七風リレー小説(3)日差しを浴びて色とりどりのコーヒーカップが楽しげに踊っている。
「七ツ森がこれを選ぶなんて意外だな」
「そう?」
「そうだよ」
「そうかなぁ」
七ツ森はくるりとまわりを見渡りた。周囲のコーヒーカップに乗り込んだ人々も自分達と同じくほぼほぼカップル連れだ。
それはそうだろう。先程の観覧車程じゃないけど、これも二人っきりの空間になるアトラクションだ。ハンドルを挟んで向かい合わせに座る風真との距離が近い。180cm越えの男子二人には、やや狭い空間で時折膝が触れる。怪訝な表情の風真とぱちりと目が合った。その瞬間、風真の瞳の色が移ったように七ツ森の頬がカッと熱をもつ。
「あぁ、もう…」
「え、七ツ森、どうしたんだよ。真っ赤だぞ」
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