秋の一コマ「あっ……」
買い物袋を片手にのんびりと家路を辿る休日。少し前をフラフラと歩いていたレオが突然に声を上げて立ち止まった。
「ちょっとレオさん!」
「……スオ〜、見て見て!」
肩にトンとぶつかったレオを司は咎めようとしたが、レオの片手がスルリと司の腰元に絡まって、目の前にスマートフォンを掲げられた。言われるがままに画面を覗き込むと『ピロン♪』と間抜けな音が鳴り響く。
画面には満面の笑みのレオと真面目な顔をした司。そして背後には2人を彩る様な暖かな色。
「わぁ……」
「わはは!スオ〜真顔!凄いな〜いつの間にかおれ達の季節になってるんだな〜」
司が振り返ると、並木道は深まった秋を魅せつけるように鮮やかに色付いていた。
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