言い争う?夏尾「百のバカ、百のバカ」
「んでだよ」
ソファで横になっていたら、頬を膨らませた夏太郎に襲われた。馬乗りになって百之助をぽこぽこ叩いてくる夏太郎の手を掴み、顔を覗き込むと「もー!」と頭突きをされる。
ぐりぐりと頭を頬に押し付けられながら、百之助は低く唸った。
「百がぁ、一緒にいてくれるって言ったのにぃ」
「言ってない」
「俺だけ怒られたぁ」
「そもそも食ったのお前だろ」
「それはそうだけどぉ……」
百之助の腹の上で大人しくなった夏太郎が唇を尖らせた。勝手に父親の柿の種を食べ尽くし、その証拠隠滅を図ろうと柿の種だけを買おうとしたところで夏太郎の父親と遭遇したのだ。
初めは言い逃れようとしていた夏太郎だったが、結局自白し、父親からげんこつ一つで許してもらったらしい。百之助はスーパーについて夏太郎から離れて適当に店内をうろついていたので、レジ前で合流したときにそう話を聞いた。
「百が一緒にいたらげんこつなかったのに」
「知るか」
家に帰ってきてもまだぶつぶつと文句を言っている。夏太郎の指に