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    @oz3011347532190

    あらむらとみずいこが好き

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    『3Cラジオを聴くモブファン。』



    ※ドラマ?芸能?パロ
    ※3Cラジオなのに影村がいない
    ※でも話題はほぼ村
    ※書いてる人は荒村が好きだし登場するモブファンは影村が好き
    ※書いたはいいけどもはやジャンルがわからない

    帰宅後、近年稀に見る効率の良さを発揮し食事にお風呂に諸々の支度を済ませた私は最近あまり使っていなかった機械に手を伸ばす。何時もはリアルタイムを断念してアプリで聴くことが多いのだけれど、今夜ばかりは夜更かしも厭わない。余裕があれば更新されるタイムラインを追いたので、スマホも随時SNSを監視できるようにしているわけだ。

    「こんばんは〜」
    「始まるぞ 今夜も」  
    「水上敏志です」
    「穂刈篤」
    「「3Cラジオ〜〜」」

    ラジオから待ち侘びていた音楽と声が聞こえる。数日前にマイク越しで聞いたものと寸分違わないそれに、記憶が蘇って興奮してしまう。寝落ちてしまったらどうしようなんて心配は杞憂だったようだ。

    「今日の開口一番は『狭い』です。ほんま狭いねんけど」
    「何時も四人でやってんだろ」
    「俺いつも穂刈とは向かい席やもん」
    「俺だってのか 原因は」
    「鋼くんとカゲは別のお仕事でお休みです〜」
    「ちゅうかまだ紹介してへんやん。喋らんといて?」

    聞き慣れた声の他に聞き慣れない声が二人。今日お休みが発表された二人のことが話題にあがるのだろうと思うと、考えただけで口角が上がってしまう。

    「もうお便り差し込まれました。このまま読んじゃう?」
    「いくつもりか 名乗らないまま」
    「やっぱりね、コレに関してのお便りが多いよね」
    「ほんまに名乗らんやん…アレか〜」
    「アレだな 言わなくてもわかる」
    「大阪会場の最終日のことか」
    「終わったばっかりだもんそりゃそう。だけど、その中でもって話」
    「あ?」
    「投げキス事件のことだ お前の」

    私が初めてドラマ『ワールドトリガー』を視聴したのは三年程前。人気が人気を呼び、ドラマが終了した今は同じキャストで舞台化がなされている。舞台版はまさか登場人物のキャラクター性はそのままに役者名義で演じるというとんでも作品だ。
    物議を醸したが結果として評判は良い。それはそうかもしれない。私のように、ドラマを通して役者さんのファンになった人間にとってはむしろ嬉しい作品だ。そんな『ワールドトリガー』の登場人物であるクラスメイト役の四人。いわゆる「3年C組」は、なにかとチームとなり企画を組んでくれる。このラジオもその一つだ。とはいえプライベートでも仲が良いことを売り出しているため、内容は作品の宣伝だけではない。各個人のファンにもありがたく優しいチームである。

    『こんばんは。大好きな3Cの皆さんが登壇された先日のDVDイベントに参加しました。凄く楽しかったです。楽しかったのですが、シークレットゲストの荒船さんに全部持っていかれました。今日ゲストに来られると聞いて、お願いがあります。参加できなかったリスナーの為にもあの事件についてお話ください。責任を取ってください。お願いします。』
    「事件にするなよ…」
    「ネットニュースの見出しのまんまやん」
    「合ってると思うぞ 事件で」
    「合ってる合ってる。荒船が投げキスなんてしたことなかったじゃん」

    3年C組こと3Cのメンバーは影浦雅人くん、穂刈篤くん、水上敏志くん、村上鋼くんの四人。みんな忙しい人達なので、彼らが別のお仕事でお休みの日は『ワールドトリガー』に出演している役者さんが代打で呼ばれることが常だったりする。今日の二人もそうだ。

    「名乗ったらどうだ いい加減。出てしまったことだしな 名前が」
    「荒船哲次です」
    「犬飼澄晴です。お久しぶり〜」
    「荒船はなんか毎週のように名前でるけど犬飼ほんま久しぶりやな」
    「本当だよもっとゲストに呼んでよね!で、事件の説明なんだけど」
    「ちょお待って俺の台本ペラい思ってたけど進行お前なんか」

    実をいうと私はドラマからの影浦くん&村上くんファンなのだけれど、それでも今日のラジオが楽しみで楽しみで仕方なかった理由は…荒船さんにあったりする。勿論、穂刈くん水上くんだって応援はしているのだが…数日前に3Cの現場で目撃した光景があまりにアレだったので、本日の代打二人が決まってからというもの気が気ではなかった。

    「知らない人達の為に説明するね。3CがワートリのDVDの販売促進イベントやったんだけど、荒船がシークレットゲストでまさかその時に投げキスしたっていう…」
    「話していたからな 鋼が。素敵だったと 来馬さんの投げキッスが」
    「キッス言うな」
    「そうそう。話してたからね、鋼くんがね?」

    荒船哲次さんと、犬飼澄晴さん。この二人は私の推しである村上くん影浦くんと接点のある役柄を演じている。ただでさえそうだというのに、最近になって荒船さんが村上くんのデビュー当初から面識があり、お家に遊びに行くほどの仲良しさんだということが明かされた。明かされて以来、なんだか荒船さんは暴走気味である…というのは、ネット上で見かけた荒船さんファンの意見。

    「来馬先輩がやったら喜んでたから便乗しただけだ」

    すいません、その動機は揶揄いなのか嫉妬なのか聞いてもいいですか?
    思わずラジオに話しかけそうになってしまった。私はあくまで作品のファンで、荒船さんのことに関してはにわかもにわかだ。しかしながら推しの師匠という役柄に加えて、荒船さんと村上くんは最近なんだかお互いの"特別枠"を匂わせていないか…?と感じる。いやこちらが勝手に嗅ぎとっているだけなのかもしれないが。

    「こいつのことやから俺がやっても鋼くんは喜ぶと思うたんじゃないですかね。他にお便りきてへんの?」
    「無くすな 興味を」

    幸運にも件のイベントに参加できていたため既に事のあらましを把握している。登場人物の多い作品なので、会場では幾人かの役者さんからのコメント映像が流された。その中には村上くんの尊敬する来馬さんからのメッセージもあったのだが、その人がコメント終わりに投げたキスに当然ながら会場は沸いたしなんなら村上くんも沸いていた。皆に弄られた村上くんだったが、恥ずかしげもなくむしろ誇らしげに来馬さんを褒める褒める。あの姿は大変かわいかった。そして荒船さんの登場である。ステージ上に突如として現れ宣伝もそこそこに目が合った村上くんに投げキスを飛ばしたのだ。会場は沸くを通り越して阿鼻叫喚だった。

    「俺はねぇ、作品だとゾエと鋼くんのセットが好きだから。このラジオの面子だとベタだけどカゲコウが推し」
    「受けて立つ」
    「急に本性出すじゃん」
    「争うな 此処で」

    あの会場にいたお姉様方も、犬飼さんと同じ趣向の方は居たはずだろう。登壇者は最初からわかっていたのだから。影浦くんと村上くんといえば、役としてはクラスメイトで友達で絡みも多くて…作品以外でも、影浦くんのご実家にみんなでお邪魔するくらい仲良しな3Cのメンバーで、飲み会の席では人見知りのため隅に座りがちな影浦くんの隣によくいるのが村上くんで、他のドラマ作品でバディ役だってしてたりもする。そりゃ、セット推しもされる。正直にいえば私も同じ穴の狢だ。
    荒船さんはなんだか、その辺りに果敢に挑んでいる節がある。

    「本性って聞こえが悪いな」
    「いや聞いてる人はみんな思ってはりますね。めっちゃ短文のメッセージ届きました『初めまして!ついにラジオでも聞けるんですね!!』『はじめまして!この時を待ってました!!』『初めまして!マウント取っちゃってください師匠!!』」
    「壊すな 初めて送ってくれたリスナーの情緒を」

    荒船さんと地元の同級生だという穂刈くんや業界の様々な知人すら長らく招き入れることがなかったという荒船さんのお家に唯一通されたのが村上くん、なのだそう。番組でそのエピソードを話してからというもの荒船さんの『村上くんと仲良しですマウント』は色々なところで見られるようになった。
    その昔、デビューしたばかりで現場の勝手がわからない村上くんのために一緒に行動していただとか、お誕生日にはブランドのお洋服をプレゼントしたりだとか、生配信を視聴していたりだとか、お互いのSNSに登場する頻度が増えたりだとか。
    私としては半分以上ネタというかファンサービスだと解釈していて、村上くんの私生活エピソードが聞けるのは嬉しいからありがたいと思っているのだが…ちらりとSNSを確認するとタグをつけて喜んでコメントしてる人もいれば、稀に悲しんでいる人もいたりする。

    「マウント取ってるつもりはないけど俺が鋼の話すんの待ってたってことでいいんだよな。ありがとう、する」
    「これだけで一時間半使わすわけにいかんから時間制限設けといて」
    「ちゃんとカゲの話もするからね〜」

    様々な登場人物と関係性がお目にかかれる『ワールドトリガー』。誰かと誰かがピックアップされれば他の誰かとの絡みが減ってしまう。本気になればなるほどコンビ推しって辛いのだ。

    「今度、鋼の実家行く予定してる」

    タイムラインがいきなり追いきれなくなった瞬間だった。

    「待て待て待て。言い方があかん。それ俺らも行くやつ」
    「あ、そうなんだ?」
    「3Cで行くつもりだった もともとは。消すな 俺たちの存在を」

    あっさりと明かされた真実にタイムラインは突然ほっこりし始める。ラジオのリスナーはやはり3Cの仲の良さが大好物だ。荒船さんはしれっと「二人でとは言ってねえ」と言って犬飼さんに咎められていた。前から思ってたけど犬飼さんはファン心理をよくわかってくれている、気がする。

    「経緯っちゅうのがあるやろ。ラジオやねんからちゃんと話せや」
    「あー…最初は、穂刈が買い物してるとこに遭遇したんだよ。でかめの鞄買ってたから旅行でもすんのかって聞いたら肯定したわりに、その後メシ食ってても旅行の詳細話さないなと思ってたんだよな」
    「怪しまれてんじゃん」
    「何時もなんでもかんでも荒船に話しすぎてんねんて」
    「………気をつける 今後は」

    その時の穂刈くんを想像するとちょっと面白い。

    「何日か後に現場で生駒隊と遭遇した。生駒さんが同い年のメンバーで自分の地元旅行したって話し始めたら横で水上が一瞬すごい顔したんだけどよ」
    「あららら。ポーカーフェイス形無しだ」
    「するなよ 俺のせいばっかりに!!」
    「イコさんがミラクル話題展開するからやん…」

    水上くんは嘘が上手いことに定評がある。ぴったりの役柄を演じる彼をそこまで動揺させるのは、多分だけど仲良しの生駒さんの成せる技だろう。生駒隊は隊員の仲の良さが演技でも発揮されていることで有名だ。このエピソードは生駒隊ファンの知人が食いついているはず…あ、LINEきた。

    「とはいえその段階だとまだピンときてない。カゲと鋼が空閑に土産なにがいいか聞いてたからもしかして二人でっつーか四人でどっか行くのかって」
    「一番迂闊じゃん」
    「そもそも黙ってないと面倒い友達が何なん」
    「俺も行きたいって鋼に言ったらホテルと実家に連絡いれてくれて、そんで鋼が実家で泊まって他四人でホテル使うことになった」

    恐らく示し合わせたわけではないのだろうけど、穂刈くんも水上くんも荒船さんに旅行の計画が露見すると面倒臭いことになると共通認識しているのがなんともバラエティ感がある。
    なんだかんだ一緒に行くのだからみんな仲良しに違いないのだ。

    「あーあー3Cでお泊まりやったのになぁ」
    「鋼の親御さんには礼言われたぞ。なかなか実家に帰ってこないから久しぶりで嬉しいって」
    「味方につけるな ご両親を」

    失礼かもしれないけど荒船さんのこの太々しい感じ、私は嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、影浦くんと村上くんの同室お泊まりもあってほしかったとか思ってごめん。いや3C。あくまで3Cの一夜のエピソードを聞いてみたかったわけなんだけど…。

    「あとで聞いたら鋼のお母さんは俺の顔好きらしい。顔見せに伺いますって言っといた」
    「クソ…調子に乗っとるな…」
    「やめろ つまり親御さんのお気に入りは俺!みたいな顔は」
    「言うとくけど鋼くんママから唯一下の名前でくん付けされとるん雅人くんやからな」
    「ないのかよ お前じゃ」
    「そうなんだ〜俺も雅人くんって呼んでみよっかな」
    「やめとけ」

    影浦くん、村上くんのお母様から雅人くんって呼ばれてるの…!!?パブリックイメージだと一番オラついてるのに!?''雅人くん"なんだ!?うわああああああなんだその情報は!ありがとう!かわいい!!

    「まあ、そういうわけで実況とはいかんけどまた旅行の話もしよかなと思ってます」
    「移動中の写真とかも撮っとけよ」
    「荒船一人だもんな 移動は。急だったから 流石に」
    「3Cラジオではそのあたりをいっぱい話してほしいなぁ」
    「もしかしてお前こそ俺のこと消そうとしてるか?」
    「ほな続きはまた今度」

    と、ここでCM。時計を見ればラジオ開始からまだ三十分。"雅人くん"の衝撃からは五分も経過していない。どういうわけか声を発していないのに私は息切れしている。駄目だ。リアルタイムは、終了しよう。続きはまた明日にしよう。これ以上聞いたら興奮して寝れなくなって明日に響いてしまうから。アプリの再生回数にはきっと貢献するので許してほしい。
    私はそっとラジオの電源を切って布団に潜り込んだ。

    一ヶ月後、背の高い3Cに囲まれてめちゃくちゃご機嫌に笑ってる村上くんの写真を影浦くんが。無防備に眠っている影浦くんの写真を村上くんがSNSに更新してくれて、私は無事に眠れない夜を過ごした。これを見た荒船さんが何をぶっ込んでくるのか予想できないのが怖い。数日以内にタイムラインはきっと死人で溢れているはずだ。南無。
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    oz3011347532190

    REHABILI一緒にカーテンを買いに行く荒と村
    「こういうの見るのわりと楽しいよな」
    「そうなのか」

    肩にかけた鞄を正し、家具を眺めながら荒船が発した一言に、村上は少しばかり驚いていた。その反応を受けて辺りを見渡していた荒船が質問を投げかける。

    「お前はあんまり興味ないのか」
    「楽しいとは思うけど…拘りはないかな」
    「成程な」

    村上は家具を見ることに対してではなく、荒船がこういった場所を楽しんでいることを意外に思ったのだが、伝わらなかったようだ。

    「じゃあ…今日付き合わせて悪いなと思ってたんだけど、良かった」
    「おう。わりと乗り気だぞ」

    しかし、自身の用事に付き合わせてやって来た場所でそう言われれば少なからずありがたかった。
    支部のカーテンが汚れたのは今朝のことだ。明るい布地に本物の悪こと別所太一が珈琲をかけてしまった。洗う為にと外したところ足で踏んだまま持ち上げ更に裂けてしまったのだ。流石に新しいものを買おうと判断が下されされ、村上が出掛けるついでにと購入に名乗りをあげた。近くに大型インテリア用品店があることは知っていたが、入ったことはない。もとから会う約束をしていた荒船が土地勘のある人物だったため頼ることしにしたのだ。申し訳なさそうな後輩の姿が蘇る。荒船の台詞も添えて新しいものを持ち帰ろうと決めた。
    2070

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