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    69asuna18

    ジョチェ🛹

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    69asuna18

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    タイトルのまんま。
    出来てない両片想いのソウスズが、謎のお部屋に閉じ込められちゃったよ!

    #ソウスズ
    bambooTiles

    好きだと言わないと出られない部屋赤ん坊にでもなったかのような優しく抱き留められる感覚に、今日の夢は心地よいなぁと、スズランは安堵のため息をついた。

    「スズラン殿、お休みの所申し訳ないのですが」

    その声に瞼を持ち上げると、そこには苦しそうに身を屈めたソウゲンがスズランを覗き込むように見つめていた。

    「ん?……あれ、僕、酔っぱらいすぎてた?」

    でないと、この状況の意味が分からなかった。好きだとは思っているが、その想いもろくに伝えていない人の脚の上でぐっすり眠っているなんて。

    「小生も、研究の合間に寝てしまったのかと…そう思ったのですが、…この部屋の意味が分からず。なにやら面妖な事象に巻き込まれたとしか思えず…」

    部屋?面妖な事象?なんの事だろうと、とりあえず周りを見渡すべくそこから動こうとする。

    「駄目なのです」

    ぐいと腰を抱く腕に力が入る。

    「うぇ、なんでぇ?」

    恥ずかしいのだ、好きな人の脚の間にいつまでも居座るだなんて。早く離れてしまわないと変な汗でも出そうだった。

    「身動きが自由に取れる程の広さがないのです。下手に動くと頭を打ちかねない」

    ぐっと頭の上に有る真っ白な天井らしきそれを押して見せる。けれどそれはびくともせず、スズランは真似して横の壁のようなものを押してみた。肘を伸ばせないほどの狭さ、半ば無理矢理してみるも、自分の体が動いて、ソウゲンにより近づいただけだった。

    「ほんとだ、なんなのこれ。誰かに捕まっちゃったって事?」

    「どうでしょうか…理由は分かりませんが…。どうにか出る方法を探ってみたのですが、びくともせず。…お休みの所申し訳なかったのですが、声をかけました」

    つまり、しばらくこの腕の中で抱きかかえられて守られていたと言うこと。それが分かり、スズランの頬は熱に染まる。

    「な、なんかさちょっと暑くない?……ってか閉じ込められてて、息とか出来る?そのうち死んじゃわない?」

    顔に集まった熱を逃がすように、パタパタと手で仰いでみる。自分で言ったものの、息ができなくなるかと思えばなんとなく苦しく感じるもので、意識的に深い呼吸をしてみると、ソウゲンが面白そうに小さく笑った。

    「それは大丈夫そうなのです。ここが密閉空間なら、もうすでに窒息している頃なのです」

    さも平然と言ってのけるので。あぁそうと、苦笑するしかなかった。けれど、これからどうしよう。息はできても、動く事は叶わない。腹も減るだろうし、厠にも行けそうにない。自分は彼の腕の中でも寝られるが、ソウゲンは自分を抱き留めたままで、そのうち身体も痛んでしまうだろう。
    もう一度、手を伸ばし壁に触れる。コンコンと手の甲で叩いてみても、その音はしっかりとした壁の音で、力を入れる事もできないこの体制では、何もできやしないだろうと何度目か分からぬ大きなため息をついた。

    「ところで、スズラン殿」

    「はい?」

    「この状況、打開できずにそのまま……という可能性すら考えられます」

    「…考えたくないけどね」

    「ですので、お伝えしておきたい事が」

    「え?なに?」

    改まり、真剣な表情でじっと見つめてくる。死ぬ前に言っておきたいことって?遺言とか?弔い方に希望があるとか?いや、一緒に死んでしまうかもしれないのにそれはないかな。では、一体なにが。

    「実は小生、ずっとスズラン殿の事を好いておりまして」

    「へぇ〜………え?うそ、好いてるって…」

    「好きだと、言っているのです」

    抱きしめている腰の手に力が入るのが分かる。逃げようにも逃げられず、真剣な顔を見つめ返すことも出来ず。慌てて視線を逸らす。すると、沈黙破るように、ソウゲンが口を開いた。

    「…いつか、そのうち。……伝えられれば…と思っていたのですが、スズラン殿の返事がどうなるか…その後、変わらず共にいられるのかも分からなかったもので、なかなか伝える事もできず。…でも、もう死んでしまうかもしれないのであれば、別に断られても構いませんから」

    そう言う言葉とは裏腹に、その腕は強くスズランの体を抱き寄せて、スズランの頬はソウゲンの胸にぴったりとくっついた。次の言葉が見当たらず沈黙の時が流れる。するとぴったりとくっついた着物の向こうから、微かにトクトクと心臓の震える音がした。穏やかなその風貌とは異なる駆け足のような音。好きだと伝えて胸が跳ねているのだろうか。返事に期待しているのだろうか。ソウゲンの表情を盗み見るように視線を上げると、いつも青白いはずの頬がほんのりと花のように色付いていた。

    「そんなさ、死ぬかもとか…言わないでよ」

    「おや、この間打ち首になりそうだった人のセリフではありませんね」

    何がおかしいのか、ソウゲンはくっくっと笑う。

    「笑い事じゃないよ。一瞬で終わるのと、生殺しみたいにされるのは違うし……それに…」

    「それに?」

    「……ソウゲンちゃんが、僕のこと好きって…。わかったのに、死ぬとか、そう言うのは……やだ」

    「……やだ、と言うことは。期待してもよろしいので?」

    赤みがかった顔で嬉しそうに口角を上げて。いつもの数倍優しい顔で返事がほしいと笑う。

    「嫌いなんて思ったこと無いよ。…でもさ、どうにかなりたいとか、そう言うの考えたことないの」

    そうやって、期待して。あとで傷付くのが嫌だから。望まないようにしてきた。

    「生きて戻れたら、考えてくださりますか?」

    はらりと長い前髪が、顔の前に垂れてきた。それを辿るように顔を上げると真っ直ぐな瞳とかち合う。若草色の瞳に、僅か菖蒲の紫が映りこんでいるのが見えて、どくんと心臓が大きく跳ねた。
    柳の様な長い髪に指を絡めて、くいと引く。なんですか?なんて言葉には出さないけれど、小さな声を聞き漏らさないように、ソウゲンはスズランに耳を寄せた。

    「もっと、雰囲気の良い所で言ってくれたら…考える」

    「おや、乙女のような事を仰られるのですね」

    もう、その顔を見れば返事など分かりきったようなものだが。もう一度この顔が見れるのであればそれはそれで悪くないのかもしれない。

    「分かりました。…出られたら、楽しみにしていてほしいのです」

    さっきよりも近づいて、真っ白な額に唇を寄せた。すると、今まで空間を圧迫していた壁が突然消え、体重を掛けていたソウゲンの身体は重力に負けて畳へと落ちていく。

    「わあっ…、……ん?」

    畳へ打ち付けられる。と慌てて硬く目を閉ざしたが、その衝撃はいつになってもやって来ない。恐る恐る目を開けると、さっきと変わらず、ソウゲンの身体に抱きしめられていた。

    「ソウゲンちゃん、背中打ってない?大丈夫?」

    「えぇ、そんなに高い所からではありませんでしたから。…無事に出られて良かったのです」

    「本当、良かった、どうなるか、と……」

    話し終える前に、スズランの身体は180度回転して。畳へと縫い付けられた。さっきの真っ白な壁と天井の代わりにソウゲンの腕の中に閉じ込められていた。

    「それで。…小生、スズラン殿を好いて居るのですが。返事を頂かないと、ここから出せないのです」

    そうやって意地悪く笑う彼に、観念したのか。スズランは両腕を伸ばしてソウゲンの首に絡ませた。

    「僕も好き、…だから。……しばらく、このままでもいいよ」







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    69asuna18

    MENU新刊『甘い香りに包まれて』

    前回のイベントでのコピー本『花の香りのする方へ』とその続きをまとめたものになります。
    (加筆修正有り)
    コピー本で出したものの、途中までをサンプルとしてアップします😊
    甘い香りに包まれて生を受けた世には、バース性と呼ばれる新たな性別が誕生していた。男女の性別とは別の第二の性。男と女とは別にα、β、Ωと三つの性別が存在し、全ての人間は六種類に分けられる。αはエリートが多く、βは一番多い所謂普通。そしてΩには発情期なるものが存在し、その体質が故に世間から冷遇されている。その為、性別による差別が目立ち、第二性がΩである人は悩みが尽きない。
    生まれ変わる前と違う事象が起きている事に、興味があった踪玄はバース性の研究に勤しんだ。しかし、調べれば調べるほど、その新たに備わった性別が、人間そのものに嫌悪を抱かせる。
    薬を飲み、体調を管理すれば、Ωであっても社会的に問題なく過ごせるはずなのに、理解が進んでない事もあり、定職につくのも難しく給料も少ない事の方が多い。働ける時に働きたいと思う人も多く、病院に定期的に通う人も少なくない。…出来るのは理解のある人間に囲まれていて、給料が安定している者だけ。そのせいで、発情期に倒れたり、身体に合わない安い薬を飲んで体調を崩す者も少なくない。
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    『もう、共に過ごす事は叶わないけど、いつでもあなたの事を思って祈るよ。いつかまたどこかで会えるように。』

    その言葉に、あふれ出した記憶はより鮮明になる。ソウゲンという名から、山南敬助として生きるようになった日の事。そこで出会った最愛の人と自分の最後の事。そういえば、幼少の頃に祖父の葬式に来たお坊さんの袈裟を掴んで離さなかったと母に笑われたな、と。記憶の片隅で彼を思っていたからなんだろうと今なら理解できる。すべてが繋がり、非科学的な事が大嫌いなはずの自分が、江戸時代から生まれ変わった人間なのだと根拠もないのに、納得したのは高校に入る直前だった。
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