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    さなか

    @o_sanaka

    成人腐(↑20)。主に石乙で文字と絵を投稿してます。

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    さなか

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    芸能パロ石乙の短編。
    乙骨くんが石流さんに大事な話があるようです。

    #石乙
    stoneB
    ##芸能パロ石乙

    芸能パロ石乙「龍さん、大事な話があります」
     そんな乙骨の声に、石流が顔を向ければ、石流が座っているリビングのソファの隣で、乙骨が何故か正座で座っていた。
     例えば何か謝罪をするために正座をするとしたら、恐らく床にするものだろう、いや、そうしろというワケではなく、乙骨が嫌に仰々しく正座なんてしているが、ソファの上でしているのでその雰囲気が完全に台無しになっていることに、乙骨本人が気付いていないのだ。
     だから石流も目をパチクリとさせたまま乙骨に「…どうした?」と問い返していた。
     乙骨は正座をしたまま両膝に手を置き、ひとつ息を吐いてから視線をあげて石流を見た。
    「……いろいろ考えたんですけど、龍さんは僕と、付き合わない方がいいと思います」
    「………………は?」
     何を言い出すんだが半分、何を今更が半分。
     石流が乙骨と付き合うようになってもう数ヶ月は経つ。休みが合えば今日みたいに乙骨は石流の自宅に転がり込むし、夜にはヤることもやっている。石流は乙骨に不満なんてなかったし、乙骨もそんな雰囲気はなかった。自分たちの関係は順調だと思っていたのだが。
     ワケが分からんと、石流は溜め息を吐いて頭を掻いた。
    「……付き合わない方がいいって、とっくに付き合ってんだろ?」
    「そうですけど……でも、止めた方がいいと思うんです」
    「……それはつまり、別れたいってことか?」
     手を止めて改めて乙骨の顔を見た。少し睨むような視線になってしまったせいか、乙骨がギクリと肩を震わせたのが分かった。
     それでもぎゅっと膝の上の拳を握りしめた。
    「……龍さんは、僕と……付き合わない方が、いいですよ…」
     乙骨は変わらず同じ言葉を繰り返した。
     そして今度は、それにもう一言付け足した。

    「だって僕……龍さんの、キモオタなので……」

    「………………なんて?」
     石流が思わず聞き返せば、乙骨は自棄にでもなったように「だからっ!!」と声を荒げる。
    「僕、キモチワルイんです!!気持ち悪いくらい龍さんのことが好きなんです!!だから付き合わない方がいいんです!!」
    「……えーーーっと……」
     乙骨の発言に思わずこめかみに手を当てた。なんかもうよく分からない、それでなんで自分たちの別れ話に繋がるのか。
     乙骨が元々、自分のファンであることは知っていた。初めて二人きりで話したときにそう言っていたし、共演したドラマのスタッフ内でも周知の事実だった。
     石流とこういう関係になる前から、乙骨の好意はだだ漏れだったし、石流もそれを不快に思ったことは一度だってなかった。乙骨が興味津々に自分の出演作を見ているのは気恥ずかしい気持ちもあったけれど、純粋に嬉しかった。
     それを気持ち悪いだなんて、そんなことは絶対にないと思うのだ。
    「……ゆう、とりあえず落ち着けよ。俺はオマエの気持ちを、気持ち悪いなんて思ったことねぇよ?」
     だから石流はそのまま乙骨に伝えたのだが、乙骨はぶんぶんと首を左右に振った。
    「それは……龍さんが僕の気持ち悪さを知らないからです」
    「はぁ……」
    「僕の部屋、すごいんですよ。龍さんのポスターめちゃくちゃ貼ってあるし、公式グッズもめちゃくちゃあります。神棚作ってます」
    「へぇ……」
     確かに乙骨が石流の家に来るばかりで、石流が乙骨の家に行くことは殆どない、玄関まで連れてきたことはあったが、乙骨の部屋まで入ったことは一度もなかった。
    「龍さんの出演作は何十回も見返したので、台詞も動きもほとんど覚えています。きっとワンシーンを見ただけで、どの時代劇ドラマのどの話か言い当てられる自信があります」
    「ほぉ……」
     正直、石流が正解不正解の判断が出来ないかもしれない。
    「あと……龍さんの使用済みの服とか下着とか……たまに嗅いでます……あーもう本当にキモチワルイ!!ダメです、こんな僕と付き合ったら危ないですよ、龍さん!!」
     乙骨が自分の顔を両手で覆って「ウワアアアア」と唸っている。唸っているところ悪いが、乙骨が石流の服とか下着を嗅いでいるのを石流は既に知っていたりする。
     石流は「うーん」と唸りながら、頭を掻く。
    「まー確かに、よく知らねぇファンにそれをされたらキモいけどよ」
    「ですよね!?」
    「オマエとは付き合ってんだし、オマエがそういう意味で俺のことを好きなのは知ってんだから、オマエがするのは別にキモいとは思わないんだが」
     服や下着を嗅いだりするのがなんだよ、自分はオマエの身体中嗅いだり舐めたりとっくにしてるだろうが。
     そうしれっと言ってやれば、乙骨は顔を真っ赤にさせて、口をパクパクさせていたが、すぐにくしゃりと顔を歪めた。
    「龍さんは僕に騙されてるんですよ…!」
    「いや、騙すも何も、オマエだって俺のこと好きなんだろ?」
    「好きです!!でもその好きがキモチワルイんです!!そんな僕と付き合わない方がいいんですって!!」
     乙骨の発言が最初に戻った。なんとはない、ただの盛大な告白ではないか。ようするに石流のことが自身が引くくらい好きということでないか。そんなものこちらからすれば大歓迎以外の何物でもないのだが。
    「……あほくさ」
     石流はそう呟くと、乙骨に覆い被さりそのまま押し倒した。
     乙骨はあわあわしながら「え、え?」と呟いている。その口を自分の口で塞いでやった。
    「……そんなにキモチワルイくらい俺のことが好きだって言うのなら、俺もどれくらい気持ち悪くオマエのことが好きか、教えてやるよ」
     そして唇を離した後、ニッと笑ってそう言った。




     数時間後、素っ裸の乙骨が丸く蹲りながら「変態エロ親父……」と石流のことを罵ったとか罵らなかったとか。
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