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    (野田)

    @344no10jn

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    (野田)

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    すてEp4劇中劇のソラとコウの小話。無自覚両思いで距離感がバグってる2人。終始捏造しかないのでなんでも平気な人向け。

    #空昂
    high-spirited

    「……ソラ、ちょっと太った?」

    白く長い指が俺の頬を軽くつつく。ふわふわなのかぷにぷになのかはわからないけれど、それなりの弾力を持って頬は指を弾き返した。
    ゆったりとしたオーバーサイズのパーカー下、するりと入り込んだ手が脇腹の肉を優しく掴んだ。

    「ふ、太ってないもん……!! これは、これはその、ロス出て美味しいご飯いっぱい食べたからちょーっと肉付きがよくなっただけで決して太ってはいない!」
    「ふ〜ん、そう」
    「うう……」

    自分でも薄々自覚はあった。少しずつではあるが着実に体重が増しているということに。歌って踊って、消費はしているはずなのにカロリー摂取がそれを上回るのかふわっとしている。主にお腹まわりが。
    それもこれもご飯が美味しすぎるのが悪い、絶対そうだ。そういうことにしよう。

    「まあでも、食事を出しているのはうちだしこのままソラが丸々太ったら食べちゃうのも悪くないかな」
    「だから太ってないって! ……って、え? 食べる?!」
    「ふふふ、冗談だよ」

    コウの冗談は時々心臓に悪い。今だって口を開けて俺に噛み付く素振りをしつつ、こちらが慌てたところでパッとやめてしまう。人をからかって、面白いとコロコロ笑って、己の見た目の良さも存分に使ってくる。どこか危なっかしくて放っておけなくて、キラキラと輝く美しい人。

    「……そういうコウは、最近少し痩せた?」

    指の背で軽く輪郭を撫でれば会った時より少し骨張っているような気がした。
    お返しとばかりに身体の線がはっきりとわかる細身のタートルネックの裾を捲り上げながら、そっと触れた腰や肋は骨が浮いているみたいな感触だった。

    「前と違ってステージに立って踊るようになったからね。そりゃあ前よりエネルギー消費が多いから多少は」
    「あんまり無理しないでね。コウが倒れたら元も子もない」

    少なくとも俺が来てからは食事の量が減った様子は無いから、元々太らない体質なのに運動量が増えたので体重が落ちているというところだろうか。俺が気にしたところでどうにもならないことではあるけれど、しかしそれはそれで心配なのである。
    コウは俺のことを期待の星だのなんだの持ち上げてくれるが彼だってとびっきり輝く星なのだ。マーカスいわく天性のダンサー、彼がステージに上がれば誰もが目を奪われ釘付けになるそんな魅力を持った人間。

    「抱き心地も悪くなるし?」
    「なっ、そうじゃなくて……!」
    「冗談だって。ホント、ソラは面白いなあ」

    悪戯っぽい笑顔で首を傾げる姿は可愛らしい。普段の格好良い姿とのギャップで彼をお目当てに来るお客たちはもしこれを見たらみんな落ちるだろうなあ、なんてぼんやり思ってしまった。
    本日何度目かのコウの冗談を聞いていると突然横から違う声がした。

    「……おいお前ら、イチャイチャするなら他所でやれ」
    「イチャイチャってなに?!」
    「なんで? 見られて困るようなことはないけれど」
    「お前らは平気でもこっちが迷惑なんだよ!」

    営業時間前とはいえここはクラブWYDの店内で、あちらこちらに居る従業員たちがせっせと開店準備を進めていた。

    コウの腰に手を回し抱き寄せる俺と俺の首に腕を回し離す様子の無いコウ。割と普段からこんな感じなので今更違和感なんて気づかなかったけれど、客観的に見てよく考えたら距離感おかしいな?!
    頭に疑問符を浮かべたと思ったのも束の間、突然コウにむぎゅうと抱きしめられてしまう。どうしたどうしたと顔を上げるが目線は合わない。あの綺麗な目はツッコミを入れて来た従業員兼用心棒へと向いているのだ。

    「やだなあソウシったら、一体何を想像したの?」
    「何もしてないけれどこの空気が! 甘ったるい! つーかソラもさっさと着替えて働け!」
    「俺準備終わったからあと着替えるだけだもん! やることやったもーん!」
    「えらいえらい」

    間違いではない、発声練習したしストレッチしたし自分が使う機材のチェックも終わらせた。あとステージの掃除があったような気がしないこともないけれど、今日は担当じゃなかったはずと思い込むことにした。
    それでも相変わらずコウはまだ放してくれないのでこちらからも抱きつくことにすれば何かはわからないけれど良い匂いがする。

    「そうだコウ、店が終わったらちょっとだけ付き合って?」
    「……いいけど、何をするの?」
    「新しい曲がもう少しで出来そうなんだけれどそのもう少しが難しくてさ……インスピレーションが欲しいから、ダンス、見せて」
    「ソラの曲が一番に聞けるなら、いいよ」
    「ホントッ?!」
    「俺はソラの曲が好きだからね。ああもちろん、その声も好き」

    首筋を掠めた手が喉を撫でる。犬猫にするみたいだと思いながら少し上を向けば彼は楽しそうに笑っていた。

    完成間近の曲に足りない何かが見つからない。パズルのピースなのか宝箱の鍵なのか、それとも全く違う別の何かなのか。
    コウはいつだって俺にいろんなものを見せて教えて与えてくれる。知らなかった世界、新しい考え方、形を変えても追いかけ続けられる夢。だからきっと、きっとコウと一緒なら何か掴めそうな気がする。
    だから俺も、俺の音楽と歌で君に何度でも新しい夢を見させてあげる。

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    MEMO水心子くんが猫になりました。
    猫化した祖を描きたかっただけの話「水心子、肩から降りて欲しいんだけど」

    「にゃー!」

    僕の肩の上には水心子が爪を立てて乗っている。そして僕は今料理中だ。まだ子猫だけど長毛種なだけあってそれなりに重い。どうにか降りて欲しいと頼んでるけど言うことを聞いてくれない。ここに来たばかりの頃は言うことを聞いてくれる良い子だったのに。

    最近の水心子は猫動画に夢中だ。操作方法はいつの間にか覚えたようでいくつかチャンネルを登録していた。猫動画以外にも色々と。中でもお気にや入りなのは刀の出てくる動画だ。色んなことに興味を持つのは僕も嬉しいんだけどそのせいで困ったこともあって。風呂場に連れていこうとするとどこかに逃げてしまうのだ。理由は多分猫動画で見たお風呂の動画。お風呂気持ちがいいのに。一緒に暮らし始めてから半年。すきなものもきらいなものもだいぶ分かるようになってきた。甘いものが好きでカリカリは嫌い。お気に入りの場所は僕の膝の上とお腹の上。あとは猫なのに高所恐怖症。以前カーテンのヘリに乗っかった時降りられなくて下ろしてあげたらしがみついて離れなくなった。それと少し甘えん坊なとこ。
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