こういうのをなんていうんだっけ。
「えーっと、医者の不養生?」
「返す言葉もない……」
酷暑なんて当たり前に聞く時期に、熱中症でぶっ倒れた寂雷へ尋ねる。いつもは血色がいいとは言えない男はぐったりしたまま少し顔が赤かった。
夜勤、熱帯夜、水分補給もままならない忙しさ、レポートやら研究やらエトセトラ。倒れてどうぞって感じの環境だよなと思うけど、まあ言わないであげよう。
氷嚢で太い血管があるあたりを冷やし、水分や塩分だのを補給させる役目を任されている。ボクより、麻天狼の二人に頼めばいいだろうに。少なくとも、医者の不養生とは言わないでくれるはずだ。
「……、飴村くん、手当のやり方、ちゃんと知っているんですね」
「ダイスもゲンタローも、熱中症とかやりやすいタイプだから。覚えたんだよ」
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