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    さよりこ

    GS4腐向けで書いてます。

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    さよりこ

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    アールさんのイラストで書かせていただきました、七風です!アールさん素敵なイラストありがとうございました〜!!
    遅刻してごめんなさい!!!!

    #GS腐向けフリライ

    居酒屋にて もしかしたら俺は、七ツ森のことが好きなのかもしれない。


    「オツカレー。待たせた?」
    「お疲れ。先飲んでたから平気。つまみもテキトーに頼んでおいた」
    「サンキュー」
     ざわざわとした店内でも、七ツ森の声は不思議とよく聞こえた。
     もう何度目かの来店となる居酒屋は、金曜の夜ということもあって、サラリーマンやOLたちで賑わいを見せている。アルコールが飲めるようになってからというもの、俺たちはすっかり夜の居酒屋で待ち合わせることが増えていた。
    「ナニ飲んでんの?」
     カウンター席の隣に腰掛けた七ツ森は涼を求めて首元をゆるめる。クーラーが効いているとはいえ、やはり人の多さから店の中は暑くなっていた。
    「ハイボールだよ。オレンジ」
    「お、イイな。俺も久しぶりに頼もうかな」
     世間では梅雨が明け、本格的な夏になろうとしていた。一口飲むたびに、オレンジの爽やかな味わいが火照る体に清涼感を与えてくれる。
     七ツ森の酒の好みは極端だ。カルーアミルクのような甘いカクテルを好む日もあれば、焼酎やウイスキー、テキーラを頼む日もある。さすがに複数の酒を交互に飲むようなことはしないが、この辺は食の好みも反映されているのだろうか。
    「最近どう?」
     先に来たつまみに手を伸ばしながら七ツ森が聞いてくる。いつもの、何気ない問いかけにドキッとしてしまう。
    「別に……特には。そっちこそどうなんだよ」
    「オカゲサマで、順調ですよ。来月も特集載るからヨロシク」
     少し小声で近状報告する七ツ森が、モデルの顔でウインクをする。
     これまで何度も見てきた何気ないやり取りだ。
     それなのに……。
    「わ、わかった」
     何故かもうそれを直視することが出来ない。今までこんなことはなかった。せめてそう思っていることがバレないようにと、胸をドキドキさせながらもなんとか平静を保つので精一杯だった。
     七ツ森は高校卒業後もNanaとしてモデルを続けている。この道で進んでいくと決めたのか、オフでもこの格好をしていることが多くなった。高校の頃は仕事の時だけだったのに。
     この姿は、七ツ森の顔が良く見える。
    「そう言えばカザマ、アレ、知ってる?」
    「……っ」
     ただでさえ近い距離が更に近づいた。
     七ツ森は周りに聞こえないよう俺の耳に顔を寄せ、小声で話しかけてくる。周囲の喧騒が少し遠くなった気がした。
    「俺もウワサで聞いただけなんだけど――」
    「あ、ああ……」
     吐息の多い、低い声。高校の時から何度も聞いてきたのに、なぜこうもドキドキするのか。今更かよと自分でも思うが、この気持ちを自覚したのもつい最近なので、本当に今更だと思う。
     俺が失恋したあともさりげなく気にかけてくれた。こうして定期的に顔を合わせて互いの近状を報告し合うのだって、俺が落ち込んでいたからなんだろうということは容易に想像ができた。本当にいいやつなんだ。俺の心に余裕がなくて、もう随分と周りが見えていなかったけれど……。そんな七ツ森の優しさを感じて、好意を持つくらいには、こいつはいい男だと思う。
    「……カザマ? どうした?」
    「えっ? な、なにが……?」
    「ヤ、なんか、上の空ってカンジだから……」
     いつの間に来ていたのか、七ツ森はオレンジハイボールを手に訝しげな顔をしている。
     ――今の俺たちって、周りにどう見られてるんだろう。
     そんなことを考える。
     七ツ森はもうNanaであることを隠してはいない。もしかしたら、この店にいる誰かに気づかれているかもしれない。それでもよくて「男友達と飲みに来てるだけ」……そう思われるのが関の山だ。
     だから大丈夫なのに。妙にソワソワしてしまう。
    「なんか、顔赤くない?」
    「あ、あー……そうだな、酔ったかもな……」
    「え、もう!? 早くない? もしかして体調悪い?」
    「いや、大丈夫……」
     お前のせいだ、なんて言ったら、こいつはどんな顔をするだろう。そう思い切るには、まだ少しばかりアルコールが足りない気がした。

     人生二度目の恋も、どうやら前途多難なようだと心の中でため息をついて、俺は残りのオレンジハイボールを一気に流し込んだ。夏はもう、そこまで来ている。
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    むんさんは腐っている早すぎたんだ

    DONE七風リレー小説企画 第一弾ラストになります。
    お付き合いいただいた皆様ありがとうございました!!

    (なおラストはどうしても1000文字で納められなかったので主催の大槻さんにご了承いただいて文字数自由にしてもらいました💦今後もラストパートはそうなると思います)
    七風リレー小説⑥ 一度だけ響いた鐘の音に惹かれて風真は歩を進めていく。理事長の方針なのかは知らないが目的地までの道は舗装されておらず、人工的な光もない。すでに陽は沈みきってしまっているため、風真は目を慣らしつつ〈湿原の沼地〉を進んでいく。草木の茂る中ようやく着いた開けた場所にぽつんとあるそこは、予想はついていたが建物に明かりなどついておらず、宵闇にそびえる教会はいっそ畏怖さえ感じる。……大丈夫。俺は今無敵だから。そう心で唱えた後、風真は教会の扉に歩みながら辺りを見回して声を上げた。
     
    「七ツ森。いるのか?」
     
     ――返事はない。
     シン、とした静寂のみが風真を包み、パスケースを握った右手を胸に当てて風真は深くため息をついた。あれだけ響いた鐘の音も、もしかしたら幻聴だったのかもしれない。そもそもこんな闇の中、虫嫌いの七ツ森が草木を分けてこんな場所にくるはずもなかった。考えてみたらわかることなのに、やはり少し冷静さを欠いていたようだ。風真はそっと目の前の扉を引いてみる。……扉は動かない。
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    oredayo_mino

    DONE七風食堂:冷蔵庫の残り物でごはん作ってくれ……風真……。
    明日は買い出しへ買い物に行く日は週に一度と決めている。自宅から徒歩十五分のスーパーは金曜が特売日で、カードで支払うと5%値引いてくれる。一週間分買いだめした食材を小分けにして冷凍し、作り置きのおかずを作っていれば「主婦みたい」と緑の瞳がいつも笑う。
    食材がほとんど底をつく木曜は俺の腕の見せ所だった。すかすかの冷蔵庫の中にはシチューの残りとサラダに使ったブロッコリーの残り。冷凍庫の中には食パンとピザ用チーズ。戸棚の中には使いかけのマカロニ。
    今日の夕食は決まりだ。残り物を工夫してそれなりの料理に変化させるのは意外と楽しい。まず冷凍の食パンを常温に戻す。その間にシチューをあたため、マカロニを湯がく。マカロニは少し芯がある位でざるに上げ、グラタン皿に盛りつける。その上からブロッコリーを乗せ、常温に戻した食パンを一口サイズに切り、同様に皿に盛りつける。その上からシチューを流し込み、冷凍してあったピザ用チーズを振りかける。それからオーブントースターで約8分焼くだけ。すると、チーズのいい香りに誘われたのか、ふらふらと実がキッチンへやってくる。
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