愛に重さがあるとして。(マサ音)愛に重さがあるとして、この愛は重いと定義された時にそれを決めるための基準とはどこからやってくるのだろうか。
そう問い掛ければ赤髪の彼は「うーん……?」と腕を組んで唸り始める。哲学的なことはよく分かんない、と言いつつもこうして一生懸命に考えてくれるところは本当に愛らしく、好ましい。
では質問を変えて、俺の愛は重いだろうか?と問い掛ければ「全然!」と首を横に振り、寧ろもっと重くても構わないと嬉しそうな顔で明るく言い放った。
いつだったか、彼の元同室たる友人が「あの男は依存し過ぎている」と眉を下げて俺の心配をしてくれたことがあったが、本当にそうだろうか?と聞き返した覚えがある。確かに愛に飢えていることには違いないとは感じるが、それが依存や重さに感じたことは一度たりともない。
そう伝えれば友人である彼は怪訝そうな面持ちで渋々意見を取り下げていたが、事実、目の前の彼からの愛情表現に息苦しさを感じたことなどないのだ。寧ろ、もっとこの愛に溺れてくれれば良いとさえ思っている。……それ故に。
「ならば、もっと深く愛してやるから……今夜、俺の部屋においで」
「……! う、うん」
片手を頬に添え見つめながら甘く囁けば、途端に耳まで真っ赤になった彼をそっと抱き締め、頭を優しく撫でながら密かに笑みを浮かべた。
俺の方が重い気持ちを抱えていることを、彼らは未だ気付いていない。