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    mona5770

    Twitterに投げたネタをちょっとまとめたメモ置き場
    燭へしと治角名が混じっています。ご注意ください。

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    mona5770

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    (燭へし)ネタメモ:事故チューをした相手とオフィスで再会。唇が気になるはじまり。

    #燭へし
    decorativeCandlestick

    事故チューから始まる急ブレーキがかかりふわと足が床から浮く。
    うわっと思ったところで同じように体勢を崩した男が背中からぶつかってきた。
    ぎゅうぎゅうに詰まっていたからつり革もない場所でどうにか踏ん張っていられただけで、今の急ブレーキで微妙に隙間が空いた車内では押されたらひとたまりもない。
    まずい。
    踏ん張り切れない身体が重力にひかれるままに床へと向かう。
    こういうときなんとなくスローモーションになるような気がするのはどうしてだろう。
    走馬灯っていうやつか?ああでもあれは死ぬ時だな。
    なんて馬鹿なことをぼんやり考えている俺の前に一筋の蜘蛛の糸のように、掌が伸ばされる。
    とっさに掴んだけれど、もうその時俺の身体はほぼ床と並行に近い状態で、つまりは手を掴んだ男を巻き添えにしながら俺は倒れるしかなかった。
    授業でやった受け身はどうだったかななんて考えている暇はなく、ああ肩からいってしまうなと思い目を閉じたが一向に痛みはこず、ぎゅうと抱きこまれる温度に巻き込んだ男をクッションにしてしまったのかと思った時だ。

    ぶにゅ。

    頬というか唇の端というかもう半分唇のあたりに柔らかい感触。
    へ?
    うすらと目をあけると真ん丸に見開かれた金色の瞳。
    ぶにゅとした感触はどうやら俺を助けようとした男の唇のようだった。
    これはまるでキス。
    そう思ったとたんぶわりと顔に熱が広がる。
    そしてそれは相手も同じだったようで。
    「あ、ご、ごめんね。あのえっと」
    「助けようとしてくれたのにすまない。巻き込んでしまったな」
    「ううん。役に立てなくて……そのうえ……」
    「ははっ。事故みたいなものだ。気にするな」
    いや気にしてないのはお前だろうと自分に突っ込む。
    申し訳なさそうに縮こまる男、そう体格が貧相だとは思わない俺よりも一回り大きいその男はほんとうに身体を小さくして何度も謝ってきた。
    そうこうするうちに電車は再び動き出し、申し訳ございませんなんていう型通りのアナウンスを聞きながら俺はそっと唇を撫でた。
    キスした。
    初めてでもあるまいに。
    そう頭では思うのだけれど、すこし高いところにある薄紅色のあの唇の柔らかさを知っているのだと思うとどうにもむず痒い気持ちになる。
    「あの、ほんと、えっと」
    「ありがとう。怪我もせずにすんだ」
    「うん、よかった。じゃあ」
    「ああ、いってらっしゃい」
    そう言うとふわっと顔を染めて「いってきます」と手を振ると男は電車を降りた。
    いや見送ってる場合じゃない。
    よくよく見るとすごいイケメンで、いやイケメンというよりは美丈夫とでもいうのだろうか。驚くほどきれいな顔をした男がくしゃりと笑うと大型犬みたいな可愛さを見せる。
    もてるんだろうなあ。なんて思いながら俺も後を追って駅に降りた。

    十分後、まさか「今日から配属になる長船光忠です」とその男が真ん前に立つことになるのを長谷部はまだ知らない。
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    takekavat

    DONE同棲中な冬のリーマン燭へし。お題はまいじつ燭へしから、「猫舌の燭台切×汗だくの長谷部」。
    冬のへしは寒さですぐ鼻の周りとかほっぺたとか赤くなっちゃうと可愛いなと思う。
    うちについたら「昼はラーメンにしよう」
     長谷部がそう言いだしたのは、ある冬の休日の昼前。
    「いいね、たまには食べにいこう」
     頷いてそう応じれば、
    「俺たちの部署も最近忙しかったし、これだけ働いてるんだから外食くらい許されるだろ」
    にやりと笑って返される。燭台切が料理を好きなので、あまり二人は休日に外食をすることがない。だが最近は忙しいせいで少し億劫さを感じていたのも事実だ。それに気づいたうえでの提案だとしたら嬉しいけれど、聞いたところできっと彼は首を縦に振らない。だからそれには触れず、歩いて15分ほどのラーメン屋に向かう。


     長谷部は福岡出身なのでとんこつが好きなのだが、味にこだわりがあるようで彼が認めるとんこつを出すラーメン屋は少ない。このラーメン屋でもとんこつではなくごま醤油を頼む。それでもとても美味しそうに啜るから見ているだけで幸せになる。カウンター席の隣に座る長谷部を見ながら、僕が長谷部くんを好きになった決め手はものを美味しそうに食べるところなのかもしれない、と思っていたら、
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