黄昏時の蜃気楼「…それでは、以上で授業を終わります。ここまでの板書は終わらせておくように。」
ぱたん、と纏めたノートを閉じると同時に終業の鐘が鳴る。
誰かの号令で挨拶が終われば、途端に騒がしくなる箱の中で静かに本を開く。
私はどうにもこの騒がしい…学生らしいノリ、というようなものが苦手だった。
できることなら静かに休み時間は過ごしたいし、お昼はゆっくり自分のペースで食べたい。放課後の時間は好きに使いたいから、部活動にも所属していない。
だからといって学校が嫌いな訳では無い。私にとっての大切な時間は、この学校の中でもある。
「今日も委員会?この後一緒に新しく出来た喫茶店行こって話、いつものメンバーでしてたんだけど…」
「うん、ごめんね。次機会があったら、参加させて欲しいな」
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