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    おもち

    @mochichi12_

    成人済み/今は94で藻掻いてます。

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    おもち

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    ノスクラ成立後です。
    ノースが自販で血液パックを買っていたあたりに書いた話です。
    再会前のため、クラさんからノースへの二人称が「きみ」です。

    #ノスクラ
    nosucla.

    再会した彼は、かっちりとした立襟の黒のカソックを身に付けることはなくなった。
    少しだけ、勿体ないと思ってしまう。彼の雰囲気や美しくぴんと伸びた背筋にその装いはとても似合っていたから。
    初めて会った頃の張り詰めた様子は消え、随分と表情も柔らかくなった。目覚めてからは、体が酷く冷えるらしく、最近ではこの国のこたつがお気に入りのようだ。
    こたつに吸い寄せられように、すっぽりと収まり天板に腕を枕代わりに置き、うとうととしている。
    来客を前にした態度とは到底思えないが、油断しきった我が子は可愛くもあるし、彼にとって己はもてなすべく来客ではなく、もう身内なのだろうと思うと口元が緩んでしまう。
    「クラージィ、眠いならベッドに行きなさい」
    「ん…いや、眠くはない」
    もにゃもにゃと、今にも寝てしまいそうな声で返されて、つい悪戯心が芽生えてしまう。
    そっと彼の柔らかな髪に指を入れてかき混ぜるように心ゆくまで撫ぜ、堪能する。いつもなら気恥しいのか、逃れようとするのに、今は大人しく身を任せている。もこもことしたセーターも相まって、毛刈りされる前の羊のようで愛らしい。
    髪から手を離すと、眠たげな目で見上げてくる。まるで、もうおしまいなのかと、強請るように見えて、この辺りで止めておこうとしていたのに、拍車がかかってしまう。
    ハイネックセーターで隠された首筋をそっと撫で、抵抗が無いことを良いことに襟元を捲り頚椎を指先でなぞる。
    擽ったさと覆われていた首筋があらわになったことで、ひやりとしたのだろうクラージィは首を竦める。
    それでも、抵抗はなく様子を窺うだけのクラージィに少しだけ苦言を呈したくなる。吸血鬼になったとはいえ、そう簡単に吸血鬼相手に項を見せるな、と。
    「ノースディン?」
    先程より明瞭な、戸惑った声音を無視してその白い項へと口付ける。口髭が当たり擽ったかったのか、びくん、と震えてしまう肩を軽く抑えた。鼻先がクラージィの柔らかな頭髪に埋まり、彼の香りに満たされる。
    「ん、っくすぐったい」
    「もう少しだけ良いだろう?」
    さすがに眠気も覚めたのか、体を強ばらせ抵抗を始めるがそれをいなし首筋に吸い付く。
    寒い時期は、首元を覆う服装ばかりのクラージィに多少痕を付けても誰かに見られる心配も無いだろう、と彼の悲鳴混じりの制止の言葉を聞き流しながら、何ヶ所も赤い痕を散らしていく。
    綺麗に付いた痕を満足気に見下ろし、クラージィを解放すると、項を押さえ勢いよく上体を起こし、赤い顔で咎めるように睨み付けてくる。
    「今日は何もしないと言っていただろう!」
    可愛らしい抗議に、今日でなければもっとして良かったのだろうか、とからかいたくなるが、機嫌を損ねてしまうのは本意では無い。
    「悪かった。お前が可愛くて我慢が出来なかった」
    「……最近、分かってきているんだからな。謝れば私が許すと思っていると」
    「許してくれないのか?」
    眉間に皺を寄せ、怒っている、と表情で示してくるが、それすらも愛らしいし、実際のところ謝れば許してもらえるのを知っている。
    「……君が紅茶を淹れてくれたら、許そう」
    あまりに甘い裁量に笑いを堪えながら、愛しい子の赦しを得るためキッチンへと向かうことにした。
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