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    raixxx_3am

    @raixxx_3am

    一次/二次ごっちゃ混ぜ。ひとまず書いたら置いておく保管庫

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    raixxx_3am

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    きすひよ(未満)まだお友だち同士だけど何となくうっすらとお互いに矢印はある感じ。このふたりの関係が「なんとなく波長があうから一緒にいると心地よい、落ち着く」になっていく過程とその後の可能性を100万字くらい見ていたい……ので自分で気が向いた時に書いていければと思っています。

    #きすひよ

    Magic days. そういえばさ、まだ言ってなかったよね?
     同じ高さからまっすぐにこちらへと向けられるまなざしとともに、おだやかな言葉がそっと手渡される。
    「叔父さんがさ、今度遠野くんに遊びにきてもらいなさいって言ってくれてて。遠野くんの都合のいい日ってある?」
    「……あぁ、ええっと」
     言いたいことはたくさんあるけれど、ひとまずは。ぱちぱち、とまばたきをこぼしたのちに、ゆっくりと唇を押し開くようにして答える。
    「いや、いいんだけど……なんでそんな話になったの?」
     顔を合わせたことはないはずだけれど――まあそりゃあそうだ、大学生ともなればそれが当たり前だし。
     戸惑いを隠せないこちらをよそに、すっかり見慣れてしまったあの得意げな笑顔で鴫野くんは答えて見せる。
    「僕がいつもうちで遠野くんの話してるからじゃないかなぁ。きょうも遠野くんと遊びに行ってくるって前から話してたからさ」
    「話って、どんなこと話してるの?」
     総じて、お世辞にも好印象を与えているとは思えないのだけれど。
     思わず心なしか足取りがゆるやかになるこちらに合わせるように、いつもよりもすこしだけペースを落とすようにしながら、やわらかに鴫野くんは答える。
    「遠野日和くん、郁弥とおんなじ霜狼大学の水泳部の選手で専門はバック。アメリカからの帰国子女で、いつも落ち着いててかっこいいんだけどかわいいとこもいっぱいあって、気配り上手でいろんなことによく気がついてくれていっつも優しくて、水泳もだけどバスケも上手くて、とにかくセンスが良くて、頭の回転が早くて色んなことに詳しくて、一緒にいるとすごく楽しくて――」
    「あの、鴫野くん」
     慌てて遮るように言葉を被せれば、まばゆく光るまなざしをぱちぱち、としばたかせながら首を傾げる仕草がこちらへと向けられる。
    「まだあるんだけどなぁ。ごめんね、勝手に話しちゃって。怒った? もしかして」
     あるわけないのに、そんなこと。
     大袈裟に肩をすくめながらかけられる言葉を翻せるようにと、せめてものぎこちない笑顔で答えてみせれば、いたずらめいた無邪気な笑顔に包み込まれる。
     本当に、こういうところなんだよな。こういった本質的な違いらしきものを見せつけられる度に襲われる不思議な気まずさと、裏腹に迫り上がるようなあたたかな心地よさのことをどう説明すればいいのかなんてことが、いまだによくわからない。
    「……そうじゃなくて」
     俯いたままゆるく頭を振り、ぽつりと控えめなボリュームで答える。
    「なんだかやけに大袈裟に褒めてくれてる感じがするから……期待外れになるんじゃないかって不安に思っただけ」
     そもそも、こうして難なく受け入れてもらっていることをいまだに不思議に思うくらいなのに。
     次第に弱まっていく言葉尻に気づいたのか、打ち消すような明るい笑顔での言葉が届けられる。
    「そんなことないよ。僕、本当のことしか言ってないでしょ? 遠野くんって謙虚だもんね。まぁさ、そういうとこも遠野くんらしいところだと思うから、無理に変えなくたっていいと思うんだけどね」
     なんの衒いもなく差し出される言葉に、無様なまでに心は心地よく緩やかに軋む。
     どんなふうに答えればいいんだろう、こんな時には。
     素直に嬉しいとそう伝えればいいだけなことくらいは重々承知してはいるのだけれど、きっとそれだけなんかじゃなくて――頭の中を掻き回すようにして言葉を探しながら、ひとまずは、とばかりにぎこちない笑顔を浮かべてみせることでその場をやり過ごすのに必死になる。
    「……その、ありがとう。嬉しいよ、すごく」
     口ごもりながら答える言葉を前に、穏やかに瞼を細めた笑顔が返される。
    「よかったあ。もしかしてだけどさ、一緒にいて楽しいっていうの、僕だけなのかと思っちゃったもん」
     ぱちり、とウインクをこぼしながら告げられる言葉に、無様なまでに心は翻弄される。まったくもって、「らしい」としか言えない。こんな時には。
     からかわれてるんだよな、きっと。頭ではいくらわかっていても、心の無様な軋みまではどうにも抑えようがない。
    「そんなことないけど……そうならわざわざ会う約束なんてしないよ」
     律儀に顔を出してくれる合同練習や仲間内でのちょっとした集まり以外でも、気づけば郁弥を除いたあのメンバーの中で一番顔を合わせる機会が多くなっていたのが鴫野くんだった。
     それがどうしてなのかなんて言えば、ただ成り行きとしか言いようがないのだけれど。
    「よかった、嬉しいなぁ」
     なんの飾り気もなく差し出される言葉には嘘偽りなんてかけらもないまっすぐな想いが込められていることが手に取るように伝わるから、どこかくすぐったく感じるようなあたたかさに胸をつまらされる。
    「それで――、その、お誘いの件なんだけど」
     話を遮ってしまったことへのいくばくかばかりの責任を感じながら遠慮がちに切り出せば、こちらをじいっと覗き込むようにしながらの明るい笑顔が差し出される。
    「ハルたちも前に来てくれたことがあってさ。五月の連休の後だったかな? 叔父さんも賑やかなのが好きだからって喜んでくれて――そうだ、せっかくだから郁弥も呼ぼうかな、来てもらったことなかったしさ。あとは旭も誘ってさ。旭はちょくちょく来るんだよ、叔父さんとも仲が良くってさ、うちに来たら一緒にゲームとかしてて。遠野くんもいいでしょ、そのほうが」
     ごめんね、気づかなくって。そうだよね。穏やかに笑いながらかけられる言葉に、歪に軋んでいた心は穏やかに包み込まれる。
    「ありがとう、わざわざ。――郁弥には僕から連絡しておけばいい? 椎名くんには鴫野くんからがいいよね」
    「うん、ありがとう」
     どうしてそんなにも嬉しそうに笑いかけてくれるんだろう――僕なんかに。
     ふいうちのように襲いかかる不安定に揺らぐ感情を打ち消すように、じいっとこちらを見つめるきらきらとまばゆく光輝くまなざしはこちらを静かに包み込む。
    「よかったなぁ、ご馳走作って待ってるからね? 何がいいかなぁ。ていうか郁弥ってきてくれるのかなぁ。遠野くんと旭も来るって言ったらたぶん大丈夫だよね、むしろ仲間外れって拗ねるかもしれないし」
    「そんなこと……」
     まったくない、とはあながち言い切れない。このところ、以前よりもいくらかは感情表現がまっすぐかつ豊かになってきたように見えるのは確かだし。椎名くんの前でなら尚更に。
    「あってもおかしくはないかもね、まぁ」
    「郁弥には内緒にしておいてね、いまの」
    「当たり前でしょ、そんなの」
     目を合わせながら、声を立てずにくすくす笑い合う。

     なんでなのかなんてことはすこしもわからない。それでも確かなことはひとつだけ――彼の隣は、こんなにも穏やかで心地良いのだということ。

    「ちょっと前なんだけどさぁ」
     地下道に立ち並ぶ、いくつもの光り輝くショーウィンドウをぼうっと眺めながら、ぽつりと囁くように鴫野くんはつぶやく。
    「ひとりで入ったカフェでね、隣にふたり組の女の子たちがいて。たぶん片方の子が旅行かなにかで来てたんだろうね、『二日間ずーっと一緒にいられてほんとに楽しかった、ぜーんぶ楽しかった、最後にこんなに素敵なお店に連れてきてもらえて本当に嬉しかった。もうあとちょっとでお別れしなきゃいけないなんてすっごく寂しい』って夢中で話してて、向かい側の子はずーっと嬉しそうにその子のこと見ててさ。別にさ、盗み聞きする気とかは全然なかったんだけど、かわいいなぁって思って」
     愛しむように瞼を細めながら、優しい言葉が続く。
    「なんかいまならちょっとわかる気がするんだよね、あの子たちの気持ち。別に遠野くんのこと困らせたいわけじゃないんだけどさ、なんかちょっと寂しいよなぁって思っちゃうから、どうしても」
    「また会えるでしょう? すぐに」
    「本当かなぁ」
    「鴫野くんが迷惑じゃなければね」
    「こっちのセリフなんだけど、そんなの」
     すこしだけ綻んだようすで手渡される言葉に、心はただ穏やかに揺らぐ。

     地下鉄の乗り換え口まではあともう少し――お互いに違う路線に住む僕たちがこうしてただ隣に居られる時間はもう残り少ない。
     気づかれないようにすこしだけ緩めた歩調に合わせるように、鴫野くんの足取りがペースを落とすのをちらりと視線を落として確認しながら、ささやかな笑みを浮かべる。


     すこしずつ、すこしずつ。
     ゆるやかに足並みをそろえるようにしながら、僕たちの距離は近づいていく。
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    raixxx_3am

    DONEブックサンタ企画で書いたお話、恋愛未満。
    日和くんにとっての愛情や好意は相手に「都合のいい役割」をこなすことで得られる成果報酬のようなものとして捉えていたからこそ、貴澄くんが「当たり前のもの」として差し出してくれる好意に戸惑いながらも少しずつ心を開いていけるようになったんじゃないかと思っています。
    (2024.12.22)
     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
    4803

    raixxx_3am

    DOODLEきすひよ。いちゃいちゃしてほしかっただけ。相変わらず受けと攻めが不確定。欲望を明け渡しあうことよりも緩やかで優しいスキンシップでお互いを満たしあうことを大切にしているうちにゆっくりその先に進むこともあるんじゃないのかな、ふたりにはそんな関係でいてほしいなという気持ちで生産工場は稼働しています。
    (2024/07/19)
    butterfly kiss「あのね、遠野くん。ちょっとだけ聞いておきたくて」
     ふぅ、とひどく慎重に息を吐き、プレゼントの包みをそうっとほどくようなたおやかさで言葉が続く。
    「遠野くんはさ、僕にしてほしいことってあったりする? その、そういう時に」
     行儀良く膝の上に置いた指をもどかしげに絡ませるようにしながらぽつり、と吐き出されるおだやかな言葉に、息苦しいほどのあまやかな気配が立ちのぼる。こちらをまっすぐに見据えるかのようなまなざしはいつも通りにひどく穏やかで温かいのに、その奥には確かな〝予感〟を帯びた色が隠されているのがありありと伝わるから、いびつに揺らいだ心は音も立てずにぐらりと心地よく軋む。
    「あぁ……えっと、その」
     答えに窮したまま、手元のクッションをぎゅっと掴めば、気遣うようなやさしいまなざしがこちらへと注がれる。
    4603

    raixxx_3am

    DOODLEひよちゃんは幼少期のコミュニケーションが足りていないことと「察する」能力の高さから本音を押し殺すのが常になってしまったんだろうし、郁弥くんとは真逆のタイプな貴澄くんに心地よさを感じる反面、甘えすぎていないか不安になるんじゃないかな、ふたりには沢山お話をしてお互いの気持ちを確かめ合って欲しいな、と思うあまりに話ばっかしてんな僕の小説。
    (2024/05/12)
    君のこと なんて曇りのひとつもない、おだやかな優しい顔で笑う人なんだろう。たぶんそれが、はじめて彼の存在を胸に焼き付けられたその瞬間からいままで、変わらずにあり続ける想いだった。


    「あのね、鴫野くん。聞きたいことがあるんだけど……すこしだけ」
    「ん、なあに?」
     二人掛けのごくこじんまりとしたソファのもう片側――いつしか定位置となった場所に腰を下ろした相手からは、ぱちぱち、とゆっくりのまばたきをこぼしながら、まばゆい光を放つような、あたたかなまなざしがまっすぐにこちらへと注がれる。
     些か慎重すぎたろうか――いや、大切なことを話すのには、最低限の礼儀作法は欠かせないことなはずだし。そっと胸に手を当て、ささやかな決意を込めるかのように僕は話を切り出す。
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     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
    4803

    raixxx_3am

    DOODLEDF8話エンディング後の個人的な妄想というか願望。あの後は貴澄くんがみんなの元へ一緒に案内してくれたことで打ち解けられたんじゃないかなぁと。正直あんなかかわり方になってしまったら罪悪感と気まずさで相当ぎくしゃくするだろうし、そんな中で水泳とは直接かかわりあいのない貴澄くんが人懐っこい笑顔で話しかけてくれることが日和くんにとっては随分と救いになったんじゃないかなと思っています。
    ゆうがたフレンド「遠野くんってさ、郁弥と知り合ったのはいつからなの?」
     くるくるとよく動くまばゆく光り輝く瞳はじいっとこちらを捉えながら、興味深げにそう投げかけてくる。
     大丈夫、〝ほんとう〟のことを尋ねられてるわけじゃないことくらいはわかりきっているから――至極平静なふうを装いながら、お得意の愛想笑い混じりに僕は答える。
    「中学のころだよ。アメリカに居た時に、同じチームで泳ぐことになって、それで」
    「へえ、そうなんだぁ」
     途端に、対峙する相手の瞳にはぱぁっと瞬くような鮮やかで優しい光が灯される。
    「遠野くんも水泳留学してたんだね、さすがだよね」
    「いや、僕は両親の仕事の都合でアメリカに行くことになっただけで。それで――」
    3785

    raixxx_3am

    DONEすごくいまさらな日和くんのお誕生日ネタ。ふたりで公園に寄り道して一緒に帰るお話。恋愛未満、×ではなく+の距離感。貴澄くんのバスケ部での戦績などいろいろ捏造があります。(2023/05/05)
    帰り道の途中 不慣れでいたはずのものを、いつの間にか当たり前のように穏やかに受け止められるようになっていたことに気づく瞬間がいくつもある。
     いつだってごく自然にこちらへと飛び込んで来るまぶしいほどにまばゆく光輝くまなざしだとか、名前を呼んでくれる時の、すこし鼻にかかった穏やかでやわらかい響きをたたえた声だとか。
    「ねえ、遠野くん。もうすぐだよね、遠野くんの誕生日って」
     いつものように、くるくるとよく動くあざやかな光を宿した瞳でじいっとこちらを捉えるように見つめながら、やわらかに耳朶をくすぐるようなささやき声が落とされる。
     身長のほぼ変わらない鴫野くんとはこうして隣を歩いていても歩幅を合わせる必要がないだなんてことや、ごく自然に目の高さが合うからこそ、いつもまっすぐにあたたかなまなざしが届いて、その度にどこか照れくさいような気持ちになるだなんてことも、ふたりで過ごす時間ができてからすぐに気づいた、いままでにはなかった小さな変化のひとつだ。
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