ミスタはヴォックスが好きだ そうヴォックスは確信している
愛を囁いても嫌がるどころか喜んでいるような反応だし、他のラクシエムメンバーよりも距離が近い。人間は人を好きになるとその人の傍にずっと居たくなる事を知っているヴォックスはミスタは自分に好意を持っていて一緒になりたがっているに違いない。そう確信していた
今日もラクシエムのメンバーで配信をする前にアイクの家で駄弁っていた
ミスタがジムに行きだした話に️ルカが食いついたり、納豆が好きなシュウが納豆の良さを力説したり、いつも通りにヴォックスがアイクを口説き出したところでミスタがあっと小さく声を上げた
「口説いてるとこ悪いんだけどさ、皆ってさ男同士で付き合ったりすることに抵抗ってある?」
急なミスタの質問に全員ポカンとしてからミスタは気になったらすぐ質問するのを思い出し口々に彼の疑問に答えてやる
「抵抗はないかな」
「好きになったらそんなの関係ないよ!」
と応えると、少し何かを考えたあと、分かったと笑って応えたなにか違和感を感じたアイクが「急にそんなこと聞くなんて、何かあったの?」と聞くと
「いや、俺ジムに行き始めたって言ったじゃん?そこのジムで同じ曜日に来る人に今日恋愛的な意味で付き合って欲しいって言われちゃってさー、よく考えたら男にちゃんと告白されたことってなかったなと思ってさ!でも男同士とか関係ないよね!」と満足そうに言うミスタを見て、アイク、シュウ、️ルカの3人は一斉にヴォックスの方へ振り返った
ヴォックスは端正で色白な顔をもっと白くさせて目をぱちくりと大きく開き固まっている
ヴォックスが固まっているのを察し、ミスタに質問を投げかける
「ミスタはその人のことが好きなの?」
「うーん、数回しか話したことないから分からない、」
「数回しか話したことがないのに告白されたの!?」
「''ひとめぼれ''ってやつみたい、ほんとにこんなことあるんだなー」
ミスタは顔面蒼白のヴォックスが見えていないのか、あっけからんと応える
「、、、なんて答えたんだ?」
それまで口を閉ざしていたヴォックスがまるで医師から自分の余命を聞き出すかのような口調で聞いた
「あー、答えるのは1週間後にジムで一緒になった時でいいって」
その言葉を聞いた瞬間ほっとしたような顔をしたヴォックスを情けなく思いながらアイクは「ミスタ、この一週間でよく考えるんだよ」と念を押した
そして配信が終わってそれぞれが帰宅を始める頃、ヴォックスはアイクに「明日、予定はあるか?」と尋ね、アイクが首を振ると「また来る、」と時間も伝えずに立ち去ってしまった
「ミスタは私のことが好きなはずなのにどうして素性も知らない男からの告白を受けようとしているんだ?」約束通りの配信の1日後アイクの家に着きソファーに座るなりヴォックスが発した
アイクはヴォックスをまるで中学生だと思いながら優しく諭すように「僕もミスタは君に好意を持っていると思うよ。でもね、ヴォックス。いくら好意を持っていようと、距離が近かろうと自分に好意を向けてくれる相手じゃないと、態度で示さないといつか離れていってしまうものだよ」
最初はアイクはミスタに恋人が出来るというのを聞いてヴォックスの自業自得だと思ったが、年甲斐もなく落ち込むヴォックスに「でもね、1週間あるんだ。その間に何をするべきかは、分かってるよね?」と励ましとしりを叩くような気持ちで囁いた
それを聞くや否やそれまで子供のように小さく蹲っていたヴォックスは別人になったかのように「アイク、ありがとう、世話になった」と言い残しドタバタと部屋を出ていった