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    GegyoGWT

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    GegyoGWT

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    平日の深夜テンションで書いた雰囲気SS。きらきらしたものが好きなのでエーテルが好き。ほんとにどうしようこれ

    #GhostwireTokyo

    光素 くろぐろとした闇の中に、きらきらと三色のエーテルが浮いている。
     暁人はそれを掴み、口に運んで噛み砕いた。

     ある夏の夜、暁人は息をするようにこの元素を吸収していた。
     体へ取り込んで、別の形へ変換して、エネルギーとしてまた宙へ放っていた。
     恐ろしい魍魎の巣窟と化した街を駆け抜けるために、暁人にはこの光る結晶体が必要だった。あの夜に現れた異次元の事物は、全てがエーテルから成っていた。砕けばまたきらきらと元素の形に戻り、まるで従属するように暁人の体に集まった。
     暁人の体はもういくつ、この結晶体を受け入れたか知れない。特殊なカメラで特定の波長の光だけを捉えるように、エーテルだけを捉える目があったなら、きっと暁人は燦然と輝く結晶の集積として見えただろう。
     呼吸に酸素が必要なように、戦いにこの元素が必要だった。そして生き抜くためには戦わなければならなかった。必然に暁人は、常に飽和するほどにエーテルを吸い込み続けた。
     そういう、あの一夜限りの世界における、生存に不可欠な構成要素だった。
     
     今は、ただ浮かぶだけ、きれいなだけの幻だ。

     エーテルは物質でないため、触れることができない。実際にこれを吸収していたのは暁人の体ではなく、正確には暁人の体が内包する魂だった。それも、暁人自身の魂ではない。
     あの夜限り、魂だけの存在として、ヤドカリのように暁人の体に宿っていた男。
     彼がエーテルを吸い込み、咀嚼し、蓄積させ、穢れた空間を生き抜く糧としていたのだ。

     暁人が手を伸べると、指先にぱちぱちとエーテルの微粒子が触れる。
     幻だ。これはほんとうのことではない。

     星のように細かな粒子を、両手でざらりと掬う。そのまま口元に添えて飲み下すと、甘い味がした。
     次に風のエーテルをひとつ手に取り、透明で硬質なその表面に歯を立ててみる。すると、えもいわれぬ涼風が口の中に溢れ、体を巡った。
     さらに火のエーテルを齧れば、芳醇な灼熱の味が腹の底へ落ちていく。水のエーテルを啜れば、清浄な甘露が喉を流れていく。

     彼は、KKはもういない。

     長い夜を共に越え、魂を重ね合わせ、無二の片割れとなった男だったのに。
     死の定めに安らかに従い、肉体の消滅を受け入れ、彼は夜明けと共に行ってしまった。

     歴としたひとりになった暁人は、もうエーテルを吸収することはできない。
     ただただきらめくだけの光素を、夢の中で触れ、掴み、呑み込む。

     これもあの夜の回顧からなる幻想で、彼の魂への慕情の表れだ。

     窮地に希望が。絶望に信念が。夜にネオンが。
     人の消えた街にただひとり、この体にこの魂に、一番近いところに、あの人が。
     刹那的な対比によって、暗闇で光るものがいつにも増して輝いて見えたあの夜。

     光に溢れた命ある日々を生きる中で、ふと息を止めるように、あの夜の残滓を夢に見る。

     そうして、KKを偲んで口にする輝く幻は、どうしようもなく甘いのだ。


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    GegyoGWT

    MOURNINGぼんやりと思い浮かんだネタです。マレビトのコンセプトとデザインが好きで、ミニミニのマレビトを育成できたらなと思った話です。
    黒土女のデザインが一番好きなので黒土女が真っ先に浮かびましたが、人によって育つマレビトが違うやつです。
    ※全員生存if時空で、暁人くんとKKがバディをしている設定です。
    ※このお話にカプ要素はありませんがK暁を生み出す人間が書いております。
    マレビト育成キット 女の喘鳴が聞こえる。
     肺に水が溜まっているような、酷い音だ。
     がらんとしたワンルームは明るかった。住む人間のいない部屋は、何も無い展示ケースのように淡々として静謐だ。だがそこに、濡れそぼった女の放つ濁った喘ぎ声だけが繰り返されている。
     暁人はためらいつつ、リビングに足を踏み入れた。すぐ後ろでKKも息を潜めている。
     カーテンの無い掃き出し窓から、昼下がりの柔らかい光が部屋を照らしている。
     女は壁の隅にいた。住人が残した忘れ物のように、脈絡もなく倒れ伏していた。
     暁人が近づくと、女はゆっくりと顔を上げた。
     ごぼごぼと篭ったような水音がする。こんなにも明るい部屋にいながら、濁った深い水底を思わせる。重く、暗く、茫洋とした水。それはこの女の、胸腔にあたる所から聞こえる音だ。
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    時人歩

    DONE本編後n年後(多分暁人くん大学は卒業している)の夏の日を想定/暁人くんがKKと同じお仕事をするようになったという妄想を軸に。いなくなった人は、いない。
    暁人くん一人称。

    ―――以下、作者の独り言―――
    前回の作品が2023年の11月ってマジ?
    その時未クリアって明記したわけですが、そのあと本編を無事クリアしました。
    今、蜘蛛の糸18層から下に降りられない芸人になってます。フフ(涙)
    再訪、きさらぎ駅『―――鉄道をご利用いただきありがとうございます。各駅停車、―――行きです』
    「……ん……」
    いつの間にか眠っていたらしい。電車内の放送の声で意識が浮上する。
    パチパチ、と瞬きを数回。
    目の前の座席には誰も座ってない。……それどころか周りを見渡すと車両の中には自分以外誰もいない。
    (……あれ……?この時間のこの電車こんなに空いてたっけ……?)
    言いようのない不安感を覚える。
    『次は、『きさらぎ駅』、『きらさぎ駅』……お出口、左側に変わります』
    再び車内に放送が流れる。その内容に、僕は弾かれるように座席を立った。
    窓の外を見れば夜よりも深い闇に濃い霧が出ていた。
    「……っ」
    反射的に普段持ち歩いている仕事用鞄の中を確認する。
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