🤡司と司の話一体いつからそうだったのか、もう思い出せない。彼がいつ、人間の姿を得たのか。彼がなぜ、両親や咲希には見えないのか。
考えたって分かるわけもないので、幼い司は差し伸べられた彼の手を取るしかなかった。
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その日は朝から体が重かった。目もぼんやりとしか開かず、口を開けばげほげほと咳が出るような、所謂“すごく体調の悪い日”だった。頭が痛い。司はごろんと寝返りをうつと、今日退院予定の妹の顔を思い浮かべた。この間四歳になったばかりの妹は、遊ぶことが大好きなのに生まれ持ったもののせいでそれを制限されている。入院と退院を繰り返して、辛い治療も薬も我慢して耐えて、ようやく今日帰って来られるのだ。
「…………いえない」
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