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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ
    お題「寝坊」
    油断した1人と、それを見てニンマリする1人の話。
    ※自我強いお馴染み秘書さんいます
    ※ナチュラル同棲

    #キバダン
    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #kbdn

    愛の切れ端 腹に絡まる温い体温に、瞼に刺さる太陽の熱。やけに煩いココガラの声、鳴り止まぬアラーム音。それらが薄い膜一枚巻いたような心地で感じたダンデは、暫くはぼんやりとシーツに懐いていたが、やがてそれらの意味を正しく理解した。
    「…っやばいぜこれは!!」
     今までに何度も経験してきた中でも特段アウトな予感のフルコンボに、内心冷や汗を掻いて、ベッドから背筋を使って勢いよく起き上がる。一緒に寝床へと潜り込んだチョコレート色の肌をしたドラゴンが、未だに横で呑気にスヤスヤと眠り込んでいた。休日ならずっと眺めていたいその顔も、今のこの原因を作った一因でもあるので只々憎らしい。
    「っこの!起きろっ!!」
     これくらいしないと起きないし。なんてちょっとだけ恨みを晴らす言い訳をしながら、鬱血痕と噛み跡だらけの右足で、背中に爪痕が残る大男の背中を思い切り蹴り飛ばした。

    「やばいやばいっ!もうここまでくると笑えてくるくらいやばい!」
    「ロトト〜!だからあんなにアラーム鳴らしたロト!早寝すれば良かったロト!」
    「正論過ぎて返す言葉も無いぜ!」
     ドタドタ、バタバタ
     まるで漫画のようにあっちこっちへと走り回りながら身支度を整えていくこの光景も、だいぶ見慣れたものなので、2人暮らしを始めた当初は2人の周りを心配そうにウロウロとしていたポケモン達も、最近は呆れたように眺めている。
    「ダンデ!それオレさまの靴下!」
    「キミこそ!それはオレのベルトじゃないか!?」
     なんとか2人で体裁を最低限整えるべく、洗面台へと並び、思いっきり顔面へと冷水をぶちまけながら洗顔をし、歯を磨いた。そのまま家を出ようとするダンデに、オーナーとして、顔が命と言わないまでも、せめて髭くらいは整えておかないと!とギャアギャア騒ぐキバナに根負けしもどかしく思いながらある程度髭を整え始める。それを見届けたキバナは、急いでいるからかダンデを置いてサッサと洗面所を出て行ってしまった。
    「髭、無くしてしまおうかな…」
     童顔になってしまうので叶わない夢ではあるが、こうも寝坊が多いとちょっとだけ考えてしまうものなのである。

     ようやっと髭も整えリビングへと向かうと、テーブルの上には、ランチクロスに包まれて2つ仲良く並んだランチボックス。予想外の物の登場に思わず目を瞬かせる。
    「急いでたから簡単なやつでごめんな!職場着いたら朝ご飯にして!足りなかったらなんか適当にデリ買って!」
     キッチン奥から食器を動かす音を響かせながら、キバナの声が聞こえてくる。
    「うおお…凄いなキミ、この短時間で。キバナー!愛してるぜっ!じゃあ行ってくる!」
    「その言葉、顔見て聞きたかったー!!いってらっしゃい!」
     忙しい中でも、自分を思って作ってくれたであろう気遣いが嬉しくて、心の中で「朝は蹴り飛ばしてごめんな」なんていう気持ちにさえなる。本当ならハグの一つでもしたいところだが、時間が本当にギリギリなので、泣く泣く我慢し、ボックス一つを引っ掴んでリザードンと共にタワーへと、こうそくいどうさながらのスピードで飛び立っていく。
     暑い夏が終わって、漸くの秋空。急いでいるとはいえ伸び伸びと羽を伸ばしながら空を飛ぶ相棒の背から見上げる綺麗な青空は、とても清々しいものだった。

    「それで、今日はスーツのボタンが一つずつ掛け違えているんですね」
    「えっ?…これで受付通ってきてしまったぜ…」
    「そんなに恥ずかしがるなら、日頃からもっと寝坊しないよう気を付けてくださいね」
    「ぐうの音も出ない」
     何とか始業時間ギリギリに辿り着いたデスクの前で、秘書に小言を言われつつボタンを掛け直す。何故だかいつもより笑顔が不自然だった受付スタッフの態度の意味が分かり、恥ずかしさと、せめて家を出る前に鏡を見れば良かったと後悔するがもう遅い。
    「朝の予定確認なんだが、申し訳無いが朝食食べながら聞いても良いだろうか?」
    「良いですよ。何も食べないでやる仕事は、良い結果にはならないですからね。キバナさんが?」
    「ありがとう。ああ、時間が無いのは同じだろうに急いで作ってくれたみたいで…っと?」
     ランチクロスに手をかけようとしたところで、ポケットからスマホロトムが飛び出して着信を伝える。相手は、丁度話題に上がっていた人物からだった。ダンデが目線を秘書に向けると、秘書は慣れたように頷いてダンデの後ろに控える。ダンデはお礼の意味を込めて笑みを浮かべ、そのまま通話ボタンを押す。
    「どうした?」
     スイっとダンデの目の前に移動してきた画面には、普段あまり見ないようなバツの悪そうな顔をしたキバナが映る。
    「わりぃ、仕事始まってる時間だろうに」
    「大丈夫。秘書にも今お目溢しを貰ってる所だ」
     キバナに見えるように横に体を捻り、秘書が映るようにすると、慣れたように秘書も上品に笑い、「お気になさらず」と軽く手を振る。
    「…あのさ、今朝渡したランチボックスなんだけど…」
    「ああ、丁度今から食べようかなって思ってたんだが。どうした?」
    「いや、そのさ。あれ、ちょっと中身オレさまのと間違えちゃってて。恥ずかしいからできれば中身を見ないで欲しいなって…」
    「えっ?何でだ?」
    「いや、兎に角!本当に開けるのだけは勘弁してくれっ!あっちょっとリョウタ!」
    「もうっ!良い加減にしないと間に合いませんよ!先方が待ってるんですから!申し訳ありません、ダンデさん。時間が押してて…」
    「気にしないで良いぜ!また後で連絡するとキバナには伝えてくれ。じゃあ」
     ぷつり。と切れて真っ暗になった通話画面をダンデは暫く眺め、その後デスクの上に置かれたランチボックスを眺め。
    「よし、開けよう」
    「そうこなくっちゃですね」
     人間、やめろと言われれば逆にやりたくなる。見るなと言われれば見たくなる。若干ウキウキとしつつ、2人並んでクロスを解いて可愛らしいリザードンがプリントされた蓋を開ける。
    「…あらあら」
    「なるほど。こういうことか」
     中身はキュウリとハムのサンドイッチに、キバナが作り置きして、よく入れてくれるミニハンバーグだった。ただ、その見た目がダンデがよく見る物とは違かった。ボックスの中。サンドイッチを入れて余ったのであろうスペースに、切り落としたパンの耳がぎゅうぎゅうに詰め込まれており、その上には乱雑にマヨネーズがかけられている。その横にあるハンバーグは、焼いている途中に砕けて欠片になったものを集めてのだろうか。パンの耳と同じように雑にケチャップがかけられてカップの中に盛られている。
    「キバナの作る、オレの分のランチボックスにいつも綺麗な料理ばっかり詰まってる理由が、漸く判明したぜ」
    「いつも、お店のみたいに整った中身でしたものね。愛されてますねぇ…で、どうするんです?」
    「勿論、食べるぜ」
     答えは分かっているだろうに、そう聞いてくる秘書に、ダンデはにこやかに答えながら愛の切れ端に齧り付いた。
     明日はちゃんと早起きして、こっそりキバナの分のランチボックスを準備してみようか。なんて考えながら眺める空は、やっぱりカラリとして、とても気持ちの良い青空だった。
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    肴飯のポイ箱

    DOODLEワンドロ
    少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
    ※先天性女体化です。
    心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
    お題『初恋or意識し始め』
    まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
    「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
     少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
     ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
    2021

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ
    お題「駆け引き•取り引き」
    立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
    ※イズオーバー後同棲設定
    すっごい…難産でした…でも楽しかった!
    よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
     まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
    「…ふりゃ」
     撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
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    DONEワンドロ「雨音」
    ⏳1時間半位
    ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。
    幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
    「やっぱり降ってきたか。」
    「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
    「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ。」
     ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
    2028

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