夢遊 大倶利伽羅が顕現する前、当初光忠は鶴丸とふたり部屋だったのだという。
しかし鶴丸の寝相がかなり悪く、そのせいで光忠は夜に眠れなくなってしまった。光忠は朝餉の支度のため朝早く起きることが多く、鶴丸の寝相によって夜起こされるのは辛い。ごろんごろんと布団から転がり出る鶴丸に対しては呆れと心配がある。特に冬場などは鶴丸が布団から転がり出て風邪を引いてしまうのではという不安から、余計寝付けなくなってしまった。
そんなときに顕現したのが大倶利伽羅である。大倶利伽羅は鶴丸との付き合いが長く、鶴丸が布団から転がりでれば足蹴にして布団へ戻せるくらいには遠慮がない。
かくして光忠は鶴丸との相部屋を解消し、その代わりに大倶利伽羅がそこへ収まることになった。
意外だよ、と光忠が苦笑する。
相部屋になるまで、鶴さんがあんなに寝相が悪いとは思わなかった。そういうタイプには見えなかったからさ、と。
あれはただ、探しているだけだろう。
鶴丸は眠っている間、無意識に探している。しかしおそらくそれが見つからないであろうことを、大倶利伽羅は知っていた。
なにを、と光忠は首を傾げた。
大倶利伽羅は短く答えた。
——土の下へと帰る方法。