「やだ‥ もう許して‥」
─駄目だ。涙が‥。
タジクがニヤリと笑って僕の目尻を拭う。
「この綺麗な涙はね。あの 貴方のことが大好きで宝物のように扱う坊やには効くのかもしれませんが、俺にとっては燃料にしかなりません。もっと泣かせてみたくなる‥。あなたの 理性が失われた先のあなたの姿を‥見たい」
──落ちていく。
あおき アオキ‥
あの時は こんな事になるとは思わなかった。
目の前の誘惑。
‥好みだったんだ。そう はっきり言って 何もかもが僕の好きなタイプだったんだ。
ちょっとした気の緩み。
行き詰まっていた捜査で煮詰まっていたのもある。全区あげての捜査。僕だけでなく全ての捜査員が休む間もなく。 ‥青木とは逢瀬どころかプライベートの会話すら ずっと出来ていなかった。
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