イワシの日 赤井が豆腐を作ってくれた。僕のために!
活きのいいイワシをごちそうしようと待っていた僕は、感動のあまり玄関で目を潤ませてしまった。崩れないように片手鍋に入れて、運んできたんだ。工藤邸からメゾンモクバまで、てくてく。いらっしゃい、と中に入れた僕に、「気に入ってもらえるといいんだが……プレゼントだ」と、鍋の中身を見せた彼。
どうしよう。
抱きしめたい。
だって今時、こんな風に豆腐を買える店なんてない。黒田さんが子供の頃ならあっただろうけど。スーパーなりコンビニなりで買ったのなら、パックされている。つまりこれは、目の前のニット帽のFBIが手作りしたということだ。
「降谷くん?」
「あ……すみません」
赤井ではなく鍋を、抱きかかえるようにして受け取った。
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