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    raixxx_3am

    @raixxx_3am

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    raixxx_3am

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    貴澄くんお誕生日おめでとう(1日出遅れたけどキニシナイ!)
    きすひよ、付き合ってる。すごくいちゃいちゃしている。このふたりは付き合い始めても「なんとなくはずかしいから」でそう言う時(そう言う時だよ!)だけ名前で呼ぶこともあるけど、基本は苗字呼びのイメージ。
    (2023/05/27)

    #きすひよ

    午前零時を過ぎたら ちかちか、と瞬きながら着信の合図が鳴り響いたのは、日付が変わるほんの少し前だった。
    「もしもし――ごめんね、夜分遅くに。いま、大丈夫だった?」
     受話器越しに届けられるすこしくぐもったやわらかな声は、身近で直接耳にするよりもなぜだかずうっと穏やかでくすぐったくて、心地よく心を震わせてくれるのが不思議だ。
    「うん、平気。もうお風呂入ったし」
     答えながら、つけっぱなしだったテレビの電源をそうっと落とす。
     遠野くんは? 何の気なしに尋ねれば、なんで聞くの? だなんてすこし困惑したようすの答えが返される。
    「だってさ、気にならない? そういうの」
    「わからなくもないけど」
     苦笑いまじりに返される言葉に、ふつふつと愛おしさとしか呼べないものが膨らんでいく。
    「いいけど、どうしたのこんな時間に」
     なにか悪いお知らせ――ではなさそうだけれど。壁にもたれかかったままそっと尋ねてみれば、遠慮がちなささやき声がしずかに落とされる。
    「ほら……誕生日でしょう、もうすぐ。だから」
    「あぁ、」
     ためいき混じりにささやけば、たちまちに脳裏にあの、ひどく照れくさそうなやさしい笑顔が浮かびあがる。
    「ありがとう、わざわざ。フライング?」
     冗談めかすように尋ねてみれば、すこしだけ困ったようすのくぐもったささやき声が届けられる。
    「だってほら、君のことだからきっとたくさん連絡だってくるだろうから――」
     ……あぁもう、なんてかわいい。どうしてこんな時、目の前にいてくれないんだろう。たまらない気持ちに駆られながら、思わずふっと天を仰ぐ。
    「ひとりじめにしたかったってこと? ありがとう」
    「……そうだけど」
     困ったような口ぶりで告げられるせりふに、心の奥はくしゃくしゃにたわむ。
     甘えることも我儘を言うこともひどく苦手なのを知っている。だからこそ、こんなふうにふいに見せてくれるどこか子どもじみた顔がたまらなく愛おしくなるだなんてことを果たして知ってくれているのだろうか。
     見上げた壁時計では、ちょうど〇時の針が重なり合う瞬間をいままさに迎えようとしている。
    「変わったね、日付。誕生日おめでとう」
     誰よりも早くに告げられる言葉に、否応なしに胸は高鳴る。
    「ありがとう、すごくうれしい。ね、せっかくだからお願いしてもいい? プレゼント」
    「いいけど……なに?」
     すこし困ったようすで投げかけられる問いかけを前に、にこりと笑いながら答える。
    「名前で呼んでよ、プレゼントだと思って」
     愛してる、だなんて言わなくてもいいからさ。
     照れ屋なせいもあって、限られた時にしか呼んでくれないのを知っていながらわざとそうおねだりしてみる。
    「おやすいご用でしょ、そのくらい」
    「……まぁ、」
     ごくり、とちいさく息をのめば、とっておきのやわらかなささやき声がこぼれる。
    「誕生日おめでとう、貴澄。……生まれてきてくれて、ありがとう」
     受話器越しにつたうように溢れ出す言葉に、音も立てずに心はしずかに震える。
    「――ねえ、」
    「なに、そんなにおかしなこと言った?」
     ひどく照れたようすのぎこちない言葉に、息苦しいほどの愛おしさが募る。そういうところだよ、ほんとうに。
    「そんなことないって――反則だなあって思っただけだよ」
    「だから、どういう意味なの」
     すこしだけもどかしそうに紡がれる問いかけを前に、にっこりと笑いながら答える。
    「大好きだってことだよ」
     かすかに聞こえる息をのむ音に、ふわりと心をおだやかに締め付けられるのにただ身を任せる。
    「あのね、ひよ」
    「……うん」
     受話器越しに聞こえる声に、くすぶったあたたかな色がわずかに灯る。ほんの僅かな時しか呼ばない、ひどくあまえた呼びかけ方は特別な色を帯びているから、答えるその声にもあまやかな余韻が滲んでいる。
    「ありがとう――すごく好きだよ」
    「……うん」
    「どうしたの、照れてるの? 知ってるでしょ、いつも言ってるんだし」
    「からかわないでよ」
     あぁ、きっと真っ赤になってるはずの綺麗な形の耳にいますぐ触りたいな。もどかしさに襲われながら、おなじようにほんのり熱を帯びた自分の耳に触れる。
    「日和も言ってよ、いいでしょ」
    「会ってから言うよ、明日――じゃなくて今日だね、もう」
    「みんなも一緒だよ、平気なの?」
     すこしだけ強気な口ぶりで尋ねてみれば、照れくさそうに滲んだ言葉がぽつりと洩れる。
    「――みんなと会う前で」
    「内緒でデートするの? それもいいけどさ、いまも言ってよ」
     いたずらめいたおねだりを前に、観念した、とでも言わんばかりのくぐもったささやき声が落とされる。
    「おめでとう――愛してるよ」
     あぁもう、どうしたらいいんだろう。
    「ありがと……どうしよう、どきどきして寝れなくなっちゃいそうなんだけど」
    「大げさだよ、そんなの」
    「そんなことないよ、日和はそうじゃないの?」
    「……僕もそうだけど」
    「ならいいや、お揃いってことでしょ?」
     くすくす笑いながら、跳ね回る心臓にそっと手を当ててみる。
     生きている、ここにいる、こんなにも思っている。高鳴る音に、いいしれのようない思いが幾つも膨らむ。

     きっといまごろ仲間たちの幾人かは連絡をくれているはずで、明日にはいつものみんながお祝いを開いてくれる約束だってあって、その中にはいまこうして真っ先にお祝いを告げるために連絡をくれた大切な相手がいて――それでも。

    「ありがとう、ほんとうに。夜更かしさせちゃって申し訳ないけどさ、もうちょっとだけ話しててもいい?」
    「……うん」
     あたたかなささやき声は鼓膜をつたって心の奥底へとすとんと穏やかに落ちて、ひたひたと満ち足りた温もりをもたらす。

     一年にたった一度、大切なこの日が、誰より愛おしい恋人とともにゆっくりと幕を開けていく
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    raixxx_3am

    DONEブックサンタ企画で書いたお話、恋愛未満。
    日和くんにとっての愛情や好意は相手に「都合のいい役割」をこなすことで得られる成果報酬のようなものとして捉えていたからこそ、貴澄くんが「当たり前のもの」として差し出してくれる好意に戸惑いながらも少しずつ心を開いていけるようになったんじゃないかと思っています。
    (2024.12.22)
     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
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    raixxx_3am

    DOODLEきすひよ。いちゃいちゃしてほしかっただけ。相変わらず受けと攻めが不確定。欲望を明け渡しあうことよりも緩やかで優しいスキンシップでお互いを満たしあうことを大切にしているうちにゆっくりその先に進むこともあるんじゃないのかな、ふたりにはそんな関係でいてほしいなという気持ちで生産工場は稼働しています。
    (2024/07/19)
    butterfly kiss「あのね、遠野くん。ちょっとだけ聞いておきたくて」
     ふぅ、とひどく慎重に息を吐き、プレゼントの包みをそうっとほどくようなたおやかさで言葉が続く。
    「遠野くんはさ、僕にしてほしいことってあったりする? その、そういう時に」
     行儀良く膝の上に置いた指をもどかしげに絡ませるようにしながらぽつり、と吐き出されるおだやかな言葉に、息苦しいほどのあまやかな気配が立ちのぼる。こちらをまっすぐに見据えるかのようなまなざしはいつも通りにひどく穏やかで温かいのに、その奥には確かな〝予感〟を帯びた色が隠されているのがありありと伝わるから、いびつに揺らいだ心は音も立てずにぐらりと心地よく軋む。
    「あぁ……えっと、その」
     答えに窮したまま、手元のクッションをぎゅっと掴めば、気遣うようなやさしいまなざしがこちらへと注がれる。
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    raixxx_3am

    DOODLEひよちゃんは幼少期のコミュニケーションが足りていないことと「察する」能力の高さから本音を押し殺すのが常になってしまったんだろうし、郁弥くんとは真逆のタイプな貴澄くんに心地よさを感じる反面、甘えすぎていないか不安になるんじゃないかな、ふたりには沢山お話をしてお互いの気持ちを確かめ合って欲しいな、と思うあまりに話ばっかしてんな僕の小説。
    (2024/05/12)
    君のこと なんて曇りのひとつもない、おだやかな優しい顔で笑う人なんだろう。たぶんそれが、はじめて彼の存在を胸に焼き付けられたその瞬間からいままで、変わらずにあり続ける想いだった。


    「あのね、鴫野くん。聞きたいことがあるんだけど……すこしだけ」
    「ん、なあに?」
     二人掛けのごくこじんまりとしたソファのもう片側――いつしか定位置となった場所に腰を下ろした相手からは、ぱちぱち、とゆっくりのまばたきをこぼしながら、まばゆい光を放つような、あたたかなまなざしがまっすぐにこちらへと注がれる。
     些か慎重すぎたろうか――いや、大切なことを話すのには、最低限の礼儀作法は欠かせないことなはずだし。そっと胸に手を当て、ささやかな決意を込めるかのように僕は話を切り出す。
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    raixxx_3am

    DOODLEDF8話エンディング後の個人的な妄想というか願望。あの後は貴澄くんがみんなの元へ一緒に案内してくれたことで打ち解けられたんじゃないかなぁと。正直あんなかかわり方になってしまったら罪悪感と気まずさで相当ぎくしゃくするだろうし、そんな中で水泳とは直接かかわりあいのない貴澄くんが人懐っこい笑顔で話しかけてくれることが日和くんにとっては随分と救いになったんじゃないかなと思っています。
    ゆうがたフレンド「遠野くんってさ、郁弥と知り合ったのはいつからなの?」
     くるくるとよく動くまばゆく光り輝く瞳はじいっとこちらを捉えながら、興味深げにそう投げかけてくる。
     大丈夫、〝ほんとう〟のことを尋ねられてるわけじゃないことくらいはわかりきっているから――至極平静なふうを装いながら、お得意の愛想笑い混じりに僕は答える。
    「中学のころだよ。アメリカに居た時に、同じチームで泳ぐことになって、それで」
    「へえ、そうなんだぁ」
     途端に、対峙する相手の瞳にはぱぁっと瞬くような鮮やかで優しい光が灯される。
    「遠野くんも水泳留学してたんだね、さすがだよね」
    「いや、僕は両親の仕事の都合でアメリカに行くことになっただけで。それで――」
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    raixxx_3am

    DONEすごくいまさらな日和くんのお誕生日ネタ。ふたりで公園に寄り道して一緒に帰るお話。恋愛未満、×ではなく+の距離感。貴澄くんのバスケ部での戦績などいろいろ捏造があります。(2023/05/05)
    帰り道の途中 不慣れでいたはずのものを、いつの間にか当たり前のように穏やかに受け止められるようになっていたことに気づく瞬間がいくつもある。
     いつだってごく自然にこちらへと飛び込んで来るまぶしいほどにまばゆく光輝くまなざしだとか、名前を呼んでくれる時の、すこし鼻にかかった穏やかでやわらかい響きをたたえた声だとか。
    「ねえ、遠野くん。もうすぐだよね、遠野くんの誕生日って」
     いつものように、くるくるとよく動くあざやかな光を宿した瞳でじいっとこちらを捉えるように見つめながら、やわらかに耳朶をくすぐるようなささやき声が落とされる。
     身長のほぼ変わらない鴫野くんとはこうして隣を歩いていても歩幅を合わせる必要がないだなんてことや、ごく自然に目の高さが合うからこそ、いつもまっすぐにあたたかなまなざしが届いて、その度にどこか照れくさいような気持ちになるだなんてことも、ふたりで過ごす時間ができてからすぐに気づいた、いままでにはなかった小さな変化のひとつだ。
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    raixxx_3am

    DONEブックサンタ企画で書いたお話、恋愛未満。
    日和くんにとっての愛情や好意は相手に「都合のいい役割」をこなすことで得られる成果報酬のようなものとして捉えていたからこそ、貴澄くんが「当たり前のもの」として差し出してくれる好意に戸惑いながらも少しずつ心を開いていけるようになったんじゃないかと思っています。
    (2024.12.22)
     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
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