心に刻む〜番外編〜花垣のソロ曲が流れていた服屋から数店舗見て回った後、ある雑貨での出来事。
「ココ。珍しく男向けのアクセサリー置いてる。」
「ホントだ。ピアスでも買おうかな。なぁ、花垣…………って今度は花垣がいねぇ。」
俺の似合いそうなピアスを選んで貰えたら嬉しいのと、その流れで花垣の欲しいアクセサリーを聞き出せたらと思ったのに。もちろん、そのアクセサリーを三人でお揃いの物として身につけられたらという下心もあった。
「とりあえず、店内を探すか。」
イヌピーがコクリと頷き、一緒に周りを見渡しながら花垣を探す。するとインテリア雑貨棚の前で少し俯きで立っている花垣が居た。下の方の棚に気になる雑貨でも置いていて買うか迷っている………って所か?
「花垣、何か欲しいものでもあったのか?…………ココが買ってやりたそうにカバンから財布出して―――」
イヌピーが話している途中、無言でバッと手を出し「少し待て」と訴える。話している途中だったからか、その待てされたタイミングが丁度口が開いていたんだろうな。……………イヌピーが口を開けたまま待てをしている。
―――カシャ
永久保存決定だ。あとで花垣にも見せよう。
「イヌピー、すっげー可愛い顔してるけど、口は閉じてもいいと思うぞ。」
「口、開いていたか。ありがとう、ココ。」
そんなやり取りをしていると、花垣が顔をあげた。「花垣」と声をかけようとしたら、流し目で自身の口元に人差し指をあてて「シーッ。」とする。時折見せる、普段とのギャップの差に俺たちは思わず額に手を当て天を仰いだ。
「えっ、何で二人揃って天を仰いでるんですか?」
「尊いものを見たからだよ。」
自分の事とは露知らず「へー、良かったですね!」と答えている。
「そういえば花垣は何していたんだ?」
「あっ、聞こえていなかったんですね。ちょうどこの上のスピーカーからイヌピーくんとココくんのデュエットソングが流れていたんです!店内で流れているのが嬉しくて聴き入っていたのと、余韻に浸っていました。」
「さっきの俺たちと一緒だな。」
「あぁ。これでさっきの俺たちの心情、理解したか?」
「……………しました。お互い様ですね。」
花垣は笑ってすみませんと謝る。
その後、改めて三人で店内を見て周り、先程のお揃いアクセサリーを買うという作戦を実行した。すると花垣はちょうどリングが欲しかったとの事と、喧嘩した訳では無いが仲直りとしてお揃いのピンキーリングを買いますか?と提案され、俺たちは食い気味で賛成した。