「ねぇ、ふーふーちゃん」
朝と言うには陽が高い時間。
ようやくベッドを出て目覚めのコーヒーを飲んでいた浮奇が、ソファで本を読んでいるファルガーに声を掛けた。本を持っていない方の手は、足元に寄り添ったかわいい愛犬の頭を撫で続けている。
「俺たちが別れる理由ってなんだと思う?」
明日の天気を訊ねるかのような口振りで投げられた随分と突拍子もない問い掛けを脳内で数回繰り返したファルガーは、怪訝な表情で手元の本から顔を上げた。
「...どちらかが死ぬ以外にか?」
回転は早い方だと自負する頭が未だ問い掛けられた意味を理解しきっていない。やや戸惑った色を纏って発されたのは純粋な疑問だった。
「ふーふーちゃんは死ぬまで一緒にいてくれるつもりなんだね!べいびぃ、嬉しい」
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