当主✕高専♀ 5夏油は、五条に向けて、右ストレートを繰り出した。
…かと思いきや、其処に五条の姿は既にいなかった。
「あ。」
夏油が気づいたときには、視界が宙を舞い、背中から地面に叩きつけられた。
勿論痛みはあるが、五条はこれでも手加減をしている方だろう。
「はい一本〜」
「…もう一回」
夏油は起き上がりながら言った。
「ちょっと待て。喉乾いた」
五条は夏油を制して、夏油といた庭の中心から縁側へ移動した。そして置いてある水差しから水を湯呑みに入れた。飲む直前に水面をじっと眺めてから飲んだ。以前、夏油がそれは何かと尋ねたら、昔からの癖らしい。毒を盛られたりしてないかなど、警戒してのことのようだ。一般家庭で育った夏油からすれば、全く厄介な人生だと思った。
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