灰原の存在意義あの子のために君をつくろう
あの子は金色に輝いてるから君には漆黒の髪をあげよう
あの子の眼光は鋭いから君には丸い瞳をあげよう
あの子は繊細な子だから君にはおおらかに育ってもらおう
あの子と仲良くなってほしいから同じ年に生まれてもらおう
あの子にーーー
「…で、僕が生まれたってわけ」
「はあ」
「あ!信じてないな!」
大体、神様を信じるかって聞いたのはそっちじゃん、と頬を膨らませる様子から嘘をついているようには見えない。
きっかけは他愛のない世間話。そこからこんな突拍子もない話が出てくるとは思ってもみなかった。
「それが本当だとしたら、きみの存在意義が"あの子"になるじゃないですか」
「だから僕は”七海”のために生まれてきたんだよ」
「私?」
「そう、たった1人の同級生で、同期で、呪術師の」
御伽話を読み聞かせるように、楽しそうに君は笑った。
「一番最初に聞いたあの声が、神様のものだって僕は信じているよ」
―神よ
「どうして」
―私のために彼を作ったなら
「どうして私から彼を取り上げるのですか…」
あの子に絶望してもらうために君にはここでしんでもらおう