすごした。

    特に父子の間に会話はなく、魔族の基準で普通の親子仲だったのかは未だにわからない。 
    だが少なくとも父と母が亡くなった後バラン様に拾って頂くまでその技術が我が身を養ったのは確かだった。 

    ラーハルトは時々考えることがある。
    もし自分の容姿が父の特徴に似ず、母のように「人間らしい」姿をしていれば母はあれほど迫害されずに済んだのではないかと。
     
    考える度にそんな筈はないと結論がでるのに、我ながら未練がましいとラーハルトは軽く頭を振った。

    父に関する最後の記憶は、ある日父の知人らしい魔族が半分に折れた槍を母に渡し、夫の死を悟り母は泣き崩れたことだった。

    魔族と恋におち半魔の子を産んでも、母は人間社会に生きていたため、畏怖の対象である父亡きあと「人間」による母子への差別と迫害は激化した。

    もともと裕福ではない生活が更に困窮し、母が病に倒れて医師を呼ぼうとしても取り付く島もなく断わられた。

    穢れた母子を積極的に殺したくはないが、自分達の目の届かない所で死んでほしいという人間共の浅ましい希望はラーハルトが11才になった頃、母の死という形で半分叶った。

    父が亡くなってから気力が萎えた母がひっそりと息を引き取った後、半日たってもラーハルトは枕辺から動けなかった。 

    頭では母を葬らなければならないとわかっているのに、このままじっと動かなければ母と父の側にいけるという後ろ向きな願望がラーハルトの身体を縛っていたのだ。
    息をひそめて既に冷たくなった母の手を擦っていた時、それはおこった。

    建付けの悪い扉が吹き飛び、家全体が軋む。
    音というより衝撃が肌に、身体全体に叩きつけられた。
    いまだ続く振動が己の鼓動だと意識に上った時、自分が身を守る為に床にうずくまっていたことに気づいた。

    ああ、自分は死にたくなかったのだと
    悟りラーハルトはのろのろと腰を上げ、生きる為に爆音と衝撃の原因を知るべく外に出た。
    家の直ぐ側にある森から常に聞こえている鳥や獣の鳴き声が聞こえず静まり返っている。そして遥か遠くに眩しい白い雲柱が天に刺さっていた。

    人知を超えたモノは猛々しくも美しい。
    しばらく雲柱に見惚れたあとラーハルトは母を亡き父の墓の隣に葬った。

    亡骸が戻らなかった父の墓は、僅かな遺品を埋め目印として自然石を置いただけの物で、母はよくその前で泣いていたものだった。

    正式な婚姻をしていなかった両親は、人間種族の契約である「死が二人を分かつまで」には縛られず「死しても寄り添う」ことになった。

    そして俺は、生きる為に成すべき事をしよう。
    半分折れた父の槍と僅かな身の回り品だけを持ち、母と過ごした家を離れた。
    それがラーハルトの母が最後まで離れられなかった「人間社会」との決別だった。

    グルル、と騎竜が主を呼ぶ声に応えてラーハルトは歩み寄る。
    騎竜の側に小舟が朽ちかけた縄で湖岸に繋がれていたのがラーハルトの目についた。
    未練がましい、と指の先で触れただけで縄は千切れ、ゆらゆらと湖の中心に向って小舟は動いていった。
    俺は「人間」から離れて「魔族」になることを選んだ。
    あの小舟は自ら選んだ行き先に辿り着くだろうか。
    ラーハルトは騎竜に跨がり拠点へ帰るべく手綱を引き絞った。



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    ムーンストーン

    DONEダイの大冒険 リア連載時から疑問だったバルトスの敵討ちについて書き連ねました。
    以下バルトスファンとヒュンケルファンには申し訳ない話しが続きますが個人の感想なのでお許し下さい。

    ハドラー(造物主)のから信頼より子への愛情を取って責任追及された事をメッセージに残す=ハドラーへ遺恨を残すことになりませんかとか魔物と人間とは騎士道精神は共通なのねとか。
    ダイ大世界は生みの親〈〈〈育ての親なのかも。
    20.審判(ヒュンケル/ランカークス村)〜勇者来来「勇者が来るぞ」
    「勇者に拐われるから魔城の外に出てはならんぞ」
    懐かしい仲間たちと父の声が地底魔城の地下深く、より安全な階層に設えられた子ども部屋に木霊する。
    この世に生をうけ二十年余りの人生で最も満ち足りていた日々。
    ヒュンケルがまだ子どもでいられた時代の思い出だ。


    「暗くなる前に帰んなさい!夜になると魔物がくるよ!」
    黄昏に急かされるようにランカークス村のポップの家へ急いでいた時、ふいに聞こえてきた母親らしい女の声と子供の甘え混じりの悲鳴を聞いてヒュンケルとダイは足を止めた。

    ヒュンケルが声の主はと先を覗うと見当に違わず若い母親と4〜5才の男の子が寄り添っていた。
    半ば開いた扉から暖かな光が漏れ夕食ができているのだろうシチューの旨そうな匂いが漂う。
    2661

    ムーンストーン

    DONEダイの大冒険 ナバラによるアルキード滅亡の日の回想です。
    テランの人口が急減した理由の一つに理不尽すぎる神罰があったのではないかと思います。
    あの世界の殆どの人は結局アルキードが何故滅びなければならなかったのか知らないままだから神の力の理不尽さに信仰が揺らいだ人も多いと思います。
    夢から覚めた日〜ナバラ「あの日」のテランは雲一つない穏やかな陽気だった。

    暑くもなく寒くもなく、洗濯日和と言わんばかりの優しい風が吹きすぎる。
    そんなうららかな日だというのに何時にないむずがりかたをするメルルにナバラは朝から手を焼いていた。

    「いつもお利口さんなのに今日はご機嫌ななめだねぇ」
    女所帯のナバラ達を気にかけて何かと助けてくれる近所の若者、ドノバンがあやしてくれたが更に大声で泣いてメルルは家の中に駆け込んでしまった。 
    「全くだよ。せっかく忙しいお兄さんが遊んでくれたのに」
    悪いねぇと詫びるナバラに、たまにはそんなこともありますよと気の良い笑顔を向け、若者は花と香炉の入った籠を取り上げ竜の礼拝所へ朝の礼拝に向かった。

    「全く信心深い子だよ。テラン人の中でも朝晩欠かさず竜の神殿に詣でるなんてあの子位だ」
    2604

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    ムーンストーン

    DONEメガンテを巡るポップとダイの攻防戦。(ダイは籠城戦です。外から友軍が来ないと敗ける…)R-18は念の為。
    ほぼ会話オンリーです。ダイが弱々で、アニメ58話冒頭の戦意喪失ダイにキュンとなって衝動的に(略)
    別の話になる予定だったので後で統合するかもしれません。
    魔法契約設定も含めて捏造だらけですが、ダイ大の「メガンテは魔法が使える人ならだれでも使用可能」設定だと契約なしで使えるかも?と妄想しました。
    The Point of No Return 回帰不能点〜ダイ酒場兼宿屋は夜になってもざわめきが消えない。
    人里離れたデルムリン島育ちのダイが人の気配の濃厚さに気疲れしているのを悟ったポップはダイに先に風呂へ入れと促した。
    カラスの行水ですぐ部屋に戻ったダイと入れ替わりにポップが一階の風呂に行くと、ダイは寝る前の準備として二人の荷物をすぐ持ち出せるようにそれぞれのベット上の足元に置いた。
    それは二人がデルムリン島から冒険の旅にでたときからの習慣だった。

    不思議なことに魔王軍に夜襲をかけられたことはほとんどないが、野生動物や凶暴化したモンスターに襲われたことは何度もある。

    ダイが相手を剣で切り払えば返り血で服や荷物が汚れるし、ポップがうっかり最近出力が上がり続けているメラを放とうものなら山火事になりかねない。
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