Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    eastdragon_DB

    @eastdragon_DB

    我、ナゾノイキモノぞ!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 109

    eastdragon_DB

    ☆quiet follow

    57ワンドロライ 第55試合『カップル〜Couple〜』
    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

    「可愛い親子だね」

     そんな言葉を悟空の耳が捕らえて、瞬時に握っていた手に力が籠った。
     自分の息子達よりずっと幼く孫娘よりも年下に見える容姿の孫悟空だが、その中身は妻であるチチとふたりの子を成し、先に述べた孫もいる身である。そして宿す力も容姿から想像するものよりははるかに強く、ともすれば女性の骨をも握り砕いてしまいそうな感情の沸騰も、相手がチチであるということから半ば本能的に抑えられたのは行幸だった。

    「悟空さ、どうしたべ?」
    「……なんでもねぇ」
    「なんでもねぇって感じのお顔じゃねぇべなぁ。拗ねちゃっただべか」

     繋いだ手の位置よりもずっと高い場所に、チチの視線がある。
     パオズ山の家を度々不在にはしていたけど、彼女の元に帰っていくと自分よりも下に彼女の目線があったのに慣れている分、今の状況はやはり「違う」のだと痛感させられる。

     子供の姿でチチの元に戻るとやはり泣かれてしまったけど、感情を一時的に高ぶらせはするがチチは対応型の人なので受け入れざるを得ないと理解すればすとんと落ち着く。そこは長男、悟飯曰く、セルとの闘いの後死者からの生還を望まなかった悟空に対しての感情も少し時間はかかったがそうだったらしい。
     
    「悟空さが生きているなら、どんな悟空さでもおらは嬉しいだよ」

     チチの方から悟空の小さな手をぎゅっと握りこんでくる。
     あたたかいけど肌触りに違和感がある。でも、まごうことなき大好きなチチの手だ。

    「夫婦には到底みれねぇし、親子がせいぜい。ひょっとしたらおらがばーちゃんに見えるかもだけんど、悟空さはおらの旦那様だべ」
    「……やっぱおらチチにはかなわねぇなぁ」
    「そりゃあおめぇさの嫁だもの。強くはねぇけんど、こうでもしなきゃやっていけねぇだ」
    「チチはすげぇよ。元に戻る方法も探すけどさ、一緒にオラすっげぇめっちゃくちゃオトナになれるようにしてくっから、チチにおいついて夫婦に見られるようにしてくっぞ」
    「おとなになる…、ふふ、悟空さならそれもできそうだべ。楽しみにしてるだよ」
    「おう!」

     笑う彼女のもとに、つま先ひとつでふわりと飛び上がって頬に口付ける。
     周囲に人がいる中だったので、驚いたチチから窘める声が発せられたが、悟空はにっかりといつもの笑みを浮かべてチチの手を引き、買い物の続きへと促していった。
     
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤👫❤❤💕😍💋💕👫💕👍😍👍☺✨✨😊😊😆😆😆💖💖💖😭😭😭☺🙏😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第8試合 お題『月〜MOON〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「黒髪の悟空さはおひさまみてぇに笑うし、金色の悟空さもきらきらまぶしい太陽みてぇだって思ったけんど」
    「けど?」
    「おっかねぇお顔のおめぇさは、なーんかお月様って感じだべな」
    「それ、髪型のせいとか言わねぇだろうな?」
    「あ、言われてみれば。なんか三日月みてぇな気も…」
    「チチ」
    「ほれ、こうやって後ろにいっぺぇある髪をこんな風にしたら……」
    「チーチ」
    「いいでねぇか、今はおらとおめぇさだけだもの。少しくらい遊ばせてけれ」
    「…………」
    「ふふ。三日月型にしたらやっぱりお月様みてぇだ。真夜中にすっげぇ光ってるお月様、金色に見えることあるもん」
    「俺からしてみりゃあ、チチが月みてぇだけどな」
    「おら…?」
    「金色がねぇって思ってっだろ。金色じゃあなくてよ、このさ…」
    「ん………っ」
    「チチの肌がさ、まんまるの月みてぇに白いのに、なんつうか白すぎず…色っぺぇっていうかさ。…真珠色っていうんだっけ? たまんねぇときある」
    「………悟空さ、触りすぎ」
    「いいじゃねぇか、二人っきりっつったのはチチだし。それに」

     月がキレイな今夜は、子供達不在の二人きりなので。

    「お互いのお月さん、堪能し 513

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

    eastdragon_DB

    TRAINING【第12試合】『ベンチ〜bench〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「お義父さんってお義母さんのこと、本当に大好きよね」
    「? いきなりどうしたの、ビーデルさん」
    「ごめんなさい、特になにかあったとかじゃあないんだけど、なんていうのかな、しみじみ分かっちゃって。お二人の子供である悟飯くんにはそんなの当たり前じゃないかってなるかもだけどね」
    「いや、息子だからこそ気付けていないところって多分あるんじゃないかな。ちなみに…ビーデルさんが思ったのってどういうの?」
    「えっとね。ほら、今日みんなでお出かけしてて、ちょっと喉が渇いたからって今このお店飲み物買おうとしてるでしょ」
    「悟天のやつはジュースもアイスもってなってて悩んでるのに付き合ってる僕たちだよね」
    「そう。で、お義母さんはちょっと疲れたからってあそこのベンチで座って待ってるってなったでしょ。それに、お義父さんが一緒に座って待ってるっておっしゃったときに思ったの」
    「父さんが母さんのことを好きだなって?」
    「うん。だって、ちょっと怒られそうだけど、お義父さんこそ悟天くんと一緒に何食べよう、何を飲もうって悩みそうなものじゃない」
    「確かに。飲み物は適当でいいっていうのは父さんっぽいけど、『疲れたから座っ 767

    eastdragon_DB

    TRAINING第15試合『眼鏡』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     チチの武は亀仙流であり、師は父である牛魔王だ。
     夫である悟空を始めとする他の亀仙流の使い手達は自身の特色を含ませて発展させていったが、チチのそれはほぼ純粋なるものだ。

     天下一武道会の武舞台に上がったときと比べるとさすがに力やスピードは落ちたが、その代わり受け流しなどのスキルは今の方が磨きがかかったと思う。それは亀仙人のお隅付きだ。

    「悟天に武を教えたい。だがそれに値する状態かどうか確かめてくれと筋斗雲に乗ってわしのところまで来たときは結構たまげたもんじゃ」
    「武天老師さま、おくちあんぐりしてたべ。悟天のことも悟飯のときみたいにお勉強漬けにするもんだと思われてたんならまぁ仕方ねぇと思いますだ」
    「いやいや、そりゃちぃっとは思って驚いたのは確かだがの。わしはな、悟天があんまりにも悟空に似て生まれてきよったから、そこに武をつけさせればますます悟空のやつに似てしまいお前さんが辛くなるんじゃないかのうと心配したんじゃ」

     言いながらのんびりと茶を啜る武天老師は比較的近しい過去の出来ことを思い返し、ほっほと笑う。
     本日は定期的に行われるブルマ主催のカプセルコーポレーションでのお茶会だ 1494

    eastdragon_DB

    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450