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    残念ながら全て幻覚でした!!!!(小噺only)
    ご感想諸々、何かございましたらこちらに:https://wavebox.me/wave/9299ekqq4xkt5d1e/

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    マサ音くん真ん中BDに上げようと思って真ん中BDから書き始めたやつ←

    #マサ音

    うたかたの聲にくちづけを。(マサ音)「へへ、マサだぁーいすきっ!」

    爽やかな夏の日差しのような笑顔で放たれたそれは、彼の口癖みたいなものだ。学園で同じクラスだった頃からよく言われている。例えば、忘れてきた教科書を借りれず困っていたところに見せてやった時や食堂で目当てのメニューが食べられず悄気ている姿にメロンパンを分けた時も。卒業後に仕事が重なり、その合間に談笑している時や台本内での漢字の読み仮名を教えてやった時も。その都度、あの満面の笑みで「大好き」と告げられる。
    表裏のない彼らしい素直な言葉に始めこそ動揺したものだが、今となっては慣れたものだ。先程のように告げられれば小さく笑みを浮かべ、なるだけ優しい声色でこう返す。
    「そうか。俺も一十木が大好きだぞ」
    こちらの想いなど梅雨知らずに毎度告げられる友人としての言葉に、『これが正解』と内心思いながら彼の顔を見遣れば、先刻よりも輝きの増した笑顔が返ってくる。
    ── その筈であった。
    「…………、ちがう」
    そう呟いてあからさまに消沈している姿態には垂れた犬耳と尻尾の幻覚が見える。
    「一十木?」
    何やら平常とは様子が異なる彼に小首を傾げながら名を呼び見つめると、意を決したかのような熱い視線とぶつかり、不意の出来事に思わず小さく胸が高鳴った。
    「マサ、好きだよ」
    普段の明るい笑顔からは想像し難い真剣な面持ちと声音で改めて伝えられる彼の好意に、先程の胸の高鳴りも相まってあらぬ勘違いをしてしまいそうになる。そんな筈はない、俺とお前は『親友』なのだから。
    「俺も好きだぞ」
    平静を装い変わらずそう答えれば、彼は「ちがう、ちがうんだよ」と釈然としない顔で寂しそうにこちらを見てくる。本当によく表情がころころと変わるものだ。しかし、一体何が違うというのだろうか。いつだって俺たちは『親友』なのだと、お前から公然に言ってきたのではないか。だから、俺は今『親友』として返しているというのに。俺は何一つ間違えてなどいやしない。そのような思いを胸に秘めつつも怪訝そうに彼を見つめ返せば、今にも泣き出しそうな眼差しで口を開いて。
    「……あいしてる」
    最初の笑顔も、勢いすら微塵も感じられない。ただ静かにぽつりと、周りが騒がしければ聞き逃してしまいそうなくらい弱々しい声で溢された言葉に、鈍器で殴られた様な衝撃が走る。嗚呼、まさか、そんな。聞き間違いではないかと思考を巡らし言葉に詰まっていた俺に、一十木は一瞬俯く。そして少し眉を下げながら顔を上げて、いつものように笑った。
    「ごめんごめん、冗談! 今度ドラマで親友に恋する役になってさ。相手の性格がマサに似てたから、つい……困らせて、本当にごめん」
    段々と尻すぼみになる声に合わせて逸らされた視線にずきりと胸が痛む。本当に冗談だったのだろうか?ならば、何故、彼はあのように諦めた顔をして笑うのだろう。
    「一十木」
    本当に冗談なのか?と確かめる声は出ない。
    この状態でそんな冗談を言えるほど、彼が器用ではないことを知っている。いつだって己に率直で、何事も真っ直ぐに突き進んでいく姿ばかりを隣で見てきたのだ。だからこそ、本来ならば話を合わせてやるのが『親友』のすべきことなのかもしれない。
    だが ──。
    「一十木」
    再び名を呼びながら徐に片手を伸ばす。指先が彼の頬に触れると、ぴくりと小さく身を引かれたが構わず包む様に手を添えて、緩りと親指の腹で頬骨なぞり撫でてやる。
    「こっちを向いてくれないか、一十木」
    「ッ、なに……、んっ!」
    流石に意識せざるを得ないのか、気恥ずかしそうに頬を淡く染め、ちらりと彼が此方を向いたその刹那。逃げぬように空き手で彼の片手を掴み、グッと引寄せながら顔を近付ければ、唇に柔くあたたかな温もりが伝わる。互いに目を閉じることなく見つめ合ったまま致す初めての口付けに、一十木は目を丸くして戸惑いの色を浮かばせつつも振り払うことなく身を委ねてくれている。それを良いことにそのまま幾度か唇を啄むように口付けを交わし、どちらからともなくそっと離せば、未だ混乱の中に陥る相手に一言。

    「俺も、お前を愛している」

    今まで堰き止めていた想いをゆっくりと紡ぐように、優しくそう伝えれば漸く状況を把握したのか顔を真っ赤に染めて涙ぐむ彼に俺は再び口付けを贈った。
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    DONE22年3月のリハビリリクエスト企画にて頂きました。リクエストくださった方とは縁が切れたので非公開でも良いのですが、他の方が書いたSSを漫画に書き起こしてストーリー構成などの原作は己だと自作発言をして盗作なさるような方なので一応保険のため残してあります。
    年長の二人の関係性に対して解釈が不明瞭・不慣れな部分が多いため所々関係性があやふやです。すまない。
    微睡みの星灯り。 (那レン)長い長い一日が終わる。
    今日の仕事はスケジュールがタイトだったこともあり、それもなかなか骨が折れる内容ばかりで気が付けば夜も更けていた。家に辿り着いた頃には日付けも変わっていて誰もいない部屋に重たい足取りで帰宅して、適当に荷物を廊下に置いてからそのままバスルームへと足を運ぶ。パウダールームで乱雑に衣類を籠に落として浴室へと移動しシャワーを頭から浴びれば、この身に溜まった疲労による怠さも全てが水滴に溶けて流れていくような気がして、一つゆっくりと息を吐いてからコックを捻りシャワーを止めた。
    時間も時間だからと軽めに入浴を済ませてからバスルームを後にして、途中で置き去りにした荷物からスマホを取り出し通知チェックをしながら髪を拭う。ある程度返信等を返してからテーブルに置き、軽くバスローブを纏ったまま明日のオフは何をしようか、などと返信を行いながら注いだ水の入ったグラスを片手に思案していると軽快な音楽が鳴り始めた。それと共にブブ、とテーブルの上で響く小さなバイブレーションの音に腕を伸ばし手にしたスマホの画面を見れば、まさかの人物からの電話に急いで通話をタップする。
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    MOURNING『No More Reason』の杜夜が好み過ぎて是が非でも真斗くんと絡ませたかっただけの書き途中。
    気が向いたらまた続き書くやも。
    ー・*・ー・*・ー・*・ー
    2022.2.18、続編おめでとうございます!真斗くんは『青鳳組 マコト』役となりましたが、こちらはマコトさんのそっくりさんが営む地元のマスター(パロディ)です。
    ※ドラマCD発売前に書いたのでCDにて判明した相関は含みません。
    (未完成)俺には想い人がいる。
    その人は至極物静かでこの国の人間にしては珍しく堅物な性格をしている。されど清廉な空気を身に纏い、それでいてどこかあたたかな雰囲気も持っていて。一言で表現するなれば玻璃細工のような「美しい人」。
    硝子張りの少し古びた小さなバールのカウンター内でただ一人静かに佇み、注文を受ければその背後に設置された旧式と思われる機械を操作して芳醇に甘く香る一杯のあたたかいエスプレッソを淹れてくれる。普通の珈琲とは違い、デミタスと呼ばれる小さなカップにたっぷりの砂糖を入れよくかき混ぜたそれはチョコレートのような風味ととろりとした飲み口が特徴的で、本国ではお目に掛かれない不思議な味だ。だが、イヤな甘さは欠片もなく、彼のあたたかな人格を表したような味わいに「美味しい」と一言告げれば、フッと小さく満足そうに口元が上がるのがどこか愛らしい。
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