始末屋の鈴音ちゃんと奏珉くん 低めのヒールを鳴らして、ファタールの化身は歩く。臙脂とワインレッド。コアブラックとホワイト。その色に包まれたゴシック調な、フリルとレースをふんだんに使ったパンツスタイル。小さなシルクハットがひとそえの可愛らしさを演出している。
隣には、厚底のパンプスを鳴らす、天使のような笑み。白とピンクを基調とした、フリルとリボンに包まれた、ロリータなミニドレス。白い薔薇の装飾のついたボンネットから流れ出る長い黒髪が艶やかに光る。
「ここ?」
「ここ」
二人は目を合わせて頷く。錆びれた扉の前、赤錆たノブをひねり、地下へと続く階段を降りていく。降りきり、また扉。それを開くと、薄暗い部屋の中、小さな照明がちかちかと点滅している。
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