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    高専の頃は付き合ってない七五。休日、虎杖と伏黒は二人を見かけます。2024.5.5

    #七五
    seventy-five

    休日王子さま「あれ、五条先生じゃね?」
     休日、伏黒とショッピングに出ていた虎杖悠二は声を上げた。
     いつもの黒い服は着ていないものの、雑踏の中、まさに頭一つぶん飛び出た白い髪は紛れもなく担任の五条だ。やっぱ目立つなあ~と思いながら視線を動かすと横に金色の髪を見つけた。
    「ナナミーン! 五条先生!」
    「あ、おい!」
     止める間もなく駆け出す友人を、伏黒恵は小さく舌打ちしてからゆっくり後を追った。
     
    「悠二~、恵も」
     明るい表情で振り向いた担任は、いつもの目隠しはしていない。薄い色のサングラスを掛け、体に沿う緩いボトムの上に白いシャツを着ている。何でもないシャツだけど何か感じいいから…きっと高いシャツなんだろうなと虎杖は思った。同級生の釘崎と違って彼はブランドなどには疎い。
    「先生たちも買い物?」
    「おはようございます、虎杖くん、伏黒くん」
    「おはよう! あれ? 何か感じ違うと思ったら髪下ろしてんだね、ナナミン」
     虎杖の知っている七海はいつもかっちりと髪を固めている。しかし今日はさらりと下ろしていてサングラスもしていない。落ち着いたブルーグレーのシャツを着て静かに佇んでいる姿は雑誌のモデルのようだった。
    「へえ、いつもそうしてればいいのに。若く見えんよ」
    「私は別に年より若く見せようとは思っていませんからね。誰かさんと違って」
     七海が言うと、
    「え~何? 何か軽くディスられた?」
     五条が七海の肩に腕を置く。七海は顔を顰めるが、特に振り払いもしない。
    「僕だってわざわざ若く見せようとは思ってませ~ん。そうしなくても見えちゃうんだな~このピッチピチのお肌で」
    「ピチピチとか言ってんのがオッサンくさいんですよ」
     伏黒が言うと
    「え! ピチピチはオッサンなの? じゃあ何て言えばいいの?? このうる艶なお肌を!」
     五条が絡んでくるので、伏黒は心底うざいと思った。
    「そろそろ行くぞ」
     虎杖に言って、
    「お邪魔しました。七海さん」
     その場を離れた。休日、楽しんでね~、五条の明るい声を聞き、
    「へへへ、お邪魔しましただって。恵。」
     嬉しそうな声も耳に入ってきた。
     
     
    「ナナミンさあ、ほんと髪下ろしてればいいのにな」
     少し離れてから虎杖が言う。
    「何つーかこう…王子様みたいだったよな」
     王子様って年じゃないだろ、伏黒は思ったが、ふと思い出して
    「七海さん、高専の頃は本当に王子さまみたいだったぞ」
     そうなん?? 驚く虎杖に
    「津美紀がよく言ってた」
    「へえ~、五条先生には言ってなかったん? 津美紀さん」
    「言ってなかったな」
    「何でだろ? うるさいからかな?」
    「お前、ナチュラルにディスるな」
     伏黒は笑った。
     
     いやディスってないって! 言いながらも虎杖は笑って「仲いいよな~先生たち」と呟く。「あの人たち付き合ってんぞ」と言おうかどうか伏黒は迷った。まあ、いいか、面倒くさい。
    「ナナミンの若いときの写真って持ってる? 見てみたいわ」
     あると思うけどな、答えながら、勝手に見せては七海が嫌がるだろうかとも思う。
     
     子どもの頃、忙しい五条の代わりに七海は時々家に来た。物腰が静かで言葉遣いが丁寧で、細っそりとして金の髪をした七海を「王子さまみたいだね」と、津美紀は言って笑った。津美紀ほど王子様に興味はなかった恵も「そうかもしれない」とは思った。
    「今じゃ逞しいけどな、七海さん」
     店頭の吊り下げられたチャームやマスコットに虎杖は気を取られている。
     
     顔を上げると前方に白い頭と金髪が見えた。また鉢合わせたか、進路変えるか、伏黒は思った。虎杖と同じように五条は店頭に吊り下げられている何かに気を取られているようだ。
     七海の横顔が目に入った。穏やかな表情をして口元が笑んでいるようだ。
     ああ、あんな顔、伏黒は思った。
     
     いつだったか、五条が撮った七海の写真を見せられたことがある。津美紀と恵と七海の三人の写真だ。
    「お前たちといると七海はこんな顔してんだよね」
     王子さまみたいだよね、そう言って微笑んだ後、何故か唇を尖らせていた。何言ってんだ、この人、と、幼い恵は思った。
     
     ふ、伏黒は笑った。
    「もう行くぞ」
     虎杖に声をかけた。
    「おー」
     立ち上がって、横について歩きだした虎杖に
    「五条先生と七海さんさ」
     伏黒は口を開いた。




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    蓮魔の長晋のBL本は
    【題】柔い眼
    【帯】物にも人にも執着しない貴方が怖い
    【書き出し】雨に混じるよく知った匂いを気づかれないように吸い込んだ。
    です

    #限界オタクのBL本 #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/878367
    柔い眼 雨に混じるよく知った匂いを気づかれないように吸い込んだ。墓から線香の匂いを連れてきていて、それが妙になじんでいた。
     同じ傘に入る男の肩が濡れている。長可はそっと傘を傾けて彼の体を影に入れたが長い髪はどうしても濡れてしまう。片手で髪を引き寄せて、雑にまとめて肩に載せてやる。長可より背の低い男の表情かおは、前髪で隠れてしまってこちらには見えない。
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